
読書は5ページでやめてもいい! 斉藤洋が伝授する「最後までおもしろく読める本」を見つけるコツ
『人生がちょっとよくなる読書術』 (2/2) 1ページ目に戻る
2026.03.19
児童文学作家:斉藤 洋
3冊に1冊、読みきれる本があれば十分
わたしは、「これ、おもしろいよ。」と、信頼できる人がすすめてくれた本でなければ、つまらないと思ったら、現在でも五ページでやめています。信頼できる人がすすめてくれた場合でも、おもしろくなければ、せいぜい二十ページくらいでしょうか。
若いときは、「きみ、この本、読んでみたら?おもしろいよ。」と目上の人にいわれたら、いちおう最後まで読んで、それなりの感想をいわねばならないことがありましたが、このごろは目上の人に会うこともあまりないので、そういうこともなくなりました。
近くに図書館があればべつですが、本をちょっと読んでから買うというのは、通販だとできにくいので、本屋さんにいって立ち読みし、おもしろそうなら、買って読むというふうにするのがいいかもしれません。
しかし、その場合でも、本屋さんにいく時間を無駄にするより、立ち読みができなくて、おもしろくない本を買ってしまう経済的損失のほうがまだましというかたなら、通販はたいへんよいシステムです。本屋さんにいったり、通販で買ったりした本のうち、わたし自身、最後まで読むのは、三冊に一冊くらいでしょうか。とちゅうでつまらなくなったら、やめてしまうからです。
がまんして、つまらない本を最後まで読みつづけるほど、人生は長くありません。
いや、そうではない。ほら、三巻本の『アンナ・カレーニナ』を読んで、一冊目に二か月かかったけれども、二巻と三巻は、おもしろくなって、あっというまに読み終えたという青年もいるというではないか!……という意見もあります。
でもね、わたしの場合、飽きっぽい性格がわざわいしているせいかもしれませんが、そういうことは一度もありませんでした。つまらない本をがまんして読むということが少ないからでしょうか。それに、その青年は、またはその青年のような人は、すでに、かなり無理をしても読書をつづけることができる人間になっているのだから、これから読書をして、人生を少しでもおもしろくしようという、この本の読者ではありません。
おもしろくない理由は、出会うタイミングかも?
小学生に、わたしの本をあげることがあります。そういうとき、わたしはその小学生にこういいます。
「この本をあげるけど、おもしろくないと思ったら、まったく読む必要はないよ。わたしにもらったのだから、つまらないけど最後まで読もうなんて、そういうことを思ってはいけません。
わたしはあなたにそういうことをしてほしくないんだよ。おもしろくない本をずっと読んでいると、本がきらいになるからね。この本のせいで、あなたが本ぎらいになるのは、わたしはいやなんだ。」
けれども、そのあと、こういいたします。
「だけど、つまらないからといって、すぐに捨てちゃあいけません。来年とか、もっと先までとっておいて、また読んでみたら、そのときは、おもしろいと思うかもしれないからね。」
つまり、こういうことなのです。そのとき、つまらないと思っても、あとで読みかえしたら、おもしろかったということがあるのです。わたし自身、二十代のとき読んで、まったくおもしろくなかった本を、最近気が向いて読んだら、けっこうおもしろく、分厚い文庫で上下二冊を読んでしまいました。
本には、出会う〈季(とき)〉というものがあって、その本をつまらないと思うのは、まだ出会うべき季(とき)ではないのに、出会ってしまったということがあるのです。そういう季(とき)に、その本と無理につきあっても、益はないと思います。ですから、前に読んでつまらないと思ったものでも、時がたってから、再読してみることをおすすめします。まあ、再読しても、やっぱりつまらないと思うことのほうが多いだろうけど。
『人生がちょっとよくなる読書術』
100万部突破した名作児童文学「ルドルフとイッパイアッテナ」シリーズ、200万部を突破した「おばけずかん」シリーズなど、デビューから40年にわたり、児童書の第一線で活躍し続ける児童文学作家・斉藤洋(さいとう・ひろし)先生が初めて明かす「本の読み方」の極意がつまった一冊が発売中です。
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斉藤 洋
東京都生まれ。幼年童話に「ペンギン」シリーズ、「おばけずかん」シリーズ、児童文学に「ルドルフとイッパイアッテナ」シリーズなど多数。
東京都生まれ。幼年童話に「ペンギン」シリーズ、「おばけずかん」シリーズ、児童文学に「ルドルフとイッパイアッテナ」シリーズなど多数。