7割が“アウェイ子育て”! 頼る人がいないママを救う“子育てひろば”とは?

NPO法人せたがや子育てネット代表理事 松田妙子氏に聞く「子育てひろば活用術」#1 ~入門編~

NPO法人せたがや子育てネット代表理事:松田 妙子

ひろばに集まったママたちでバザーの準備中。  写真提供:NPO法人せたがや子育てネット

昨今、問題視されている孤育(こそだ)てやワンオペ育児の大変さ。そんなママパパの手助けになるのが、地域にある“子育てひろば”こと「地域子育て支援拠点」です。

「ひろばは親のための施設でもある」と強く語るのはNPO法人せたがや子育てネットの代表理事・松田妙子(まつだ・たえこ)さん。東京都世田谷区で4ヵ所もの“子育てひろば”を運営する松田さんに話を伺いました。

※全3回の1回目

7割のママが“アウェイ育児”で頼れる人がいない

“アウェイ育児”という言葉を知っていますか?

自分の生まれ育った市区町村、いわゆる故郷以外の土地で育児をしていることを意味し、NPO法人子育てひろば全国連絡協議会(以下ひろば全協)の調査(※1)では、72.1%のママが、アウェイ育児をしています。

また、アウェイ育児中のママへの「近所で子どもを預かってくれる人はいますか」という問いに対し、71.4%が「いいえ」と答えています。この結果から【見知らぬ土地】で【頼れる人もいない】子育てをしているママがとても多いことがわかります。

この結果は社会問題になっている“孤育て”や“ワンオペ育児”につながる事実として、注視されています。毎日の子育てでふと不安になったとき、頼れる場所として頭に入れておいてほしいのが「地域子育て支援拠点」と言われる施設です。

地域により、「子育てひろば」「子育てサロン」「子育て支援センター」など呼称はさまざまですが、全国の自治体及び自治体から委託を受けた法人や民営が設置したもので、地域の子育て支援の充実と、保護者の不安や孤独の緩和などを目的としています。

拠点数は全国で7800ヵ所以上に達しています。住居転入の際や、母子健康手帳を受け取る際などに配布される子育て情報の冊子などに案内が載っていることが多いですが、ひろば全協のホームページ(※2)から調べることもできます。

何はなくともまずは“ひろば”へ!

「すべての“アウェイ育児”を“ホーム育児”にできればいいなと思っています」と語るのは、東京都世田谷区のNPO法人せたがや子育てネットの代表理事を務める松田妙子(まつだ・たえこ)さん。

松田さんは、東京都世田谷区内で4ヵ所の子育てひろば(以下ひろば)を区からの受託事業として運営し、長年、日々さまざまな親子と向き合ってきました。

ひろばについて松田さんは「とにかくまずは行ってみて!」と笑顔で語ります。

「育児を始めたら、まずはひろばへ一度だけでもいいから行ってみてほしいです。最初は、あまり気負うことなく“子どもと一緒に遊べる行きつけの場所をひとつ作ってみようかな”くらいの軽い感覚でいいから、行ってみてください。

ひろばは理由がないと行けない場所だと思っている人がまだまだ多いのですが、決してそうではないんです。気楽に子どもと一緒に遊びに行ける場所なんだということを、まず知ってほしいですね。

悩みや相談、知りたいことがある場合はもちろん頼ってほしいし、そのための情報やスタッフはそろっています。でも、何も問題がなくてもいいから、ぜひ来てほしいんです」

なぜそこまで誘うのかと言うと、ひろばに来ることが“親子のセーフティーネット”につながると続けます。

「少し大げさに聞こえるかもしれませんが、ひろばという居場所をもっているだけで、子どもだけでなく保護者にとっても、心がラクになれることがあると思うんですよね。

特に未就園児のときは、保護者さんも育休中だったり、自分たち親子が“所属”する場所がない状態が多いですよね。

それまで、社会人として組織などに所属してきた人にとっては、それは自分が思っていたよりも孤独に感じるときがあって、さらなる育児への不安や悩みへつながることが多々あるんです。

とはいえ、なにもどっぷりひろばに属することはないんです。ただ、自分たちの居場所はあそこにもあるんだって思えることが大切なんです」

ひろばの外にある原っぱで、みんなでスタンプ遊び。  写真提供:NPO法人せたがや子育てネット
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