障がいのある兄弟姉妹を持つ【きょうだい児】 きょうだい児の弁護士が寂しさや苦しさを明かした
弁護士・藤木和子先生が教える“きょうだい児”の見守り方 #1 きょうだい児の悩み
2024.09.03
弁護士:藤木 和子
藤木和子先生(以下、藤木先生) 私も運営に関わっているきょうだい児を支援する団体「全国障害者とともに歩む兄弟姉妹の会(略称:全国きょうだいの会)」は、60年以上前からあるのですが、もともとは“障がいのある兄弟姉妹について考える”会という要素が強かったようです。
きょうだい児を当事者として考え、きょうだい児が集まり語れる場を作ろうと動きがあったのは1990年代後半以降のこと。私自身がきょうだい児という言葉を初めて知ったのも、大学生だった2005年のときでした。
たまたま読んだ新聞記事で“きょうだい会(きょうだい児当事者が集まり、悩みや近況などを語らう会)”の存在を知るまで、当事者でありながらきょうだい児という概念があることさえ知らなかったのです。
近年、きょうだい児について取り上げるメディアが増えてきたのは、2020年ころからヤングケアラーが注目され始めたことも大きいと思います。
当初、ヤングケアラーは、親や祖父母のケアをしている18歳未満の子どもたちと考えられていましたが、2020年の厚生労働省による全国調査以降、各地の自治体で調査が行われ、「自分はヤングケアラーだ」と回答した小中学生の6~7割は兄弟姉妹のケアをしていることが明らかになりました。
この中には障がいや病気の有無とは関係なく、年下の兄弟姉妹の世話を担っている子もいますが、ヤングケアラーを取り巻く環境はきょうだい児と近しく、だんだんときょうだい児にもフォーカスが当たるようになったのだと思います。
「ケア」には、兄弟姉妹への直接的な世話だけではなく、親へのサポートや精神的なケア、期待に応えようとするプレッシャーの負担なども含まれます。
ただ、きょうだい児が年下の兄弟姉妹の世話をするヤングケアラーと違うところは、大人になってからも「障がいのある兄弟姉妹を自分がケアするべきか」等々の悩みや不安を持ち続ける可能性があること。
きょうだい児への支援はまだ始まったばかりで、まずはどんな思いを抱えているのか、きょうだい児の悩みや不安を広く知ってもらうことが必要です。