あらゆる子どもたちが交ざり合う「インクルーシブ公園」を最大限楽しむための心得
シリーズ「インクルーシブ公園」最新事情#1‐2 TOKYO PLAY代表・嶋村仁志氏インタビュー ~これからの公園の在り方~
2022.10.09
一般社団法人TOKYO PLAY代表:嶋村 仁志
他者と交じり合うことで子どもは育つ
──さまざまな人が集えるインクルーシブ公園では、子どもにとってもたくさんの出会いがありそうです。
嶋村さん これからは「交じり合うこと」が大事だと思います。障がいのある子もない子も、年齢も性別も国籍も関係なく、あらゆる人が交じり合える世界になってほしいのです。
今、個別のファミリーに向けたサービスが充実しているせいなのか、配慮しあうことが苦手な人が増えているなと感じます。
自分でちょっと相手に言えばすむようなことも、どう伝えればいいのかわからず、係員に対応してもらう……、これでは、他者と交じり合うことなんてできないですよね。
インクルーシブ公園に限ったことではありませんが、公園を訪れたら、親は自分の子以外の子どもと関わる機会を作ってほしいなと思います。
例えば、幼い子どもが砂場で遊ぼうとすると「入らないで!」と言うお兄ちゃん・お姉ちゃんっていますよね。そういうとき、すぐにあきらめず「これ作ったの? すごいね」とほめてみてください。
そうするとまんざらでもなく、いつの間にか子どもを砂場へ入れてくれて一緒に遊んでいることもあります。
トラブルを防ぐためだけに交流を避けたり、「ダメ」と禁止ばかりするよりも、関わることで生まれる新しい関係性を楽しめたらいいですよね。
──子どもと関わると、その親ともつながりが生まれそうです。
嶋村さん 「子育ては孤独」とも言われますよね。ぜひ公園で親や大人とのつながりを増やしてほしいです。
遊びにまつわる仕事をしている私でも、子どもと1対1ではもちません(笑)。マンツーマンがムリだと思ったら、子どもがほかの子と遊べるきっかけを作ったり、そばにいる親御さんと顔見知りになって、一緒に見守ったりするほうが絶対にラクですよね。
そして何より、子どもにとっても、子どもと遊ぶのがいちばんですから。
ただ、子どもには大切な人に見ていてほしい瞬間が必ずあるので、そのときに「ちゃんと見ているよ」と伝えられる心の余裕を持っておくといいと思います。
──いろいろな年代の子どもと交わることで、遊びの幅も広がりますね。
嶋村さん 他者と交わることで、子どもは育ちます。楽しいこともあればトラブルだって経験するし、その中からいろいろな感情のレパートリー、人間関係のレパートリーがどんどん増えて、子どもを成長させます。
そんな子どもの姿を見て、大人が学ぶこともたくさんあるはずです。
そこを意識したインクルーシブな公園づくりは、これからの時代ならではの課題になるのではないでしょうか。
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さまざまな子どもたちと出会い、遊べるインクルーシブ公園。ダイバーシティを身近に感じられるこの場所は、これからの社会を生きる子どもたちの心を大きく成長させるのではないでしょうか。
次回は、都立初のインクルーシブ公園・砧公園「みんなのひろば」の整備を提案した東京都議会議員で、ダウン症児の母でもある、龍円愛梨さんのインタビューをお届けします。
取材・文/星野早百合
嶋村仁志(しまむらひとし)
一般社団法人TOKYO PLAY代表、一般社団法人日本プレイワーク協会代表、NPO法人日本冒険遊び場づくり協会理事、IPA日本支部運営委員、大妻女子大学非常勤講師。1995年、英国Leeds Metropolitan大学ヘルス&ソーシャルケア学部プレイワーク学科高等教育課程修了。1996年より、東京都「羽根木プレーパーク」、神奈川県「川崎市子ども夢パーク」など、冒険遊び場のプレーリーダー(プレイワーカー)を歴任。2010年、TOKYO PLAY設立時より代表に就任し、2005年から2011年には、IPA(International Play Association・子どもの遊ぶ権利のための国際協会)東アジア副代表を務めるなど、国内外で活躍。共著に『子どもの放課後にかかわる人のQ&A50:子どもの力になるプレイワーク実践』(学文社)。翻訳本も多数で、新刊『インクルーシブって、なぁに? ~子どもを分けない場づくり はじめの一歩~』(著:フィリップ・ダウチ/TOKYO PLAY)が発売中。1男1女の父。
星野 早百合
編集プロダクション勤務を経て、フリーランス・ライターとして活動。雑誌やWEBメディア、オウンドメディアなどで、ライフスタイル取材や著名人のインタビュー原稿を中心に執筆。 保育園児の娘、夫、シニアの黒パグと暮らす。
編集プロダクション勤務を経て、フリーランス・ライターとして活動。雑誌やWEBメディア、オウンドメディアなどで、ライフスタイル取材や著名人のインタビュー原稿を中心に執筆。 保育園児の娘、夫、シニアの黒パグと暮らす。
嶋村 仁志
一般社団法人TOKYO PLAY代表、一般社団法人日本プレイワーク協会代表、NPO法人日本冒険遊び場づくり協会理事、IPA日本支部運営委員、大妻女子大学非常勤講師。 1995年、英国Leeds Metropolitan大学ヘルス&ソーシャルケア学部プレイワーク学科高等教育課程修了。1996年より、東京都「羽根木プレーパーク」、神奈川県「川崎市子ども夢パーク」など、冒険遊び場のプレーリーダー(プレイワーカー)を歴任。 2010年、TOKYO PLAY設立時より代表に就任し、2005年から2011年には、IPA(International Play Association・子どもの遊ぶ権利のための国際協会)東アジア副代表を務めるなど、国内外で活躍。 共著に『子どもの放課後にかかわる人のQ&A50:子どもの力になるプレイワーク実践』(学文社)。翻訳本も多数で、新刊『インクルーシブって、なぁに? ~子どもを分けない場づくり はじめの一歩~』(著:フィリップ・ダウチ/TOKYO PLAY)が発売中。1男1女の父。 ●TOKYO PLAY ウェブサイト
一般社団法人TOKYO PLAY代表、一般社団法人日本プレイワーク協会代表、NPO法人日本冒険遊び場づくり協会理事、IPA日本支部運営委員、大妻女子大学非常勤講師。 1995年、英国Leeds Metropolitan大学ヘルス&ソーシャルケア学部プレイワーク学科高等教育課程修了。1996年より、東京都「羽根木プレーパーク」、神奈川県「川崎市子ども夢パーク」など、冒険遊び場のプレーリーダー(プレイワーカー)を歴任。 2010年、TOKYO PLAY設立時より代表に就任し、2005年から2011年には、IPA(International Play Association・子どもの遊ぶ権利のための国際協会)東アジア副代表を務めるなど、国内外で活躍。 共著に『子どもの放課後にかかわる人のQ&A50:子どもの力になるプレイワーク実践』(学文社)。翻訳本も多数で、新刊『インクルーシブって、なぁに? ~子どもを分けない場づくり はじめの一歩~』(著:フィリップ・ダウチ/TOKYO PLAY)が発売中。1男1女の父。 ●TOKYO PLAY ウェブサイト