時代の狭間にあったヒーロー「ウルトラマンレオ」を正当に評価する

『復刻版テレビマガジンデラックス 決定版 ウルトラマンレオ超百科』が30年超の時をへて再刊!

テレビマガジン編集部

『テレビマガジンデラックス  決定版 ウルトラマンタロウ超百科』が復刻! この『超百科』を編集し、復刻版の監修も手掛けたベテラン編集者Ⅰ氏が、約30年前・刊行当時の超秘話を明かします。

▲獅子座L77星から地球に来た戦士。そこで「ウルトラセブン」に認められ、ウルトラ戦士になった経歴を持つ「レオ」  ©円谷プロ 

1974年

『ウルトラマンレオ』が放送された1974年4月から1975年3月の1年間は、1971年から大盛況を極めた「第2次怪獣ブーム」と「変身ブーム」の熱気が沈静化し、出版各社による「ウルトラマン」関連の単行本攻勢も勢いを失っていた。おりしも、1974年は、第1次オイルショックが不可避な社会状況であったため、物価が急激に上昇しており、コストがかかる特撮番組の制作には極めて困難な時代を迎えようともしていた。

そんなマイナス状況のなか、低学年向けの漫画雑誌が「ウルトラマン」の世界を大河ドラマ的に再構成し、その世界観を広げる作業を開始して一定の評価を得るのは『レオ』の放送終了後のことなので、『ウルトラマンレオ』は高額な番組制作費を投入することができなかった。

そのため、『ウルトラマンレオ』は、「ウルトラマンシリーズ」の高揚期や変革期、新規開拓期のどれにも乗れなかったシリーズであり、ヒーローであると捉えることができる。ムック展開という側面においては不運なキャラクターであったとも言えるのである。

▲ウルトラマンキングをはじめ、数多くのウルトラ戦士が登場  ©円谷プロ

多様な展開

その後、1978年になってシリーズとしての「ウルトラマン」の再評価への動きが大きくなり、その勢いが1979年、アニメーションの『ザ☆ウルトラマン』の放送開始へとつながっていく。

▲アニメで展開された『ザ☆ウルトラマン』  ©円谷プロ

そして、その実績が実写特撮の『ウルトラマン80』を生みだすことになった。しかし、そんな上昇ムードのなかにあっても、注目をあびる旧シリーズは『ウルトラマン』『ウルトラセブン』といった高い評価で安定している初期の作品が中心であり、当時は直近のヒーローであった『ウルトラマンレオ』が、大きくフィーチャーされる機会はあまりなかった。

故郷の獅子座L77星を失った孤高のヒーローであり、つねに逆境に立ち向かって決死の肉弾戦で勝機をつかむという、「ウルトラマン」としては異色なキャラクター性に包まれるがゆえに、レオは魅力的なヒーローなのだが、そこが正当に評価される機会はなかなか訪れなかったのである。

▲宇宙拳法の使い手であり、ダイナミックな技を披露  ©円谷プロ 

「推し」のヒーロー

上記のような、ウルトラマンレオのアクティブなパワーを充分な紙幅をもって読者に伝えることができる機会は、『超百科』シリーズが実績を積むまで待たなくてはならなかった。

そして、ようやくそのチャンスが巡ってきた時代が、『ウルトラマン超百科』が出版された翌年、1991年なのである。

編集サイドとしては、『ウルトラセブン超百科』と『帰ってきたウルトラマン超百科』が好評を得ることは、その作品自身のパワーもあって企画当初よりほぼ確信しており、『ウルトラマンタロウ超百科』もタロウが低年齢層に力を見せていることから、2年目のラインナップに入れることに大きな異論は起こらなかった。

だが『ウルトラマンレオ超百科』については、ラインナップに入れることに当初は若干の躊躇の声が上がった。

しかし、正直に言うと『レオ』の不遇を実感していた構成・編集作業の担当者には、その時代的な狭間に誕生したゆえの理不尽な不幸を払拭したいという想いが強くあった。そして、本企画を強く推し(つまり、無理を言って)、実現にこぎつけたのである。

こつこつと、地道に

『超百科』を構成するためには、多くのスチールを必要とするが、スチールが存在しないキャラクターや光学合成のカットなどを紹介するために、放送用の16mmフィルムから各種場面を抜いておく必要があった。

そのためには欲しいカットがあるエピソードの16mmフィルムを円谷プロダクションからレンタルして、そのシーンからベストのコマを指定し、それをデュープ、または複写していたのだが、当時は『超百科』一冊を構成するにつき、およそ15~20話分のフィルムのカットを使用していた。

しかし、『テレビマガジン』本誌での記事の展開や『ウルトラマン大全集』といった高年齢のファン向けで資料性が極めて強い企画を進めるため、このようなフィルムからの複写作業は、日ごろから行っていたという流れも一方にはあった。つまり、常日頃に貯めていた財産が、ここで再利用されたという側面もあるのである。

偶然的な不運によってスポットが当たりにくい位置にあったヒーローの再評価、そして、地道な日々の作業によって獲得した素材の再びの活用。本当にいいものには、何度でも活躍の場が提供されるようである。

▲『ウルトラマンZ(ゼット)』では、酷似した姿の対怪獣ロボットが活躍した「セブンガー」も本作に登場   ©円谷プロ

そんな地道な作業の末の、本当によい写真ぞろいの復元された『ウルトラマンレオ超百科』をぜひご覧いただければと思う。

『復刻版テレビマガジンデラックス 決定版 ウルトラマンレオ超百科』定価:1650円(税込み)

©円谷プロ

テレビマガジンデラックス 珠玉の復刻版をAmazonでチェック

テレビマガジン編集部

日本初の児童向けテレビ情報誌。1971年11月創刊で、仮面ライダーとともに誕生しました。 SNS:テレビマガジンTwitter @t...