ポッドキャストアワード大賞受賞『Teacher Teacher』 20代はるか&ひとしの“どんな子育てにも寄り添う”姿勢が親たちへ心地よい新風を吹き込む
『子育てのラジオ「Teacher Teacher」』はるか&ひとしインタビュー#1~ポッドキャストを始めたワケ~
2025.01.26
知識だけでは子どもとうまくやれないと知る
九州大学の同級生で、出会いはダンスサークルだったというはるかさんとひとしさん。大学卒業後もたまに旅行へ行くなど、仲の良い友人の1人だったという2人を再び結びつけることになったのは「教育」でした。
はるかさんは九州大学教育学部で学び、卒業後は念願の小学校教諭として働き始めることに。しかし、そこで大きな挫折を経験したと言います。
「教師になる前は、教育理論も頭に入っているし、たくさん勉強しているから大丈夫だろうと思っていたんです。でも1年目はまったくうまくいかなくて、こんなに子どもたちは言うことを聞いてくれないものなのか……と(苦笑)」(はるかさん)
そこでもっともっと教育や子育てについて深く学んでいこうと、研究や事例を調べたり、文献を読みあさったり、教師として働きながらも大学院に通って学び直しを始めます。
「その学びをクラスで実践してみると、少しずつ子どもたちが変わっていく実感があったんです」と、はるかさん。はるかさん自身が子どもに向き合う姿勢にも変化が生まれ、子どもとの関係の構築が上手くなりました。
「そのときに『子どもと関わるのは職人技。知識だけじゃどうにもならない、技術が必要だな』と痛感したんです。子育ても同じだと思う。頭ではわかっていても、きっと、うまくいないことばかりですよね」(はるかさん)
小学校の先生になって5年間。教師として目の前の子どもたちと向き合う楽しさややりがいを感じていた一方で、気掛かりだったのは不登校の子どもたちのこと。
「学校の外にいる子どもたちには何もできていないというもどかしい思いがずっとありました。どうしたらそんな子たちの力になれるだろうと。若くて自由に動ける年齢で世界に出て、海外の教育現場を見て回りたいと思ったんです」(はるかさん)
ほどなくしてはるかさんは教壇を降り、世界を回りながらインスタグラムで情報発信をするように。海外18ヵ国の教育施設を見学し、その実態や不登校支援を学び伝えてきました。
一方のひとしさんは大学卒業後に上京。「社会人になって、人が成果を出すには教育が大事であることを、仕事を通して体感した」と振り返ります。
「大学時代からはるかの教育にかける情熱を尊敬していたし、小学校にいたときも親子に真摯に向き合う姿勢を見てきたんです。僕は音声番組を制作する会社に転職したころで、何か新しい、楽しい企画を自分で作ろうと思っていた時期。そこではるかに『教育に関するポッドキャストをやってみない?』と声をかけたんです」(ひとしさん)
そうして2023年4月、『Teacher Teacher』はスタートしたのです。
音声でお悩みに答えるコンテンツにニーズを感じた
スタートから1年足らずで数々の賞を受賞し、著書も刊行。一見、とても順風満帆に見える2人ですが、実は『Teacher Teacher』の前に、『コソラジ(子育てラジオ)』というポッドキャスト番組を配信していた時期もありました。
『コソラジ』は、はるかさんが教育に関することを話す番組で「ふんわりしたコンセプトだったんです」と、ひとしさん。
「この『コソラジ』が、なかなかうまくいかなくて。一度ポッドキャスト配信をやめて、インスタグラムでの発信をメインにしたり、試行錯誤してた時期もあったよね」(はるかさん)
はるかさんは、ポッドキャストラジオで活動する前、子育て情報を発信していたインスタグラムに届く悩み相談のDM(ダイレクトメール)に、ひとつひとつ返信をしてました。
「はるかがひとつひとつのお悩みにDMで回答している姿を見て、『親御さんのお悩みにしっかりと回答する音声コンテンツを作ったら、より深く広くメッセージを届けられるんじゃないか』という話になって。
そこで、Q&Aのお悩み回答構成にしたら、すごく反応が良かったんです。インスタでお悩み募集や告知をして、ポッドキャストでその回答を届ける、という循環が見えてきた。悩み相談のコンテンツを求めている方がこんなにたくさんいたんだ、と気づかされました」(ひとしさん)
「SNSアカウントにはすでに応援してフォローしてくれている方がいたので、ポッドキャストは最初から大きな反響がありました。配信後すぐにたくさんの感想をもらって『これってもしかして、人の役に立っているんじゃない?』と2人で盛り上がったのを覚えています」(はるかさん)
『Teacher Teacher』のインスタグラムには、日々子育てに関するお悩みが届きます。中2の息子の反抗期がひどい、娘の遅刻癖が治らない、子どもが学校へ行きたくないと言っている……などなど。親だけで抱えるには重い課題も少なくありません。
そんな悩みに、2人はどう答えているのでしょう。