あなどれない「小さくて大きな家事」とは?
ワンオペ育児の4つのタイプのうち、ハラユキさんが「一番根深いかもしれないモヤモヤ」と考えるのが、「ワンオペ体質」です。
個人の気持ちや考え方、性格的な面からワンオペ状態が泥沼化してしまう……ああ、あまりにも分かりみが深い! と感じた人は、少なくないのではないでしょうか?
実はハラユキさん自身も、この点で悩んだ一人。
「私のモヤモヤが募ったのは、『小さくて大きい家事』。家事の労力自体はかなり小さいけれど、それを家族がやらずに私がフォローするたび、『なぜこれくらい自分でできないの?』と、地味に大きなストレスが溜まっていました。ウチの場合、夫が脱いだ靴下を、床に落としっぱなしにすることです」
夫に注意をすると「靴下くらいでイライラしないで」。そこで自分は「こんなカンタンなことすらできないなんて……!」と、ますますイライラが膨らんでしまう。
コロナ禍を機に、ハラユキさんの夫は家事の名人になったのですが(本を参照)、それでも靴下は床に落ち続けているそうです。
家事ができるのになぜ!? どうして靴下はダメなの!?
考えた末、ハラユキさんがたどり着いたのが、「できる・できない」「スキ・フツウ・キライ」で考えた、家事の分類でした。
そして夫にとっての「脱いだ靴下を落としっぱなしにしないこと」は、「スキでもキライでもないけれど、できない家事」だと、気がついたのです。
「このとき私のほうも、問題は靴下だけではないんだと気づきました。小さいことが大きく膨らんで気になってしまったら、自分が限界に近づいているサインかもしれない、と」
それだけハードで、心身ともに疲れてしまうのが、不本意なワンオペ育児──そのイライラ・モヤモヤを少しでも減らしたい! と祈るように描いたのがこの本だと、ハラユキさんは語ります。
家族の問題を整理して解決法を探る
「これ、うちのこと?!」と言いたくなるような、ワンオペ育児のリアルを詰めこんだ『ワンオペ育児モヤモヤ脱出ガイド』。「あるある!」のエピソードの多くは、著者のハラユキさん自身も経験したそうです。
ご自身はどんなワンオペ育児のモヤモヤを経て、それを解消するための本を作られたのでしょう?
「ワンオペ育児のモヤモヤ4タイプ」に付いて紹介した今回の前編に続き、次回の後編では、ハラユキさんの作家活動について伺います。
そこには、ワンオペ育児の産後クライシスや夫の海外転勤にはじまり、コロナ禍にうつ病と、さまざまなピンチがありました。
「家族の問題を整理して解決法を探る」ハラユキさんの原動力に迫ります。
※後編は2025年11月2日より配信開始
取材・文/髙崎 順子
イラスト/ハラユキ(『ワンオペ育児モヤモヤ脱出ガイド』より)

髙崎 順子
1974年東京生まれ。東京大学文学部卒業後、都内の出版社勤務を経て渡仏。書籍や新聞雑誌、ウェブなど幅広い日本語メディアで、フランスの文化・社会を題材に寄稿している。著書に『フランスはどう少子化を克服したか』(新潮新書)、『パリのごちそう』(主婦と生活社)、『休暇のマネジメント 28連休を実現するための仕組みと働き方』(KADOKAWA)などがある。得意分野は子育て環境。
1974年東京生まれ。東京大学文学部卒業後、都内の出版社勤務を経て渡仏。書籍や新聞雑誌、ウェブなど幅広い日本語メディアで、フランスの文化・社会を題材に寄稿している。著書に『フランスはどう少子化を克服したか』(新潮新書)、『パリのごちそう』(主婦と生活社)、『休暇のマネジメント 28連休を実現するための仕組みと働き方』(KADOKAWA)などがある。得意分野は子育て環境。

















































































ハラユキ
雑誌、書籍、Webなどの媒体で執筆しつつ、コミックエッセイも出版。2017年から約2年間バルセロナに住んだことをきっかけに、海外取材もスタートさせる。著書に『王子と赤ちゃん』(講談社/カワハラユキコ名義)、『オラ! スペイン旅ごはん』(イースト・プレス)、『ほしいのは「つかれない家族」』『ワンオペ育児モヤモヤ脱出ガイド』(講談社)、『誰でもみんなうつになる』(KADOKAWA)などがある。 オンライン・コミュニティ「バル・ハラユキ」も主宰。 ハラユキ公式サイト https://suikyo.amebaownd.com/ バル・ハラユキ https://note.com/harayukinote/membership/join
雑誌、書籍、Webなどの媒体で執筆しつつ、コミックエッセイも出版。2017年から約2年間バルセロナに住んだことをきっかけに、海外取材もスタートさせる。著書に『王子と赤ちゃん』(講談社/カワハラユキコ名義)、『オラ! スペイン旅ごはん』(イースト・プレス)、『ほしいのは「つかれない家族」』『ワンオペ育児モヤモヤ脱出ガイド』(講談社)、『誰でもみんなうつになる』(KADOKAWA)などがある。 オンライン・コミュニティ「バル・ハラユキ」も主宰。 ハラユキ公式サイト https://suikyo.amebaownd.com/ バル・ハラユキ https://note.com/harayukinote/membership/join