発達障害診断後「娘よ、ごめん」変わるべきは親の私だった〔『リエゾン』三木先生解説付き〕
「5歳娘の凸凹発見・成長実録記」 #6 娘5歳6ヵ月~5歳9ヵ月ころの様子
2023.09.14
元看護師ママライターの凸凹娘の実録成長記6回目。
前回、月に1回の療育から、週に1回の個別療育に通えるようになった長女ちゃん。最終回となる今回は、新しい療育先での様子についてです。
個別療育になったことで、変わり始めた長女ちゃんの様子と、療育の先生たちの接し方を見て気づいた、ママの心の変化とは……?
また、当時の母子の行動を『リエゾン─こどものこころ診療所─』の監修者でもある、児童精神科医・三木崇弘先生に、引き続き解説していただきました。
個別療育を全力で楽しむ娘
5歳6ヵ月ころから、週に1回のペースで、個別療育に通い始めた娘。療育先では、娘の希望に沿って、ぬり絵や工作、知育玩具を使った遊び、ぶらんこ・ボールプールといった運動遊びなど、毎回いろいろな内容の遊びをしています。
さらにスライムを一から作ったり、ヘアメイクができる人形遊びや、布を巻きつけてドレス屋さんごっこと、家や保育園でやったことのない遊びも多く体験していました。
お迎えのときに、写真を見ながらその日の娘の様子について報告を受けるのですが、毎回全力で楽しんでいる様子。
そして、いつも先生方は、娘の運動能力の高さや、遊びに集中して取り組む姿勢、個性的な色彩感覚などを、全力で褒めてくれます。
「すごい! そんなことできるの!?」と私からも娘に向かって褒めると、娘は嬉しそうにもじもじ。
周りから褒められすぎて、戸惑っているように思えたのですが、そのとき「こんな娘の表情や姿を見たことがあっただろうか?」と考えました。
実はこのときまで、私は娘を本気で褒めたことが思い出せなかったのです。
娘への接し方を改めて振り返る
今までの私は、保育園で娘が描いた絵や、工作で作ったものを披露してくれたときに「上手だね」「いい感じだよ!」など、一言褒めるだけ。
もしくは、「ここの色はこっちのほうが良くない?」「この部分はなんでこれにしたの?」というような、いらぬアドバイスや質問をしたりと、娘が作ったものをありのままに本気で褒めることがあまりありませんでした。
行動についても同じことが言えます。娘が時間をかけてきれいにお片付けをしたとき、療育の先生は「こんなにきれいに片付けてくれたの! ありがとうね」と声をかけていたのに対し、私は片づける娘を観ながら「早くして。保育園に遅れてしまう……」と思っていたのです。
いつも娘ができたことを褒めるのではなく、できないことにフォーカスしてしまっていました。
療育の先生は、どんなに小さなことでも、できたことを褒め、そのあとにできなかったことを「こうしたらもっといいね」と前向きに助言していました。その先生の言葉には、比較的素直に受け入れる娘。
娘のできないことばかりを見て、なんとか正そうとしていたけれど、それは私の大きな間違い。娘の良いところを褒めて伸ばすことのほうが大切だとこのとき気づいたのです。
ここから娘への接し方も変わっていきました。
【三木崇弘先生】
子どもは何もできないところから始まり、養育者からの賞賛・承認と自分自身の手応えを糧にどんどん新しいことにチャレンジしていきます。上手くできたと思ったことはもちろん褒めてほしいですし、どうかなと思う自信のないことも「いいじゃん!」と言ってほしいもの。小さいころは、どんどん褒めてあげてくださいね。