こんなときどうすればいい? 〈コミュニケーション回避タイプ〉の反抗エピソード
ここからは諸富先生がカウンセリングをした〈コミュニケーション回避タイプ〉の反抗ケースとその対応法を紹介します。
親の質問には答えないけれど、逆に親が子どもの話を聞かないとイライラが爆発するケース
小学校高学年になって反抗期になると、学校や友だちのことを聞いても何も話してくれなくなりました。その一方で、自分が伝えたいことは一方的に話してくることがあります。親が子どもの話をちゃんと聞いていないと「ちっとも人のいうことを聞いてくれないんだから!」と怒り、「もう1回いって」と頼んでも、「イヤだ。もう絶対にいわない!」といって、もう何も教えてくれません。
──諸富先生のアドバイス──
このケースは、実は親とコミュニケーションをとりたがっている例です。「一方的に話してくる」ということは、親にメッセージをたくさん送っている証拠です。
決して素直な態度ではないですし、伝えたいタイミングも親の都合と合わないこともありますが、生返事で返したら「なんで聞いてくれないの!」となるのは必然でしょう。
子どもの話を聞いてあげることはとても大事なことです。それをわかっている親御さんは多いものですが、頭で理解するだけでなく行動でも示してあげてください。
我が子からコミュニケーションをとりたいというメッセージが届いたら、手を止めて話を聞いてあげましょう。
すぐに手が離せないなら、「ちょっと待って、これを終わらせるから」などと伝え、話を聞きたい姿勢を表現してあげられるといいですね。
子どもからの発信は予告なく行われるので、コミュニケーションチャンスを逃しそうになります。しかし思春期の場合は特に、親がどんな対応をして信頼に値するのか子どもが試しにきていると思って、その機会を逃さないことが大切です。
思春期の行動は全体を見ることも必要
親には、子どもが生きている思春期という世界そのものを、そのときどきで一緒に見てあげてほしいと語る諸富先生。
一見、〈コミュニケーション回避タイプ〉に見えるケースでも、子どもの様子全体を振り返ってみると「親とコミュニケーションをとりたがっている」結果として、歯向かうような振る舞いになっている場合もあります。
反抗的な態度をされるとどうしてもその一点の印象が強くなりますが、思春期の行動はもっと全体像を捉える必要があります。
次回は、反抗期の代表的な3つのタイプのうち、〈闘争タイプ〉と〈反抗期がほとんどないタイプ〉の解説、シングル家庭やステップファミリーでの思春期の乗り越え方について紹介します。
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諸富 祥彦(もろとみ よしひこ)
明治大学文学部教授。教育学博士。1986年筑波大学人間学類、1992年同大学院博士課程修了。英国イーストアングリア大学、米国トランスパーソナル心理学研究所客員研究員、千葉大学教育学部講師、助教授を経て、現職。40年以上のカウンセラーキャリアを持つ。臨床心理士、公認心理師、上級教育カウンセラーでもある。
【主な共著や監修書】
「思春期の育て方」(WAVE出版)
「反抗期乗り切りマニュアル─『こんな時どうしたらいい?』がわかる」(主婦の友社)
「“承認欲求”、捨ててみた 『人から嫌われてもかまわない強い心』を育てる 9つの自己改造トレーニング法」(青春出版社) など
取材・文/梶原知恵
『思春期の反抗期 乗り切りガイド』の連載は、全4回。
第1回を読む。
第2回を読む。
第4回を読む。
※公開日までリンク無効
梶原 知恵
大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。
大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。
諸富 祥彦
明治大学文学部教授。教育学博士。1986年筑波大学人間学類、1992年同大学院博士課程修了。英国イーストアングリア大学、米国トランスパーソナル心理学研究所客員研究員、千葉大学教育学部講師、助教授を経て、現職。40年近いカウンセラーキャリアを持つ。臨床心理士、公認心理師、上級教育カウンセラーでもある。 【主な著書と監修書】 『ひとりっ子の育て方』(WAVE出版) 『イラストでわかる自己肯定感をのばす育て方』(池田書店) 『思春期の子の育て方』(WAVE出版)など
明治大学文学部教授。教育学博士。1986年筑波大学人間学類、1992年同大学院博士課程修了。英国イーストアングリア大学、米国トランスパーソナル心理学研究所客員研究員、千葉大学教育学部講師、助教授を経て、現職。40年近いカウンセラーキャリアを持つ。臨床心理士、公認心理師、上級教育カウンセラーでもある。 【主な著書と監修書】 『ひとりっ子の育て方』(WAVE出版) 『イラストでわかる自己肯定感をのばす育て方』(池田書店) 『思春期の子の育て方』(WAVE出版)など