
不登校になったら進路はどうなる? 学校には行かない子どもに起きた変化
2025.03.26
自分に合った学び方を探して
現在高校1年生のkawataiさんは、中学生のときにフリースクールを選択。その後、通信制高校に進学し、現在に至ります。自分に合った学び方を、3年以上にわたって探ってきました。

公立中からフリースクールへ――自分に合った学びを見つけるまで
kawataiさんは小学校6年生の2学期から、校長室への登校をはじめました。
お母さんはこう振り返ります。「それまでは他の子と同じように登校していましたが、一斉教育が合わないとは感じていました。でも、小学校全体が彼の存在を認め、『どうやったら伸ばせるか』にフォーカスしてくださったのがありがたかった」
しかし、地元の公立中学校に進学してからは状況が一転。校則や勉強に対する違和感が強くなり、1年生の3学期に学校へ行くのをやめました。
数ヵ月間家庭で過ごしたあとに選んだのは、小学生のころから興味をもっていたオンライン通信と通学の授業を選べるフリースクールでした。
「認可外学校」のフリースクール、不安はない?
フリースクールに決めたのは、所属していた野球チームのOBから話を聞いたことがきっかけだったといいますが、文部科学省から正式な認可を受けた学校ではありません。
不安はなかったのでしょうか。
「逆に公立中学校に通わせているときのほうが、死んだ魚のような目をしていて、不安を感じました。とにかく本人を信じて応援することを最優先に考え、誰に何と言われようと、この選択は正しいんだと信じて決めたのです」とお母さん。
kawataiさん自身も、こう振り返ります。「あのまま公立中学校に通っていたら心がダメになりそうでした。このフリースクールなら、自分に合いそうだと直感しました」
生徒同士のディスカッションで学び、プログラミングも習得
とりあえず週1回行ってみたら、と期待せずに送り出したというお母さん。
しかし、kawataiさんはディスカッションやプログラミングなどの学習内容に新鮮さを感じ、「学び方が自分に合っている」と、どんどん力を伸ばします。
人間関係も充実し、通学回数を週3回に増やしました。週の途中で休息を挟めるのも良かったといいます。
クリエイティブなサポート体制にもお母さんは感動をおぼえました。
「若い20〜30代の方々がメンターとなり、成長の道筋を子どもと一緒に考えてくれました。基礎学習などは、大学生や教育的知見のあるTA(ティーチングアシスタント)がサポートしてくれました」
「保護者会でも、子どもの様子を動画で見せてくれたり、親も授業を体験したりできるのですごく面白かったです。公立中学校の保護者会では、小さくなって『すみません』と謝罪するばかりでした」
と、その違いに驚いたそうです。
将来を見据えてハイブリッドな学びを
フリースクールで中学時代を過ごしたkawataiさんにとって、卒業後も自分の個性にあった場所で学びたいという思いがありました。高専なども検討しつつ、最終的にはフリースクールと同系列の通信制高校に進学。
現在はオンラインと週1回の通学を組み合わせてハイブリッドに学んでいます。
「ゆったり勉強しようと週1日の通学にしたのですが、学びたいことがいろいろ出てきたので、週3日に戻そうかなと考えています」とkawataiさん。
オンラインのみで学ぶ友達の中には、「誰かと話したい」という気持ちが強くなるケースもあるそうです。
生活リズムは大丈夫? 自立に向けてしていることは?
今のスタイルで、生活リズムが乱れることはないのでしょうか。
「毎朝6時には母に叩き起こされるので、起床は規則的ですね」とkawataiさんは笑います。「心と体の健康をキープするために、規則正しい生活は大切だと考えています」とお母さんも力を込めました。
学習面でも将来を見据えています。
この通信制高校では、単位認定テストを繰り返し受けることができ、補習も充実しているものの、自立のためにはもっと高い学力をつけていく必要を感じているとのこと。
「今は心理学に興味があります。また、子どもが好きなので、子どもに関わる仕事ができたらと思います」とkawataiさん。
「個性的で好きなことには没入するタイプなので、夢中なことを見つけて幸せに生きていってほしい」とお母さんも思いを語りました。