昆虫一多種多様なゾウムシの中でも相当な変わり種! その異様な姿とは?

【ちょっとマニアな季節の生きもの】昆虫研究家・伊藤弥寿彦先生が見つけた生きもののふしぎ

昆虫研究家:伊藤 弥寿彦

タカハシトゲゾウムシは世にも不思議な姿

地球上で一番種類が多い生きものは、昆虫。昆虫の中で一番種類が多いのは、甲虫。甲虫の中で一番種類が多いのが、ゾウムシって知っていましたか?

ゾウムシの仲間は名前がついているものだけで日本に1000種以上もいて、新種も毎年のように見つかっています。多種多様なゾウムシですが、その中でも相当な変わり種がこのタカハシトゲゾウムシです。
サクラの葉に静止するタカハシトゲゾウムシ
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大きさは、4mmほどと小さいのですが、拡大してみるとこのとおり。

後ろ脚の腿節(たいせつ/太もも部分)が、根元部分は細い一方で、先端が異常にふくれあがった異様な姿です。そして頸節(けいせつ/スネの部分)が極端にわん曲しています。上ばねは名前のとおり短いトゲ状の突起に覆われています。
上から見た姿
なぜこんな姿なのか? 不思議ですよね。みなさんはなぜだと思いますか? そこにはなにか理由があるはず。だれか解き明かしてください(笑)。

この仲間は、他にインドに1種、東南アジアに1種、計3種しか知られていません。タカハシトゲゾウムシは、かなり珍しい種類で、なかなか出会うことはできません。幼虫がサクラの葉に潜り込むことが知られているので、いつか生きている姿を見たいと思っていました。

数年前の4月、福井県越前市の山へ行ったときに、この虫がいるのではないかと思い、大きな網でサクラの葉にかぶせてゆすったところ採集することができました。長年会いたかった虫に出会えたときの喜びはひとしおです。
ひっくり返った姿。
実はカミキリムシやハムシにも同じように「太もも」が太くなる種類がいます。それはまた今度ご紹介しましょう。

写真提供/伊藤弥寿彦

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いとう やすひこ

伊藤 弥寿彦

Ito Yasuhiko
自然番組ディレクター・昆虫研究家

1963年東京都生まれ。学習院、ミネソタ州立大学(動物学)を経て、東海大学大学院で海洋生物を研究。20年以上にわたり自然番組ディレクター・昆虫研究家として世界中をめぐる。NHK「生きもの地球紀行」「ダーウィンが来た!」シリーズのほか、NHKスペシャル「明治神宮 不思議の森」「南極大紀行」MOVE「昆虫 新訂版」など作品多数。初代総理大臣・伊藤博文は曽祖父。

1963年東京都生まれ。学習院、ミネソタ州立大学(動物学)を経て、東海大学大学院で海洋生物を研究。20年以上にわたり自然番組ディレクター・昆虫研究家として世界中をめぐる。NHK「生きもの地球紀行」「ダーウィンが来た!」シリーズのほか、NHKスペシャル「明治神宮 不思議の森」「南極大紀行」MOVE「昆虫 新訂版」など作品多数。初代総理大臣・伊藤博文は曽祖父。