時代の狭間にあったヒーロー「ウルトラマンレオ」を正当に評価する
『復刻版テレビマガジンデラックス 決定版 ウルトラマンレオ超百科』が30年超の時をへて再刊!
2022.05.24
1974年
そんなマイナス状況のなか、低学年向けの漫画雑誌が「ウルトラマン」の世界を大河ドラマ的に再構成し、その世界観を広げる作業を開始して一定の評価を得るのは『レオ』の放送終了後のことなので、『ウルトラマンレオ』は高額な番組制作費を投入することができなかった。
そのため、『ウルトラマンレオ』は、「ウルトラマンシリーズ」の高揚期や変革期、新規開拓期のどれにも乗れなかったシリーズであり、ヒーローであると捉えることができる。ムック展開という側面においては不運なキャラクターであったとも言えるのである。
多様な展開
故郷の獅子座L77星を失った孤高のヒーローであり、つねに逆境に立ち向かって決死の肉弾戦で勝機をつかむという、「ウルトラマン」としては異色なキャラクター性に包まれるがゆえに、レオは魅力的なヒーローなのだが、そこが正当に評価される機会はなかなか訪れなかったのである。
「推し」のヒーロー
そして、ようやくそのチャンスが巡ってきた時代が、『ウルトラマン超百科』が出版された翌年、1991年なのである。
編集サイドとしては、『ウルトラセブン超百科』と『帰ってきたウルトラマン超百科』が好評を得ることは、その作品自身のパワーもあって企画当初よりほぼ確信しており、『ウルトラマンタロウ超百科』もタロウが低年齢層に力を見せていることから、2年目のラインナップに入れることに大きな異論は起こらなかった。
だが『ウルトラマンレオ超百科』については、ラインナップに入れることに当初は若干の躊躇の声が上がった。
しかし、正直に言うと『レオ』の不遇を実感していた構成・編集作業の担当者には、その時代的な狭間に誕生したゆえの理不尽な不幸を払拭したいという想いが強くあった。そして、本企画を強く推し(つまり、無理を言って)、実現にこぎつけたのである。
こつこつと、地道に
そのためには欲しいカットがあるエピソードの16mmフィルムを円谷プロダクションからレンタルして、そのシーンからベストのコマを指定し、それをデュープ、または複写していたのだが、当時は『超百科』一冊を構成するにつき、およそ15~20話分のフィルムのカットを使用していた。
しかし、『テレビマガジン』本誌での記事の展開や『ウルトラマン大全集』といった高年齢のファン向けで資料性が極めて強い企画を進めるため、このようなフィルムからの複写作業は、日ごろから行っていたという流れも一方にはあった。つまり、常日頃に貯めていた財産が、ここで再利用されたという側面もあるのである。
偶然的な不運によってスポットが当たりにくい位置にあったヒーローの再評価、そして、地道な日々の作業によって獲得した素材の再びの活用。本当にいいものには、何度でも活躍の場が提供されるようである。
テレビマガジン編集部
日本初の児童向けテレビ情報誌。1971年11月創刊で、仮面ライダーとともに誕生しました。 記事情報と付録の詳細は、YouTubeの『テレビマガジン 公式動画チャンネル』で配信中。講談社発行の幼年・児童・少年・少女向け雑誌の中では、『なかよし』『たのしい幼稚園』『週刊少年マガジン』『別冊フレンド』に次いで歴史が長い雑誌です。 【SNS】 X(旧Twitter):@tele_maga Instagram:@tele_maga
日本初の児童向けテレビ情報誌。1971年11月創刊で、仮面ライダーとともに誕生しました。 記事情報と付録の詳細は、YouTubeの『テレビマガジン 公式動画チャンネル』で配信中。講談社発行の幼年・児童・少年・少女向け雑誌の中では、『なかよし』『たのしい幼稚園』『週刊少年マガジン』『別冊フレンド』に次いで歴史が長い雑誌です。 【SNS】 X(旧Twitter):@tele_maga Instagram:@tele_maga