【年齢別読書法】0歳〜2歳/7歳まで/9歳〜12歳 黒川伊保子さんが実践した「しあわせ脳」の育て方とは
人工知能研究者がすすめる楽でリーズナブルな子育て #3 年齢別読書のおすすめ法
2024.04.03
8歳を越えたら、シリーズものが効く
8歳になると、言語脳が完成して、長い文脈を把握できるようになる。こうなったら、ぜひ、シリーズものを読んでほしい。我が家の息子は、パソコン通信を使って身近な事件を解決していく小学生の探偵団シリーズ【※青い鳥文庫パスワードシリーズ(松原秀行/著)】に夢中になっていた。私自身は、『ナルニア国』シリーズ!
一度完結した物語の主人公が、時と場所を変えてまた登場する、というのが、言語脳完成期(8歳)以降の脳にはたまらないのである。自己投影できる同じ年頃の登場人物+日常から入る冒険+シリーズもの、が、キーワードだ。
8歳から12歳までの間にいいシリーズものに出会えるかどうかで、その後の本好き、本嫌いの傾向はかなり決まってしまうと思う。図書館で偶然出会えたらいいけれど、そうでなかったら不運だ。この年頃にどんな本を読んでいるか、親も気をつけてあげよう。
日常の冒険を読みこなしたら、想像を超える世界観にも出会うべき。ファンタジーの大作、世界文学、科学本、歴史ものなど、12歳までにいろいろ体験させてほしい。
思春期にも、大人になっても
読書は、生涯、脳の「貴重な別体験」だ。
10代は、分別や忍耐力を担当する前頭前野の発達期に当たる。「今はつらいけど、ここを耐え抜けば」とか、「腹は立つけど、怒りをぶつけても意味がない」のような、忍耐と分別の機構が出来上がるときなので、本の主人公たちには、うんと苦悩していてほしい。胸が痛くなるような失恋や挫折、戦争や死をテーマにした重いものにも、10代には触れていてほしい。この後、自分の人生に何か起こっても、それが些細に思えるように。
もちろん、人生は面白い! と感じる愉快なストーリーだって必要だ。人生を信じて、夢見る力を眠らせないために。
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黒川伊保子さんの「子どもの脳の育て方」は全3回。最終回となる今回は、効果的な読書の方法について、年齢別にご紹介しました。さらにくわしい内容は、ぜひ書籍をご覧ください。
取材・文/佐々木奈々子
第1回 子どもの「しあわせ脳」を育てる5つの金のルールとは 「夫のトリセツ」の黒川伊保子さんが解説
第2回 「読書」が子どもの脳に与える好影響 「妻のトリセツ」の黒川伊保子さんが解明
■今回ご紹介した書籍はこちら
『子どもの脳の育て方 AI時代を生き抜く力』
近未来に必須の人間力を、どうしたら脳に授けられるのか。その答えがここにある。
【本書の内容構成】
1 金のルール
2 AI時代の子育てに欠かせないセンス
3 銀のルール
4 大切なあなたに、伝えたいこと
黒川 伊保子
1959年、長野県生まれ。人工知能研究者、脳科学コメンテイター、感性アナリスト、随筆家。奈良女子大学理学部物理学科卒業。コンピュータメーカーでAI(人工知能)開発に携わり、脳とことばの研究を始める。1991年に全国の原子力発電所で稼働した、“世界初”と言われた日本語対話型コンピュータを開発。また、AI分析の手法を用いて、世界初の語感分析法である「サブリミナル・インプレッション導出法」を開発し、マーケティングの世界に新境地を開拓した感性分析の第一人者。著書に『妻のトリセツ』『夫のトリセツ』『夫婦のトリセツ 決定版』(いずれも講談社+α新書)、『人間のトリセツ──人工知能への手紙』(ちくま新書)、『話が通じないの招待──共感障害という謎』(新潮文庫)など多数。
1959年、長野県生まれ。人工知能研究者、脳科学コメンテイター、感性アナリスト、随筆家。奈良女子大学理学部物理学科卒業。コンピュータメーカーでAI(人工知能)開発に携わり、脳とことばの研究を始める。1991年に全国の原子力発電所で稼働した、“世界初”と言われた日本語対話型コンピュータを開発。また、AI分析の手法を用いて、世界初の語感分析法である「サブリミナル・インプレッション導出法」を開発し、マーケティングの世界に新境地を開拓した感性分析の第一人者。著書に『妻のトリセツ』『夫のトリセツ』『夫婦のトリセツ 決定版』(いずれも講談社+α新書)、『人間のトリセツ──人工知能への手紙』(ちくま新書)、『話が通じないの招待──共感障害という謎』(新潮文庫)など多数。