月1500人もの子どもが集う“学生駄菓子屋” 夢中にさせる大学生の熱量とは

シリーズ「令和版駄菓子屋」#4‐1 「学生駄菓子屋」~駄菓子屋irodori~

ライター:遠藤 るりこ

経験値をどう残し伝えていくのか

駄菓子屋irodoriに参加して2年目の大学生、野中洋明(のなか・ひろあき)さんは、今後の店のあり方についてこう話します。

「学生チームには、スタッフの出入りが激しいという課題もあります。これまで培ってきた経験値をどう残していくのか、最近はそんなことが僕の中でのテーマです」(野中さん)

irodoriを立ち上げた代表である飯村さん(むらせん)も、そして野中さん自身も、ゆくゆくはirodoriから卒業してしまう存在です。

「むらせんが自力で作ってきたものを、誰でも扱えるようなものに落とし込まないと、と感じています。この場所をゼロから作り上げた彼の熱量やレベルにかなうことはできないけれど、彼がいないとやっていけないのでは組織としてダメですよね。

学生たちが勉強や就活などと両立させながら、自分の人生を100%捧げなくても続けられる仕組みを考えていきたいです」(野中さん)

それに対し中山さんは「経験値を後の世代に伝えていくのは大事なことだね。これまでを振り返りながら、その都度アレンジして続けていけるといいかも」と応えます。

「これまでの2年は、とにかくがむしゃらで、その場その場でギリギリの判断を続けてやってきたことも多かった。今は学生の人数が増えて、すごく進化していると感じています。

活動の記録が残せる余白もできてきたことで、見通しが立って、次につながる予想をしながらの運営ができている。若い力でどんどん話し合って改善していって、持続可能な居場所であり続けてほしいですね」(中山さん)

地域の祭りに参加する学生ボランティアたち。今年主催した夏祭りには3日間で2000人動員したというから驚き。 写真提供:駄菓子屋irodori
子どもたちとの関わりの中で試行錯誤しながら、少しだけ約束事も作っている。 写真:遠藤るりこ

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学生たちが誇りと信念を持ち、仲間たちと協力して運営を続けるirodori。学校の枠を超えて楽しく広く活動する学生の姿が、自由な放課後を満喫する子どもたちの姿に重なって見えました。

次回は、新潟県長岡市の「駄菓子屋ハブ」にインタビュー。子どもを取り巻く社会課題、地域の課題を解決する駄菓子屋運営を考えます。

取材協力/
●駄菓子屋irodori
東京都足立区関原3-15-3
営業時間:月・火・木・金 15時〜19時、水 14時〜19時、土・日・祝 13時〜18時
定休日:不定休

【関連サイトなど】
HP「駄菓子屋irodori」
X(旧ツイッター)  @irodori_1213
Instagram 駄菓子屋『irodori』
note 駄菓子屋 irodori
Facebook 駄菓子屋 irodori

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えんどう るりこ

遠藤 るりこ

ライター

ライター/編集者。東京都世田谷区在住、三兄弟の母。子育てメディアにて、妊娠・出産・子育て・子どもを取り巻く社会問題についての取材・執筆を行っている。歌人・河野裕子さんの「しつかりと 飯を食はせて 陽にあてし ふとんにくるみて寝かす仕合せ」という一首が、子育てのモットー。 https://lit.link/ruricoe

ライター/編集者。東京都世田谷区在住、三兄弟の母。子育てメディアにて、妊娠・出産・子育て・子どもを取り巻く社会問題についての取材・執筆を行っている。歌人・河野裕子さんの「しつかりと 飯を食はせて 陽にあてし ふとんにくるみて寝かす仕合せ」という一首が、子育てのモットー。 https://lit.link/ruricoe