子どもの「しあわせ脳」を育てる5つの金のルールとは 「夫のトリセツ」の黒川伊保子さんが解説

人工知能研究者がすすめる楽でリーズナブルな子育て #1 しあわせ脳を育てる「金のルール」

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「この子には、しあわせな人生を歩んでほしい」

親であれば、生まれたばかりの子を抱きしめたとき、小さな手を握ったとき、学校まで駆けていく背中を見たとき…あらゆる瞬間にこう思うのではないだろうか。しかし“しあわせ”とはどういうことだろう。何をもってして“しあわせ”なのだろうか。

そんな疑問に答えをくれるのが、黒川伊保子さんの著書『子どもの脳の育て方』である。人工知能のエンジニアである黒川さんは、働く女性の先陣であり、“脳”のスペシャリスト。彼女が息子を授かって決めた「『しあわせな天才脳』を育てる」という指針は、現代の親が抱えるあらゆる疑問に軽やかに、そしてはっきりと答えてくれる。

黒川さんがいう「しあわせな天才脳」とは? そしてそんな脳を育てるための金のルールから“早寝、早起き”の章を、著書『子どもの脳の育て方』からご紹介します。

黒川伊保子
長野県生まれ。奈良女子大学理学部物理学科を卒業。富士通ソーシアルサイエンスラボラトリで人工知能の研究に従事したのち、株式会社感性リサーチを設立。世界初の語感分析法を開発し、多くの商品名やマーケティング戦略を手がけ大ヒットに導く。また、人間の思考や行動をユーモラスに語る筆致によりベストセラーも多い。

「いい脳」とはどんな脳のことか

1991年8月、人工知能のエンジニアとして8年ほど経ったある日、私は息子の「生きた脳」を手に入れた。ロボットとはまったく違う、その輝く生命力に、私は夢中になってしまった。

そこで私は、脳科学に携わる母として、ヒトの脳の力がいかなるものかを徹底的に分析した。

私は、人工知能のエンジニアとして、脳を装置に見立てている。脳とは「どのような入力に対して、どのような演算を行い、どのような出力をしてくる装置なのか」「どのような機能ブロックで構成されていて、どのように制御されている装置なのか」、そんなふうに。

その立場から言えば、いい脳の定義は明確である。すべての機能ブロックがうまく制御されている脳のことだ。その状態を、「外から見た状態」で言えば、次のようになる。

いい脳の持ち主は、「幸福な天才」である。「頭もいいけど、それ以上に運がいい人」と言われる人たちだ。

具体的に言うと、いつもしみじみとしあわせそうで、常に好奇心と意欲を失わず、健康で、穏やかで、温かい。おっとりして見えるのに、決断は早い。集中力があり、短いことばに説得力がある。頼りがいがあって、飾らない人柄なのに、なめてかかれない威厳を持っている。いつも、何かに感謝している。

自分の子どもを、こう育てたいとは思いませんか? 私は、こう育てたいと思った。

この人柄なら、どの道を行っても、うまくいく。道を究めれば、高い確率で超一流と言われることになるに違いない。けれど、それは直接の目的じゃない。

脳にとってなにより大事なのは、自己充足である。なぜなら、自己充足感とは、すべての機能ブロックがうまく機能したときの感覚だから。

そう、私は、息子の脳を「すべての機能ブロックがうまく機能する脳」に育てたかったのだ。彼の脳が、自己充足感とともに、幸福な一生を送れるように。

ちなみに、最近話題の「自己肯定感」は、日々自己充足している脳が自覚する感覚である。自己肯定感とは、ちゃんと動いてくれる、という「自分の脳に対する信頼」。他人に認められたから得られるものなんかじゃない。

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