「父親育児」でまず「やるべき」ことは? 育休10か月取得パパが伝える子育てのコツ

男性の育児とキャリア②

髙崎 順子

「父親をする」には知識が必要

編集部:男性の育休取得率は過去最高を更新し、2023年は30%を超えました(出典:厚生労働省)。一方で日本は、主要な先進諸国の中で「男性の労働時間」が最も長い国でもあり、かつては母親だけの問題とされていた「家庭と仕事の両立」に悩む声が、父親たちの間からも上がっています。

野﨑さんは、NPO法人「ファザーリング・ジャパン」で、父親支援の活動をしていらっしゃいますね。

野﨑聡司さん(以下、野﨑):ファザーリング・ジャパンは全国組織で、私は東京都にある多摩支部の代表を務めています。父親が育児をすることの大切さや育休取得の推進と支援、働き方改革をテーマに、自治体や企業で講演やセミナーをしています。

それらの情報を、いろいろなパパたちの体験談と共にまとめた『パパの子育て応援BOOK』(著/NPO法人ファザーリング·ジャパン、パイ インターナショナル刊)を2024年5月に出版しました。

子どもは大きくなり、いつかは親元を離れることでしょう。だから「子育ては期間限定」だと思います。その時間を楽しく、笑顔でパパにもママにも過ごしてほしい。そして子どもたちが大人になった時、今よりも家事育児と仕事がもっと両立できる社会になったらいいな、と願って活動しています。

編集部:父親の育児に、大切な知識や情報・マインドは、例えばどういったものでしょうか。 

野﨑:「パパになる」だけではなく「パパをする」という意識が大切で、そのためのマインドの意識・醸成、知識のインプットをした方が良いと思います。

例えば、女性は妊娠中、お腹の中の赤ちゃんをケアしたり、カラダの変化やココロの変化など様々な変化を通じ、ママになることを意識・実感します。

一方、男性は、女性に比べて、妊娠による身体的変化は特になく、また、ホルモンバランスの変化も少ないと思います。ですから、パパ自身のためにも、男性がもっと知ることや学ぶことができる場や支援が必要です。

パパの子育て応援BOOK(著/NPO法人ファザーリング・ジャパン、パイ インターナショナル刊)
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パパの子育て応援BOOK(著/NPO法人ファザーリング・ジャパン、パイ インターナショナル刊)
パパの子育て応援BOOK(著/NPO法人ファザーリング・ジャパン、パイ インターナショナル刊)

野﨑:なので、できれば子どもが生まれてからではなく、妊娠中・出産前にも、父親が母親と一緒に知識を共有して、向き合うのが良いと思います。

編集部:ご活動では、どんなことを伝えていますか?

野﨑:まず、妊娠中・出産後によるホルモンバランスの変化や産後のココロとカラダの疲弊やモヤモヤなど、女性の心身両面の変化を伝えます。このことを知ることで、産後に向けた夫婦のパートナーシップはより深まります。

また「ママは命懸けで子どもを産む」ということを再確認すると同時に「パパであるあなたは何をするの?」と伝え、父親のマインド・意識を考えるキッカケ作りのサポートをしています。

それらの知識・対話を得て、出産後に備えると、父親自身の意識や行動も変わってくると思います。そして「なぜ育休が必要か」にも繋がってきます。

編集部:具体的には、どんな変化でしょう。

野﨑:妊娠中・出産前からパートナーとの対話を大切にして、具体的な点をしっかり話し合えるようになると思います。家事・育児だけではなく、育休中の生活や育休明けの家庭と仕事の両立関してもですね。

パートナー間で話し合う大切さは、共著『パパの子育て応援BOOK』にも多く書いています。

父親に大切なものとは? ノウハウと同じくらい大事なこと

編集部:野﨑さんのおっしゃる「父親に大切なもの」とは、何を指すのでしょう。子育てですと、おむつ換えや寝かしつけなどのノウハウでしょうか。

ノウハウと同じくらい大切なこと、それは…?
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