チーム「家族」の幸せのために…令和になっても変わらぬ「パパの役割」とは

人生相談本コレクター・石原壮一郎のパパママお悩み相談室【15】「パパの大切な役割とは?」

コラムニスト&人生相談本コレクター:石原 壮一郎

<石原ジイジの結論>

「パパに求められる役割」は、急激に変化している。

我々の親の世代が子育てをしていた昭和30~50年代は、子育ては「母親の仕事」だった。父親に求められたのは、外で稼いでくることと、たまに子どもを叱る「威厳(いげん)がある怖い存在」になることである。ただ、それはあくまで「標準的なイメージ」で、実際には夫婦によっていろいろではあった。

平成に入ってからも、父親の役割に悩む相談者に対して、たとえば漫画家の赤塚不二夫さんは、1995(平成7)年に出た著書『赤塚不二夫の「これでいいのだ!!」人生相談』(集英社)で、「男は仕事! これでいいのだ!!」と答えている。

赤塚不二夫さんだからということもあるが、当時はその答えがそれなりに説得力を持っていた。しかし、現在のパパママにはまったく響かないし、こんなことを言ったら大炎上するかもしれん。

「子育ては夫婦が協力してするもの」という前提は揺るぎないものとなったし、「育児を『手伝う』という他人ごとみたいな言い方はケシカラン」という認識も広まった。それはもちろんいいことである。肩に力が入り過ぎたり言葉尻にこだわり過ぎたりといった弊害も見受けられるが、トータルで見ればそれはささいなことじゃ。

ママや世の中の期待が高まる中で、パパの中で「パパならではの役割を見つけねば」というプレッシャーも高まっていく。ただ、人生相談が教えてくれているように、頭でっかちに「パパの役割」を考えても仕方ない。

強いて言うなら、心掛けたいのはこのふたつである。

その1「子どもと妻をしっかり見て、家族がいいチームになるように全力を尽くす」

その2「よきパパを目指すよりも、よき大人を目指すことを(なるべく)優先する」

「ママの役割」も、ほぼ同じである。「役割分担」という言葉は、それぞれが渋々ノルマをこなすためにあるわけではない。チームとして最大限の力を発揮するためにある。

また「よきパパ」なんてのはあとからついてくるもので、最初から目指すと小手先のテクニックを駆使して満足したり、周囲(家族や世間)の顔色ばかり気にしてしまったりしそうじゃ。

誰にでも当てはまって、それをしておけば大丈夫という「パパの役割」はない。岡本太郎さんが言うように、夫婦や親子によってさまざまである。

妻や我が子にとっての「自分にできる役割」を考え続けて、いや、むしろ考える前に行動し続けることが、いちばん大切でもっとも求められている役割と言えるじゃろう。

【石原ジイジ日記】
最近、F菜はトランプの「ババ抜き」を覚えた。大人たちはF菜がババを引かないように、ほかのカードを出っ張らせる。F菜には特別扱いされている自覚はない。勝利を収めると「やった、やったー!」と飛び跳ねて大喜び。そんな無邪気さも、やがて失われるだろう。成長はうれしいけど、ちょっと寂しい。

石原壮一郎(いしはらそういちろう)
コラムニスト&人生相談本コレクター。1963年三重県生まれ。月刊誌の編集者を経て、1993年に『大人養成講座』でデビュー。以来、数多くの著作や各種メディアでの発信を通して、大人としてのコミュニケーションのあり方や、その重要性と素晴らしさと実践的な知恵を日本に根付かせている。現在(2022年)、3歳女児の現役ジイジ。

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いしはら そういちろう

石原 壮一郎

コラムニスト

コラムニスト。1963年三重県生まれ。月刊誌の編集者を経て、1993年に『大人養成講座』でデビュー。以来、数多くの著作や各種メディアでの発信を通して、大人としてのコミュニケーションのあり方や、その重要性と素晴らしさと実践的な知恵を日本に根付かせている。女児(2019年生まれ)の現役ジイジ。 おもな著書に『大人力検定』『コミュマスター養成ドリル』『大人の超ネットマナー講座』『昭和だョ!全員集合』『大人の言葉の選び方』など。故郷の名物を応援する「伊勢うどん大使」「松阪市ブランド大使」も務める。ホンネをやわらげる言い換えフレーズ652本を集めた『【超実用】好感度UPの言い方・伝え方』も大好評。 林家木久扇がバカの素晴らしさを伝える『バカのすすめ』(ダイヤモンド社)では構成を担当。2023年1月には、さまざまな角度のモヤモヤがスッとラクになる108もの提言を記した著書『無理をしない快感 「ラクにしてOK」のキーワード108』(KADOKAWA)が発売。 2023年5月発売の最新刊『失礼な一言』(新潮新書)では、日常会話からメール、LINE、SNSまで、さまざまな局面で知っておきたい言葉のレッドラインを石原壮一郎氏がレクチャー。 写真:いしはらなつか

コラムニスト。1963年三重県生まれ。月刊誌の編集者を経て、1993年に『大人養成講座』でデビュー。以来、数多くの著作や各種メディアでの発信を通して、大人としてのコミュニケーションのあり方や、その重要性と素晴らしさと実践的な知恵を日本に根付かせている。女児(2019年生まれ)の現役ジイジ。 おもな著書に『大人力検定』『コミュマスター養成ドリル』『大人の超ネットマナー講座』『昭和だョ!全員集合』『大人の言葉の選び方』など。故郷の名物を応援する「伊勢うどん大使」「松阪市ブランド大使」も務める。ホンネをやわらげる言い換えフレーズ652本を集めた『【超実用】好感度UPの言い方・伝え方』も大好評。 林家木久扇がバカの素晴らしさを伝える『バカのすすめ』(ダイヤモンド社)では構成を担当。2023年1月には、さまざまな角度のモヤモヤがスッとラクになる108もの提言を記した著書『無理をしない快感 「ラクにしてOK」のキーワード108』(KADOKAWA)が発売。 2023年5月発売の最新刊『失礼な一言』(新潮新書)では、日常会話からメール、LINE、SNSまで、さまざまな局面で知っておきたい言葉のレッドラインを石原壮一郎氏がレクチャー。 写真:いしはらなつか