
室井滋が語る、親子の読み聞かせ「下手でもいい」理由 「端役じゃイヤ!」 教科書から始まった、朗読への情熱
【Amazonオーディブル】『ムーミン谷の彗星』スペシャルインタビュー 後編 (2/3) 1ページ目に戻る
2026.03.27
アンネ・フランクに自分を重ねて
──少女時代、特に心に残っている作品はありますか?
室井さん:衝撃的だったのは『アンネの日記』ですね。アンネがペーターに淡い恋心を抱くところにもドキドキしましたが、実はアンネは一時期、女優になることを夢見ていて、映画スターの写真をコレクションしていたというエピソードもあるんです。
本の中に掲載されていたアンネの表情カットを見て、「私、アンネに似てるかも」なんて勝手に思ったことも(笑)。彼女の文才や、閉塞感の中でも夢を持ち続ける姿勢にとても影響を受けました。
アンネの日記 (文春文庫)

それから『小公女』も大好きでしたね。私の両親は、私が小学校高学年のころに離婚してしまって、それで生活が不安定になった時期があったんです。
だから、自分をセーラに重ねて「ある日突然素敵な人がやってこないかな」「幸運が訪れないかな」と、夢見る気持ちもあったのだと思います。
あとは『若草物語』も好きだったのですが、本というものは、現実が少し大変なときに、別の世界へ連れていってくれる、救いのようなものでもあったのかもしれません。


「端役じゃイヤ! おつうが演りたい!」 教科書から始まった、朗読への情熱
──本を「読む」だけでなく、声に出して「表現する」ことには、いつごろから興味を持たれたのですか?
室井さん:小学校の国語の教科書には必ず戯曲(劇の台本)が載っていますよね。私はあれがやりたくて仕方なかったんです。
『夕鶴』のときには、「端役じゃ絶対にイヤだ、私は『おつう』を演りたい!」と思って、友達に「先生が指名するとき、私を推薦してね」って根回ししたりして(笑)。

結局みんなに「しげちゃんがいいと思います」と言ってもらって、希望どおりおつう役をゲットしたんです! なぜ朗読や演劇にそんなに興味があったのかは自分でもわからないのですが、物語の世界に入り込んで声に出すということが、理屈抜きで好きだったんでしょうね。
──富山の豊かなコミュニティも、室井さんの「演出家」としての視点に影響を与えているのでしょうか。
室井さん:そうですね。昭和の富山は町内単位の行事が本当に多かったんです。節分などの季節の行事やお祭りのほか、お遊戯会やお芝居、クリスマス会……。そこでは上級生が下級生にいろいろなことを引き継いでいく文化もありました。
私の町はホタルイカが獲れる街なので、「ホタルイカ音頭」を猛練習させられたこともありました。強烈な記憶なので、今でもとっても上手に踊れます(笑)。
幼稚園や小学校の先生方もすごく熱心で、発表会となると本格的な台本を用意してくれました。物語の一部を引用したり、詩をみんなで唱和したり、本当にいろいろなことをしましたね。
今、私が座長を務める「しげちゃん一座」のステージが、ただの朗読ではなく、音楽やマジックを交えた「総合芸術」のようにしているのは、もしかしたらあのころの、濃密で豊かな経験が生きているのかもしれません。
2000人の会場でも、子どもたちは「シーン」と聴き入る
──「しげちゃん一座」での活動は15年にも及ぶそうですが、最近のお子さんや親御さんの反応はいかがですか?
室井さん:私たちの公演は、赤ちゃんからお年寄りまで年齢制限なし! 先日は国際フォーラムで2000人の前でやらせていただきましたが、不思議と子どもたちは騒がないんです。「しげちゃんで~す」と呼びかけた途端、みんな静かにシーン……と集中して聴いてくれる。
一座には絵本作家の長谷川義史さんや、ジャズミュージシャンの岡淳さん、ピアニストの大友剛さんといったプロフェッショナルが揃っています。手を変え品を変え、ときには鍵盤ハーモニカを頭に乗せて弾いたり(笑)、本格的なジャズを演奏したり。
































