「感受性」が強い 「注意力」の範囲が狭い 特性のある子の小学校生活の注意点を専門家が指摘
感受性と注意力で読み解く子どもの「困った」行動#3 学校生活への影響
2024.10.30
感受性が敏感なタイプが困る小学校でのあれこれ
注意力が狭いタイプだけでなく、「感受性の強い子(外からの刺激を受けやすい子)」(詳細は第1回を参照)も、小学校入学後に困りごとを抱える場合があります。気がつかずにそのままにしていると、授業に集中することができなくなり、学習についていけない、学校に通えない、といった事態に発展してしまう可能性があります。
野藤氏が相談を受けるのは「聴覚と視覚が敏感な子が特に多い」といいますが、きちんと対策をとることができれば、問題なく学校に通えます。
ここでは、視覚と聴覚が過敏な子どもの具体的な困りごと及び対応策の例を紹介します。
【聴覚が敏感】
●同時にたくさんの音が耳に入る子
《困りごと》
・校庭など教室外の音が気になり集中できない
《対応策(例)》
・座席を先生の近くにしてもらう
(窓側や廊下側、うしろの席を避ける)
●大きな音、特定の音域が苦手な子
《困りごと》
・大きな音や声に恐怖心を抱く
・特定の音域や話し方が聞き取りにくい
《対応策》
・イヤーマフをする
・先生に相談して話し方などを配慮してもらう
【視覚が敏感】
●視覚情報が多いと混乱する子
《困りごと》
・一度にたくさんのことが見えると集中できない
《対応策(例)》
・座席を一番前にしてもらう
・(算数などで)答えを直接、教科書やドリルに書かせてもらう
(教科書とドリルとノートを広げて視線を移すことが苦手なことも多いため)
●パソコンやタブレットの光が苦手な子
《困りごと》
・目や頭が痛くなる
《対応策(例)》
・ブルーライトカットのメガネをかける
・画面に光の反射を防ぐシートを貼る
「子どもがとても疲れやすい、授業に集中できていないのではないかといった懸念があれば、『何か原因があるかもしれない』と考え、ここで説明したような困りごとが当てはまらないか確認してみてください。
配慮(合理的配慮)を受けることは当然の権利ですから、学校側に積極的に相談してみるとよいでしょう。対策さえ講じることができれば、問題なく学校に通える子もたくさんいます」(野藤氏)
一方で、感覚過敏だけでなくその他にも気になることがある場合などは、専門家へ相談することが重要です。第4回では、医師の受診の際の注意点に加え、不登校につながりやすい注意力・感受性の両方に特性のある子どもの特徴と対応方法などについてうかがいます。
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【野藤弘幸 プロフィール】
作業療法学博士。発達障害領域の作業療法の臨床、大学教授を経て、現在は、「育てにくい」「言うことを聞かない」「自分でしようとしない」など、大人がそう思う乳児期から青年期の子どもたちと、その子どもたちの養育者に携わる保育者への研修、講演活動を行う。著書に『発達障害のこどもを行き詰まらせない保育実践~すべてのこどもに通じる理解と対応』(郁洋舎)、その他保育雑誌への連載などを担当。
取材・文 川崎ちづる
【感受性と注意力で読み解く子どもの「困った」行動】の連載は、全4回。
第1回を読む。
第2回を読む。
第4回を読む。
※公開日までリンク無効
川崎 ちづる
ライター。東京都内で2人の子育て中(2014年生まれ、2019年生まれ)。環境や地域活性化関連の業務に長く携わり、その後ライターへ転身。経験を活かし、環境教育や各種オルタナティブ関連の記事などを執筆している。WEBコラムの他、環境系企業や教育機関などのPR記事も担当。
ライター。東京都内で2人の子育て中(2014年生まれ、2019年生まれ)。環境や地域活性化関連の業務に長く携わり、その後ライターへ転身。経験を活かし、環境教育や各種オルタナティブ関連の記事などを執筆している。WEBコラムの他、環境系企業や教育機関などのPR記事も担当。
野藤 弘幸
作業療法学博士。発達障害領域の作業療法の臨床、大学教授を経て、現在は、「育てにくい」「言うことを聞かない」「自分でしようとしない」など、大人がそう思う乳児期から青年期の子どもたちと、その子どもたちの養育者に携わる保育者への研修、講演活動を行う。著書に『発達障害のこどもを行き詰まらせない保育実践~すべてのこどもに通じる理解と対応』(郁洋舎)、その他保育雑誌への連載などを担当。 ※Photo by 川端アリ
作業療法学博士。発達障害領域の作業療法の臨床、大学教授を経て、現在は、「育てにくい」「言うことを聞かない」「自分でしようとしない」など、大人がそう思う乳児期から青年期の子どもたちと、その子どもたちの養育者に携わる保育者への研修、講演活動を行う。著書に『発達障害のこどもを行き詰まらせない保育実践~すべてのこどもに通じる理解と対応』(郁洋舎)、その他保育雑誌への連載などを担当。 ※Photo by 川端アリ