発達障害・発達特性のある子を育てる親や家族のストレス 〔言語聴覚士/社会福祉士〕が解説
#11 発達障害の特性のある子どもを育てる母親のストレス〔言語聴覚士/社会福祉士:原哲也先生からの回答〕
2024.12.27
一般社団法人WAKUWAKU PROJECT JAPAN代表・言語聴覚士・社会福祉士:原 哲也
発達障害の特性のある子どもの母親のうつ病と睡眠障害
大きなストレスがかかり続ける結果、発達障害の特性のある子どもの母親の4割が軽度、1割が重度の抑うつ症状が認められたといいます。重度のうつ病についていえば、一般の発生率1%の実に10倍の出現率です。
また抑うつとの関連が強い睡眠障害は、同年代の女性26%に対して、自閉症スペクトラム障害の子どもの母親は36%ということでした。
(参考文献:野邑健二,金子一史,本城秀次他〈2010年〉:高機能広汎性発達障害児の母親の抑うつについて,小児の精神と神経,50(3).259-267.)
母親への支援の必要性
このように、発達障害の特性のある子どもの母親は、慢性的に特徴的なストレスにさらされています。抑うつ症状や睡眠障害の発生率の高さをみても、かなり大変な生活であることが容易に想像できます。
子どもの成長とともに、子どもとの関係に喜びや楽しさを感じたり、母親としての存在意義を感じることはあるでしょう。しかし、少なくとも、乳幼児期の発達障害の特性のある子どもの子育てにおいては、周囲の多くの人の理解と支援によって、母親が心理的な支えを得、疲労を減らしてもらうこと、子どもとの関わり方を教えてもらうことが必要です。
親であっても、母親もまた、唯一無二の尊い一度きりの人生を歩む一人の人です。
発達障害の特性のある子どもを育てる母親が、時に見失いがちな「自分の人生」を取り戻し、自分らしく生きるためには何が必要か? そのためには、どんな支援が必要か。
第12回は、この点について考えてみたいと思います。
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今回は、「発達障害の特性のある子どもを育てる母親のストレス」について原哲也先生に解説していただきました。先生が実際に聞いたお母さんたちのコメントから、その苦しい実状が伝わってきました。次回は、お母さんに必要な支援やその受け方について、原先生にうかがいます。
原哲也
一般社団法人WAKUWAKU PROJECT JAPAN代表理事・言語聴覚士・社会福祉士。
1966年生まれ、明治学院大学社会学部福祉学科卒業後、国立身体障害者リハビリテーションセンター学院・聴能言語専門職員養成課程修了。カナダ、東京、長野の障害児施設などで勤務。
2015年10月に、「発達障害のある子の家族を幸せにする」ことを志し、長野県諏訪市に、一般社団法人WAKUWAKU PROJECT JAPAN、児童発達支援事業所WAKUWAKUすたじおを設立。幼児期の療育、家族の相談に携わり、これまでに5000件以上の相談に対応。
著書に『発達障害の子の療育が全部わかる本』(講談社)、『発達障害のある子と家族が幸せになる方法~コミュニケーションが変わると子どもが育つ』(学苑社)などがある。
わが子が発達障害かもしれないと知ったとき、多くの方は「何をどうしたらいいのかわからない」と戸惑います。この本は、そうした保護者に向けて、18歳までの療育期を中心に、乳幼児期から生涯にわたって発達障害のある子に必要な情報を掲載しています。必要な支援を受けるためにも参考になる一冊です。
原 哲也
1966年生まれ、明治学院大学社会学部福祉学科卒業後、国立身体障害者リハビリテーションセンター学院・聴能言語専門職員養成課程修了。カナダ、東京、長野の障害児施設などで勤務。 2015年10月に、「発達障害のある子の家族を幸せにする」ことを志し、長野県諏訪市に、一般社団法人WAKUWAKU PROJECT JAPAN、児童発達支援事業所WAKUWAKUすたじおを設立。幼児期の療育、家族の相談に携わり、これまでに5000件以上の相談に対応。 著書に『発達障害の子の療育が全部わかる本』(講談社)、『発達障害のある子と家族が幸せになる方法~コミュニケーションが変わると子どもが育つ』(学苑社)などがある。 ●児童発達支援事業「WAKUWAKUすたじお」
1966年生まれ、明治学院大学社会学部福祉学科卒業後、国立身体障害者リハビリテーションセンター学院・聴能言語専門職員養成課程修了。カナダ、東京、長野の障害児施設などで勤務。 2015年10月に、「発達障害のある子の家族を幸せにする」ことを志し、長野県諏訪市に、一般社団法人WAKUWAKU PROJECT JAPAN、児童発達支援事業所WAKUWAKUすたじおを設立。幼児期の療育、家族の相談に携わり、これまでに5000件以上の相談に対応。 著書に『発達障害の子の療育が全部わかる本』(講談社)、『発達障害のある子と家族が幸せになる方法~コミュニケーションが変わると子どもが育つ』(学苑社)などがある。 ●児童発達支援事業「WAKUWAKUすたじお」