「つらい料理」から解放され家族が幸せに!  臨床心理士が伝授する「家ごはんの新常識」

シリーズ「賢人に学ぶ『家族のごはんがしんどい』から解放されるヒント」#3‐2 臨床心理士・公認心理師・中島美鈴さん

臨床心理士・公認心理師:中島 美鈴

料理がしんどい気持ちを家族に伝えることも大切です。

「言い出せない人もいるかもしれませんが、家族へのショック療法があってもいいと思います。

『金曜日の夜なのに、しんどくてこれしか用意できない』と伝えれば、『毎日のごはん作りがそんなに負担になっていたのか』と家族が気づくきっかけになりますし、各々が自分にできることをするようになるでしょう」(中島さん)

毎日のごはん作りを担っている家族がしんどさを抱えている現状を、ほかの家族が改めて知ることで、新たな解決策が見つかるかもしれません。

「そもそも料理は『家族の期待にこたえよう』など、高いハードルをめざして戦うものではないのです。期待にこたえようと思うから、子どもが食べてくれないと勝手にがっかりしたり、イライラしたりしてしまいます。子どもにしてみれば、いい迷惑ですよね。

料理に関する価値観は、『手のこんだ料理を楽しんで作る』から『栄養が摂れれば流動食でもOK』まで幅があります。その中で、自分にとって一番心地いい度合いを選ぶのがいいと思います。

たとえ料理のクオリティが多少落ちても、ごはん担当のママパパが料理のしんどさから解放されることは、結果的に家族みんなの幸せにつながるのではないでしょうか」(中島さん)

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中島さんから2回にわたり、認知行動療法による料理のしんどさからラクになるアプローチを教わりました。

最後に「そもそも料理は作らなくたっていい」と心強いメッセージも。

「今はネットスーパーやデリバリーなど便利なサービスがあふれているので、これを使わない手はありません。私も素晴らしいサービスだと思いながら、Uber Eatsを活用しています。

『ごはんは手作りでないと』という価値観にとらわれすぎず、私たちの時代の新常識を作っていきましょう!」(中島さん)

料理がしんどいときに手に取れるカードが増えると、しんどいポイントや状況に合った解決策を見つけやすくなります。

「行動から考え方を変える」「プレッシャーを外す」などの方法を試しながら、自分にとって無理のないベストなやり方を探る。それこそが「料理がしんどい」から解放される近道なのかもしれません。

取材・文/畑 菜穂子

暴飲暴食や動画鑑賞など、やめたいのにやめられない悪習慣を無理なくやめられ、自分磨きの時間に活用できるようにするノウハウを紹介した『脱ダラダラ習慣! 1日3分やめるノート』(すばる舎)
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なかしま みすず

中島 美鈴

Misuzu Nakashima
臨床心理士・公認心理師

1978年福岡生まれ、臨床心理士。公認心理師。専門は認知行動療法。 肥前精神医療センター、東京大学、福岡大学などの勤務を経て、現在は九州大学大学院人間環境学府にて学術協力研究員。 著書は『悩み・不安・怒りを小さくするレッスン 「認知行動療法」入門』(光文社)など全39冊(2023年8月現在)。プライベートでは小学生男子のママ。

1978年福岡生まれ、臨床心理士。公認心理師。専門は認知行動療法。 肥前精神医療センター、東京大学、福岡大学などの勤務を経て、現在は九州大学大学院人間環境学府にて学術協力研究員。 著書は『悩み・不安・怒りを小さくするレッスン 「認知行動療法」入門』(光文社)など全39冊(2023年8月現在)。プライベートでは小学生男子のママ。

はた なおこ

畑 菜穂子

ライター

1979年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーに。主にWEBメディアで活動中。子育て、性教育、グルメ、企業の採用案件などの取材・執筆を行う。多摩地域で、小学生の娘(2012年生まれ)、夫と暮らす。 Twitter @haricona

1979年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーに。主にWEBメディアで活動中。子育て、性教育、グルメ、企業の採用案件などの取材・執筆を行う。多摩地域で、小学生の娘(2012年生まれ)、夫と暮らす。 Twitter @haricona