【お金と時間】父親ボーナス・母親ペナルティ…共働きで「子育て・仕事」の両立どうすべき?【専門家が解説】

共働き時代のソリューション #1 (4/4) 1ページ目に戻る

髙崎 順子

”母親ペナルティ”を減らすには

”母親ペナルティ”を減らすには父親が「育休」だけでなく「時短勤務」も取り入れるのがベター(写真:アフロ)
すべての画像を見る(全5枚)

「“母親ペナルティ”を減らすには、父親たちが育休だけではなく、時短勤務も取り入れるのが望ましい」そう大石先生は話します。

結婚・出産によって、どの家庭でも必要になる、仕事と私生活の時間の調整。これまでは母親だけが担っていたその調整を、これからは父親も一緒にやるべきだ、と。

「介護や育児など『他のこと』をしている間、仕事をしていたら得られたはずの収入を、経済学では『機会費用』と言います。子育ての機会費用を『家庭のコスト』として評価し、夫婦で一緒に負担することが重要です」(大石先生)

共働き子育て、まずやれることは?

そのためには、社会全体の働き方を変えねばいけません。

まずは、長時間労働を減らしていくこと。男性が家庭でより多く時間を過ごすには、「仕事をしない時間」を増やしていく必要があります。

「それと同時に、男女ともに正社員で就職し、働き続けられる運用にするのが大切です。育休取得や時短勤務を使い、キャリアを維持できるように、働く現場を変えていく」(大石先生)

さらに大石先生は、「1980年代に作られた、女性の働き方に赤信号を出す社会保障の制度を、クリアにしていく必要もある」と語ります。

「時間」と「お金」の大変さを軽減する

そして日本では「働く母親の中で、正社員が増えている」ことが、厚労省の調査(※)からわかっています。(※厚生労働省「国民生活基礎調査」2024年)

共働き夫婦の子育てで「時間」と「お金」の大変さを軽減するには、夫婦で協力しあって、働き方を調整するのがマスト。

「ボーナス」も「ペナルティ」も、夫婦のどちらかに固定しないで、二人で分かち合わなければ、子育ては「無理ゲー」であり続けてしまいます。

その大切なソリューションとして注目が高まっているのが、大石先生も挙げていた父親の育休です。

「育休によって父親の在宅時間が増えると、育休後にも父親が家事育児を担う時間が増えることも、分かってきています」(大石先生)

続く後編では、父親が育休を取得して、仕事と家庭の両立バランスを夫婦でうまく取ることに成功した、30代カップルの実例をご紹介します。

※2月25日よりリンク有効

【参考】
経済学におけるワーク・ライフ・バランス(大石 亜希子)

https://oisr-org.ws.hosei.ac.jp/images/oz/contents/723_03.pdf

1980 年代半ば以降の雇用共稼ぎの増加とその背景(大石 亜希子)
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2017/12/pdf/004-016.pdf

時間帯の視点からみた労働者の生活と健康、子どもへの影響(大石 亜希子)
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20240306/houkoku/01-keynote-oishi.html

厚生労働省「国民生活基礎調査」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/20-21.html

内閣府「国民生活白書(平成17年)」
https://www5.cao.go.jp/seikatsu/whitepaper/

内閣府「男女共同参画白書(平成18年)」
https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h18/web/danjyo/html/column/column01.html

総務省統計局「労働力調査結果(2024年)」
https://www.stat.go.jp/data/roudou/index.html

あわせて読みたい【共働きと子育て】

この記事の画像をもっと見る(全5枚)

前へ

4/4

次へ

39 件
大石 亜希子
おおいし あきこ

大石 亜希子

Akiko Oishi
経済学者

千葉大学大学院 社会科学研究院 教授。日本経済研究センター研究員、国立社会保障・人口問題研究所室長などを経て現職。博士(学術)。こども家庭庁こども家庭審議会こどもの貧困対策・ひとり親家庭支援部会委員。専門は労働経済学・社会保障論。主な著作に「経済学におけるワーク・ライフ・バランス」(『大原社会問題研究雑誌』No.723所収、2019)、 Family, Work and Wellbeing in Asia (Springer, 共著、2017)。

千葉大学大学院 社会科学研究院 教授。日本経済研究センター研究員、国立社会保障・人口問題研究所室長などを経て現職。博士(学術)。こども家庭庁こども家庭審議会こどもの貧困対策・ひとり親家庭支援部会委員。専門は労働経済学・社会保障論。主な著作に「経済学におけるワーク・ライフ・バランス」(『大原社会問題研究雑誌』No.723所収、2019)、 Family, Work and Wellbeing in Asia (Springer, 共著、2017)。

髙崎 順子
たかさき じゅんこ

髙崎 順子

Junko Takasaki
ライター

1974年東京生まれ。東京大学文学部卒業後、都内の出版社勤務を経て渡仏。書籍や新聞雑誌、ウェブなど幅広い日本語メディアで、フランスの文化・社会を題材に寄稿している。著書に『フランスはどう少子化を克服したか』(新潮新書)、『パリのごちそう』(主婦と生活社)、『休暇のマネジメント 28連休を実現するための仕組みと働き方』(KADOKAWA)などがある。得意分野は子育て環境。

1974年東京生まれ。東京大学文学部卒業後、都内の出版社勤務を経て渡仏。書籍や新聞雑誌、ウェブなど幅広い日本語メディアで、フランスの文化・社会を題材に寄稿している。著書に『フランスはどう少子化を克服したか』(新潮新書)、『パリのごちそう』(主婦と生活社)、『休暇のマネジメント 28連休を実現するための仕組みと働き方』(KADOKAWA)などがある。得意分野は子育て環境。