「3歳児神話」に根拠ナシ!? 小児科医・ふらいと先生が親を縛る「おかしな言説」に物申す!

ふらいと先生に聞く、エビデンスに基づいた子育て

小児科医・新生児科医:今西 洋介

「時事ネタ」も医療の視点から科学的に考える

──今西先生の本では「ネントレ」から「ワクチン」「母親の仕事」「性被害」「大地震」など、子育てにまつわる幅広いテーマが取り上げられています。いつもどうやってテーマを決めているのですか?

今西先生:僕はこの2年半、日課のようにニュースレターを書いています。これだけ多くの記事を書いていると、正直「もうテーマは出尽くしたかな」と思うこともあります。

でも、不思議なことに、書きたいテーマが“空から降ってくる”ようなこともあるんです。僕はこれを勝手に「ニュースレターの神さま」と呼んでいて(笑)。

それは家で育児をしているときや、仕事をしているときなど、日常のふとしたタイミングで、「次はこの記事を書こう!」と、まるでお告げのようにテーマが浮かんでくるんです。そんな瞬間がたびたびあって。

それから、最近では時事ネタも大きなヒントになっていますね。SNSでバズっている話題を科学的に検証してみたり、医療や育児の視点から深掘りしてみたり、など。

そういうタイムリーなトピックを科学的に考えることは、自分にとっても、そして読者にとっても、大きな刺激になりますね。

──さまざまなテーマのなかでも、最も伝えたいテーマは何ですか?

今西先生:そうですね、やっぱり僕が一番願っていることは、「根拠のない情報のせいで、ママやパパが子育てに迷いや不安を感じることがないようにしたい」ということです。ですから、本書では最初に「母親の仕事が子どもに与える影響」というテーマを紹介しました。

例えば、本書のなかでは、巷でよく言われている、「3歳児神話」を科学的に検証しています。

このテーマをSNSで取り上げたときは非常に読まれて、約23万PVくらいまでいきました。それほどいまだに言われていたり、伝えられているのだと思います。実際に、義理のお母さんから言われてしまって、うまく言い返せなかったケースも聞きました。

地域全体で子どもを見守るアメリカ流の育児

──どうすればもっと育児が楽になるのでしょうか?

今西先生:育児の責任をママやパパだけが全部背負うのは、やっぱりしんどいし、あまりよくないと僕は思っています。

今の日本では、出生数が68万台になるなど、本当に少子化が深刻になっています。それなのに、育児は相変わらず全部親任せで、実際、親にかかる負担って本当に大きい。

僕は現在(2025年7月)、アメリカに住んでいるのですが、アメリカは一見、個人主義の国に見えて、育児に関しては意外と「みんなで見る」という感じです。例えば、「プレイデート」という文化があるのですが、子ども同士で遊ぶときは、親のどちらかが必ずついていくという暗黙のルールがあります。

僕もプレイデートで他の家庭を訪ねたり、逆にうちに来てもらったりすることがあります。その場合、他の子の親がうちの娘のことを見ていてくれるのですが、学校や家庭以外で、子どもを気にかけてくれる大人がいる環境って、すごく大事だなと思いました。

アメリカでは、おじいちゃんおばあちゃんと同居している家庭は少ないけれど、その分、横のつながりが強い。パーティーも頻繁にあるから、地域全体で子どもを見守る雰囲気があって。こういう関係性が日本でももっと広がってほしいなと感じていますね。

今西先生もいまだに日々育児トラブルに遭遇!

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