
「妊娠・セックス」だけではなく「自分の健康を守る」ことも性教育
──今回の児童養護施設の性教育では、実際にどのような授業をしたのですか?
小徳羅漢先生(以下、小徳先生):今回は、性的マイノリティであるLGBTQなども含め、もっと広い意味での性教育を行いました。
性教育というと妊娠・出産や生理、セックス、性感染症などをイメージするかもしれませんが、実際にはもっと幅広い内容が含まれています。
例えば、自分の健康と幸福、尊厳を守ることや尊重された社会的・性的な関係を育てることなども、広い意味では包括的性教育です。
つまり、ひと言で言えば性教育とは、自分自身や自分の大切な人を守るために必要な知識です。子どもたちには自分自身がかけがえのない存在であることを知ってもらい、自分自身を大切にできるようになってもらいたいと思って授業をしました。

「保育士になって白百合の寮に戻りたい」という生徒も
──具体的な内容を教えてください。
小徳先生:まず、子どもたちに将来やりたいことや夢を聞くところからスタートしました。自分の夢を大切にすることは、自分自身を大切にすることにつながるからです。
一人ひとりに夢を聞くと、皆、夢中になって将来の目標を話してくれました。彼らの目標は、看護師や教師などさまざまです。中には保育士になって「自分が育った白百合の寮に戻って恩返しがしたい」と言う生徒もいました。
そのようにそれぞれの夢や目標を話し合ったうえで「もしも、予想外の妊娠などが起きたら、その夢を叶えることが難しくなってしまうかもしれない。だからこそ、そうならないためにも、正しい知識を身につけることが大切だよね」というと、皆、とても素直に話を聞いてくれたのです。