PTA代行業に問合せ80件! “本音は逃げたい“親 本当にラクになるの? 徹底取材

プロへの依頼で負担軽減「PTAアウトソーシング」#1 ~5種のサービス~

ライター:遠藤 るりこ

どの現場でも求められているのは人材

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同社がPTAアウトソーシングサービスを開始する、とリリースを出したあと、もっとも問い合わせが多かったのが「人を派遣してほしい」との依頼です。

「どの現場でも、マンパワーが足りていないんだなと実感しております。③人材派遣では、学校イベントや行事でマンパワーが必要とされるときに、受付作業や事務を代行します」(KNT‐CTホールディングス・夜久さん)

近畿日本ツーリストの場合、個人的な代行依頼ではなく、「指示監督管理責任者がPTA内にいることが前提で、PTAという組織との契約を結んだうえでの人材派遣になります」と、夜久さん。

というのも、「運動会の見回りや旗振り当番、保護者会出席の個人としての代役はできるのか」などという個人からの相談が少なくないからだといいます。

「いろいろな依頼がありますが、弊社から派遣されるのは基本的に添乗業務が本職の者。現場でのノウハウ、動きなどをプロのサービスとして提供できるのが特徴です。

子どもとのやりとりや動線など心得ている、旅程管理主任者という資格を所持している者なので、安心してお任せいただければと思います」(KNT‐CTホールディングス・夜久さん)

次回は、残りのサービスである「④イベント関連」や「⑤出張授業や学習支援」の内容と、近畿日本ツーリストがPTA業務を行う意図はどこにあるのか、などをおうかがいします。

〈PTAにくわしい労働・子育てジャーナリスト 吉田大樹さんから〉

PTA業務のなかには、専門のスキルがないとできないことというのがどうしてもあります。例えば広報誌のデザインだったり、WEBサイト作成だったりです。

しかし、保護者たちのスキルは平等ではありません。ですから毎回仕事ができる人がかたより、スキルを持つ人だけに仕事が集まってしまうという不平等な現実があります。

まずはそのPTAの業務が必要なものかどうかを精査することが必要ですが、PTAの役員間でしっかり話し合ったうえで、それを補佐してくれる役割として、アウトソーシングを活用するのがいいのではないでしょうか。

1から10まで丸投げしてすべてお願いするのではなく、「1から7までは私たちPTAでやるけれど、あとの3はプロにお任せします」など、しっかりと線引きをすることが大事です。

そうやってみんなが無理なく、全体の活動を底上げしていくことができればいいんじゃないかと私は思います。

また、専門性の高い仕事をせっかくプロにお願いするのだとしたら、これまでのやり方を一気に転換してみるのもひとつの手です。例えば広報誌などは紙ベースのものを止め、ブログをつくってそこに記事をアップしていくようにする、などです。

毎回多くの時間や労力をかけて、できる人しかできなかった業務を、ちがった発信の手段を得ることでみんなが継続的に使えるツールに転換するのです。

新しい時代の業務の進め方や発信の方法、行事の提案などが、アウトソーシングサービスから学べたらいいですね。

吉田大樹(よしだ・ひろき)プロフィール
労働・子育てジャーナリスト。1977年東京生まれ。NPO法人グリーンパパプロジェクト代表理事。3児のシングルファーザーで、小~高のPTA会長を経験。現在、埼玉県鴻巣市のP連(PTA連合組織)会長。元内閣府「子ども・子育て会議」委員、内閣官房「就学前のこどもの育ちに係る基本的な指針」に関する有識者懇談会委員も務めている。

取材・文/遠藤るりこ

取材協力/KNT‐CTホールディングス

●近畿日本ツーリスト PTA業務アウトソーシングサービス
https://gtc.knt.co.jp/pta/

※1=PTA活動に関する意識調査/ワークスモバイルジャパン株式会社
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000313.000020202.html

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よしだ ひろき

吉田 大樹

労働・子育てジャーナリスト、NPO法人グリーンパパプロジェクト代表理事

1977年東京生まれ。札幌出身、埼玉県鴻巣市在住。日本大学大学院法学研究科政治学専攻修了(政治哲学)。 2003年より労働関係の専門誌記者として、ワーク・ライフ・バランスや産業保健(過重労働・メンタルヘルスなど)の問題を取材。働き方や生き方の変革を訴える。 2012年7月から2年間、NPO法人ファザーリング・ジャパン代表理事。2014年から労働・子育てジャーナリストとして活動開始。2016年NPO法人グリーンパパプロジェクトを設立。代表理事に就任。2019年5月から放課後児童クラブ「南よつばの願い学童」の運営開始。 これまでに、内閣府「子ども・子育て会議」委員、厚生労働省「イクメンプロジェクト推進委員会推進」委員、経済財政諮問会議「今後の経済財政動向等についての点検会合」有識者などを歴任。 現在、厚生労働省「社会保障審議会児童部会子どもの預かりサービスの在り方に関する専門委員会」委員、内閣官房こども家庭庁準備室「就学前のこどもの育ちに係る基本的な指針」に関する有識者懇談会委員、東京都「子供・子育て会議」委員、鴻巣市「男女共同参画審議会」委員、鴻巣市「鴻巣市PTA連合会」会長などを務める。 著書に『パパの働き方が社会を変える!』(労働調査会刊) 3児(長男03年生まれ、長女06年生まれ、次男08年生まれ)のシングルファーザー。

1977年東京生まれ。札幌出身、埼玉県鴻巣市在住。日本大学大学院法学研究科政治学専攻修了(政治哲学)。 2003年より労働関係の専門誌記者として、ワーク・ライフ・バランスや産業保健(過重労働・メンタルヘルスなど)の問題を取材。働き方や生き方の変革を訴える。 2012年7月から2年間、NPO法人ファザーリング・ジャパン代表理事。2014年から労働・子育てジャーナリストとして活動開始。2016年NPO法人グリーンパパプロジェクトを設立。代表理事に就任。2019年5月から放課後児童クラブ「南よつばの願い学童」の運営開始。 これまでに、内閣府「子ども・子育て会議」委員、厚生労働省「イクメンプロジェクト推進委員会推進」委員、経済財政諮問会議「今後の経済財政動向等についての点検会合」有識者などを歴任。 現在、厚生労働省「社会保障審議会児童部会子どもの預かりサービスの在り方に関する専門委員会」委員、内閣官房こども家庭庁準備室「就学前のこどもの育ちに係る基本的な指針」に関する有識者懇談会委員、東京都「子供・子育て会議」委員、鴻巣市「男女共同参画審議会」委員、鴻巣市「鴻巣市PTA連合会」会長などを務める。 著書に『パパの働き方が社会を変える!』(労働調査会刊) 3児(長男03年生まれ、長女06年生まれ、次男08年生まれ)のシングルファーザー。

えんどう るりこ

遠藤 るりこ

ライター

ライター/編集者。東京都世田谷区在住、三兄弟の母。子育てメディアにて、妊娠・出産・子育て・子どもを取り巻く社会問題についての取材・執筆を行っている。歌人・河野裕子さんの「しつかりと 飯を食はせて 陽にあてし ふとんにくるみて寝かす仕合せ」という一首が、子育てのモットー。 https://lit.link/ruricoe

ライター/編集者。東京都世田谷区在住、三兄弟の母。子育てメディアにて、妊娠・出産・子育て・子どもを取り巻く社会問題についての取材・執筆を行っている。歌人・河野裕子さんの「しつかりと 飯を食はせて 陽にあてし ふとんにくるみて寝かす仕合せ」という一首が、子育てのモットー。 https://lit.link/ruricoe