【不登校35万人時代】保健室で子どもを救った「ジャッジしない」大人 作家・松素めぐりの実体験

作家の松素めぐりさん
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現在、不登校の小中学生が約35万人と過去最多を更新する一方で、不登校にはならなくとも教室にいづらさを抱え、保健室を居場所にしている子どもたちは数多く存在します。周囲にうまく馴染めず悩む子どもの姿は、決して特別なものではありません。

学校の人間関係に馴染めない、効率ばかり求められる毎日に息苦しさを感じる……。そんな「モヤモヤ」を抱える子どもの心をそっと解きほぐす児童文学を生み出し続けるのは、作家の松素めぐりさんです。

デビュー作「保健室経由、かねやま本館。」シリーズや、タイパ至上主義にユーモアと疑問を投げかける最新作『ダメダメ小学校 タイパわるいのダメですか?』。温かな物語の背景には、松素さんが中学時代に保健室に通っていた経験や、のびのびとした“妄想”に救われた過去がありました。

松素さんの等身大の言葉から、不器用な自分を愛し、今日を少し楽に生きるためのヒントを探ります。

教室にいるのが辛くなると「保健室」へ向かった中学生時代

──松素さんにとって、保健室はどんな場所でしたか。保健室の思い出を聞かせてください。

写真:RYH/イメージマート
写真:RYH/イメージマート

松素めぐりさん(以下、松素):私が保健室によく行っていたのは中学1年生のときのこと。私は私立の小学校から公立の中学校に入学したことで、うまく友達に馴染めずにいました。

公立の中学校って、同じ小学校の友達でグループができやすいんですよね。

それまでのびのびとした校風の私立校で過ごしていたこともあり、「いままでの私の常識は通用しないんだ」と打ちのめされました。

明確な「いじめ」があったわけではないんです。でも嫌われているのだろうなと自覚する出来事は、何度かありました。

たとえばみんなで「テーマパークに行こう」と話していたのに、いつの間にか私抜きで行っていて、お土産だけを渡されたり。すごい話が盛り上がっていたのに、私が教室に入った途端にシーンとなったり……。

幸い、他に話してくれる子が何人かいたので救われましたし、学年が上がっていくうちに互いに成長して、そういったことはなくなりました。

ただ、いまだに誰がやったかわからないのですが、朝学校に来たら上履きが水浸しになっていたり、ゴムが切られていたり、中に画鋲がびっしり入っていたりなど、上履きへのイタズラが続いた時期はありましたね。

教室にいるのが辛くなると、保健室に行きました。休み時間や放課後、授業中に仮病をつかって行ったこともあります。

保健室の先生は私を「ジャッジ」しない存在でした

松素:友達や先生の前ではいい子でいなきゃと気が張っていたけれど、保健室の先生は私をジャッジしなかった。私がどんな振る舞いをしても、好きでいてくれる安心感があったんです。

保健室のベッドに横になっていると、いろんな生徒がやってきます。もちろん具合が悪い子もいるけれど、私みたいに先生に悩みを聞いてもらいたい子もたくさんいて。

ベッドのカーテン越しに漏れ聞こえてくるほかの生徒の悩みを知って「悩んでいるのは私だけじゃないんだ」とホッとしたことを覚えています。

──学校のなかに、ジャッジされずに素の自分でいられる「避難所」があったのは救いでしたね。そうしたご自身の保健室での体験は、デビュー作である『保健室経由、かねやま本館。』シリーズへとどのように繫がっていったのでしょうか。

学校に行きたくない、友達が欲しい、誰にも言えない悩みがある……。そんな子どもたちの前に現れるのは、不思議な「第二保健室」の地下にある、中学生専門の湯治場「かねやま本館」──。悩みに効く不思議な温泉につかって癒やされるストーリーが人気のシリーズ。第60回講談社児童文学新人賞受賞作。〔写真(左)『保健室経由、かねやま本館。(1)』、(右)『保健室経由、かねやま本館。(8)』〕
学校に行きたくない、友達が欲しい、誰にも言えない悩みがある……。そんな子どもたちの前に現れるのは、不思議な「第二保健室」の地下にある、中学生専門の湯治場「かねやま本館」──。悩みに効く不思議な温泉につかって癒やされるストーリーが人気のシリーズ。第60回講談社児童文学新人賞受賞作。〔写真(左)『保健室経由、かねやま本館。(1)』、(右)『保健室経由、かねやま本館。(8)』〕

松素:中学生の辛かったとき、どうしても教室にいなきゃいけない時間は、想像を膨らまして逃げ場をつくっていました。

よく考えていたのは、校庭に温泉宿があったらいいなって妄想。小さいころから温泉が好きで「日本の温泉宿100連発」みたいなテレビ番組が大好きだったんです(笑)。

大人になって物語を書くようになったとき、あのときの妄想を物語にできないかなと考えました。

日本全国の子どもたちが保健室を通ってふらりと立ち寄り、お互いの悩みを話せるような温泉宿。そんな場所があったら素敵だなと思って書いたのが『保健室経由、かねやま本館。』です。

「タイパ」の悪い子どもだった

▼学校で疲れたキミに、心をほぐす温泉あります

保健室経由、かねやま本館。

保健室経由、かねやま本館。

松素めぐり(著)  おとないちあき(イラスト)

発売日:2020/06/03

価格:定価:本体1400円(税別)

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