
ぼっち、不登校、同調圧力…10代が抱える悩みに向き合う小説たち 「未来屋アオハル文学賞」で『15歳の昆虫図鑑』が大賞受賞!
講談社作品が受賞10作品中4作品入賞! 10代の中高生に向けた新しい文学賞の受賞10作品を紹介
2025.08.02

株式会社未来屋書店の創立40周年を記念して設立された、10代の中高生に向けた新しい文学賞「未来屋アオハル文学賞」の第1回受賞作品が、2025年7月18日に発表されました。
選考者は、書店店頭で多くの読者と向き合ってきた児童書アドバイザーたち。「10代に今、読んでほしい」と心から思える作品が選出されており、受賞作10作品中、講談社作品が4作品選ばれています。
受賞作の作者は、2005年以降にデビューした方ばかり。いずれの作品も、ミレニアル世代やZ世代の若者たちの生活や感性、悩みを的確に捉えており、多くの若者の共感をよんでいます。大賞を受賞した『15歳の昆虫図鑑』と『かなたのif』をはじめとする受賞全10作品を紹介していきます。
目次
- 【大賞】五十嵐美怜『15歳の昆虫図鑑』虫オタ×悩みアリな中学生5人の化学反応に心が躍る♪
- 【大賞】村上雅郁『かなたのif』友だちのいない香奈多と友だちをなくした瑚子のひと夏の冒険物語
- 実石沙枝子『17歳のサリーダ』いじめから逃げて新しい場所で生きていく少女のしなやかな強さを描いた注目作
- 佐藤いつ子『透明なルール』本音を隠して「1軍」グループに居続ける意味は? 10代のリアルな生きづらさに寄りそう物語
- 鯨井あめ『沙を噛め、肺魚』夢を追うか安定を取るか、Z世代に“生き方”を問うディストピア長編
- 乾ルカ『灯』孤独な者同士が互いの存在を照らし合う群像劇
- 佐原ひかり『スターゲイザー』短編・連作形式でキャラクターの内面に迫る「青春×アイドル」物語
- 実石沙枝子『物語を継ぐ者は』創作の喜びと苦悩を追体験する冒険譚
- 長谷川まりる『呼人は旅をする』無理解、孤独、共存の難しさを描いた「SF×哲学」作品
- 菅野雪虫『海のなかの観覧車』失われた記憶をたどり真実に迫るミステリー仕立ての社会派児童文学
- 大賞作家の五十嵐美怜さんと村上雅郁さんの表彰式を開催
【大賞】五十嵐美怜『15歳の昆虫図鑑』虫オタ×悩みアリな中学生5人の化学反応に心が躍る♪

【書店でもお買い求めいただけます!】
受賞作を含む上位入選作は、8月31日(日)まで、全国の未来屋書店およびアシーネ店舗にて「第1回 未来屋アオハル文学賞フェア」として展開されています。
〈あらすじ〉
舞台は、東北の田舎町。町を流れる川には、少し前までホタルがたくさん見られたけれど、今は川が汚れてしまい、わたし・鈴木真優は、生まれてから一度もホタルを見たことがない。
町では「ホタルがすめる環境を取りもどす」ことを目的に、川沿いのゴミ拾いをする参加者を学校ごとに募集しているが、中学3年生にもなって参加する人なんていないと思っていた──東京からやってきた転校生・吉岡蛍子が手を挙げるまでは。
吉岡蛍子は、肩までの髪を二つ結びにして銀ブチメガネをかけた「まじめ」女子。東京の学校から転校してきたけれど、「特に都会っぽくない」見た目と、休み時間はひとりで昆虫の本を読んでいる「変わった」子で、転校してたった数日で「話しかけちゃダメな人」のカテゴリに入ってしまっていた。
一匹狼で我が道を行く吉岡蛍子と、ホタルが気になるわたし。
でも、中学3年生になってからいっしょにいるグループのリーダー・遠藤咲に対して、本音を口にすることができず、苦しい思いをしていたが……。