東京近郊で多数の目撃情報も! 都心で南国の鳥が増殖した驚きの理由とは?

【ちょっとマニアな季節の生きもの】サイエンスライター・柴田佳秀先生が見つけた生きもののふしぎ

サイエンスライター:柴田 佳秀

都心エリアに野生のインコが1500羽もいる!?

カラフルな鳥のインコといえば、暑い国の生きものというイメージですよね。そのインコが冬は寒くなる日本にもいると言ったら、ビックリしませんか?

じつは本当にインコが東京にいるのです。しかも、1羽や2羽ではなく、東京都を中心に神奈川県や埼玉県にかけて約1500羽もいます。
あざやかな色のホンセイインコ
そのインコの名前は、ホンセイインコといいます。

もちろん日本の鳥ではなく、インド南部やスリランカに分布する鳥です。それが1960年代後半にペットとして飼われていた鳥が逃げ出し、野生化したといわれています。驚いたことに、ホンセイインコが野生化しているのは、日本だけではありません。イギリスのロンドンやドイツのベルリンなど、世界各地の大都市で外来種として定着しています。なんと、ヨーロッパ全体では約8万羽はいるんだそうです。
街中を飛ぶインコ
暑い国のインコが、東京よりも寒そうなロンドンでも生きていけるのは不思議です。調べてみると、もともといたスリランカでも涼しい山にいる鳥なので、ある程度の寒さは大丈夫みたいです。インコにもいろいろいるんですね。
大都市にも馴染んでいる!?
ところで、東京でインコは何を食べているのでしょう。自分で食べものを見つけられなければ、野生化して生きていくことはできないですからね。

観察してみると、木の芽や花の蜜、ヒマワリの種や木の実などを食べていました。都会には街路樹などの木が意外とたくさんあるので、インコも食べものには困らないのでしょう。
サクラの花の蜜が大好物
また、春はインコにとって嬉しい季節。町中にサクラの花が咲くからです。大好物の花の蜜が食べ放題ですからウハウハ気分でしょう。ただ、その食べ方はちょっとお行儀がよくありません。くちばしで花ごとちぎって蜜を舐め、ポイポイと捨てていくからです。
地面に落ちた花
そのため、インコの下の地面にはいくつもの花が落ちています。こんなに食いしん坊だと、花がなくなっちゃうと心配になりますが、ずっと食べ続けているわけではないので、全滅させることはなさそう。ちょっとホッとしました。

写真提供/柴田佳秀

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しばた よしひで

柴田 佳秀

Shibata Yoshihide
サイエンスライター

元ディレクターでNHK生きもの地球紀行などを制作。科学体験教室を幼稚園で実施中。著作にカラスの常識、講談社の図鑑MOVEシリーズの執筆など。BIRDER編集委員。都市鳥研究会幹事。科学技術ジャーナリスト会議会員。暦生活で連載中。MOVE「鳥」「危険生物 新訂版」「生きもののふしぎ 新訂版」等の執筆者。

元ディレクターでNHK生きもの地球紀行などを制作。科学体験教室を幼稚園で実施中。著作にカラスの常識、講談社の図鑑MOVEシリーズの執筆など。BIRDER編集委員。都市鳥研究会幹事。科学技術ジャーナリスト会議会員。暦生活で連載中。MOVE「鳥」「危険生物 新訂版」「生きもののふしぎ 新訂版」等の執筆者。