『NO.6』が続編を発表! アニメ化や漫画化で一大ブームを起こした150万部越えのベストセラー あさのあつこの「原動力」とは

『NO.6[ナンバーシックス]再会#1』刊行記念 あさのあつこさんインタビュー 後編

ライター:山口 真央

紫苑とネズミが存在する「意味」を書くことで見つけていきたい

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──前半のインタビューでは、紫苑やネズミのことを「わからない」「知りたい」から書くとお話しされていました。「わからないことを書く」ことについて、詳しく教えていただけますか。

あさの:私は書くことでしか、知ることができない人間です。

『NO.6』を書こうと思ったきっかけも、テロリストの人物像を把握したいという思いからネズミを描き始めました。

紫苑はその対比として、国家に守られた人物として登場させました。描き始めたときは、より自分自身に身近な存在のはずでした。

けれどもストーリーを進めるうちに、ネズミだけでなく、紫苑のこともわからなくなってしまった。

「わからない」ことは私にとって、心奪われることであり、執筆の最大の原動力です。

──素敵です。『NO.6[ナンバーシックス]再会』では、どんな「わからない」ことに挑む予定でしょうか。

あさの:前シリーズでは、紫苑とネズミがぶつかり合い、理解し合うことで、生き延びる世界を描いてきました。

今回はそれをひっくり返したとき、ふたりの関係がどうなっていくのかが知りたいと思っています。

『NO.6』が瓦解したあと、ネズミは紫苑のもとを去り、紫苑は『NO.6』の再建委員長に就任します。

不安定な政情のなか、『NO.6』を脅かす無差別暗殺者。そしてふたりは再会し、新たな戦いへと足を踏み入れていくことになります。

紫苑とネズミの関係が、別の価値観のもとにわかれるのか、愛し合うのか、憎み合うのか……、私にもまだ、全貌はわかりません。

しかし私はふたりが存在することの意味を、私自身のために書き続けていくつもりです。

アニメ化、漫画化され150万部超えのベストセラー『NO.6』が、14年ぶりに『NO.6[ナンバーシックス]再会#1』シリーズとしてスタート!

二人は、再び、誰もが虐げられない世界をつくることができるのか──?
罠だらけの現実に二人は「希望」を見つけることができるのか──?

紫苑とネズミのかけがえのない「結びつき」と「戦い」を見届けてください!

●「NO.6」シリーズ読者からの感想
「たくさん本は読んできたけれど、これ以上面白い本に出合ったことがない」
「呼吸を楽にしてくれた本」
「死にたくなったらネズミの言葉を思い出します。逃げずに前へ進め! 現実を見ろ!
どんなに現実が辛くても光を見いだせる人になりたいと思います」
「泣きたくなった夜に読みます。おまえはどうありたいんだ? いつでも自分にできることを問いかけ、動きつづけたいと思います」

●あさのあつこさんからのメッセージ
声を聞きました。ネズミの声です。
「生きる場所も死ぬ場所も自分で決める。あんたじゃなくおれが決める。余計なお節介は止めてもらおうか」と。
そうか、彼らは既に出逢い、運命を紡ぎ始めているのか。
だとしたら、わたしも、もう一度だけ、本当にもう一度だけ、彼らに手を伸ばそう。この手で彼らの生に触れてみよう。
『NO6』の作者として戦ってみよう。あれほど恋い焦がれた少年たちに挑んでみよう。
今はただ、それだけを考えています。
14年の時を経て、あなたに再び『NO.6』を届けます。

撮影/安田光優

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やまぐち まお

山口 真央

編集者・ライター

幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「おともだち」「たのしい幼稚園」「テレビマガジン」の編集者兼ライター。2018年生まれの男子を育てる母。趣味はドラマとお笑いを観ること。

幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「おともだち」「たのしい幼稚園」「テレビマガジン」の編集者兼ライター。2018年生まれの男子を育てる母。趣味はドラマとお笑いを観ること。

あさの あつこ

Atsuko Asano
作家

岡山県生まれ、在住。大学在学中より児童文学を書き始め、小学校講師ののち、1991 年『ほたる館物語』で作家デビュー。97 年『バッテリー』で第35 回野間児童文芸賞、2005 年『バッテリーI~VI 』で第54回小学館児童出版文化賞を受賞。『NO.6』シリーズは、コミカライズ、アニメ化された。児童文学から時代小説まで様々なジャンルの作品を執筆し、幅広い世代に親しまれている。

岡山県生まれ、在住。大学在学中より児童文学を書き始め、小学校講師ののち、1991 年『ほたる館物語』で作家デビュー。97 年『バッテリー』で第35 回野間児童文芸賞、2005 年『バッテリーI~VI 』で第54回小学館児童出版文化賞を受賞。『NO.6』シリーズは、コミカライズ、アニメ化された。児童文学から時代小説まで様々なジャンルの作品を執筆し、幅広い世代に親しまれている。