「親が空気を読んではいけない」グローバルで通用する子どもの「最強コミュ力」とは?

欧米の子どもが「イエス・ノー」がいえるのは教育の賜物 世界に通用する子どもの育て方 #4

バイリンガルスクールTLC for Kids代表:船津 徹

親が空気を読まないことで選択と説明ができる子どもに育つ!

「考える力」は、親御さんが答えを与えすぎないことも大切です。

親御さんが先回りしてなんに対しても答えを準備してしまうと、子どもは考える機会はもとより、失敗する機会も改善する機会も失います。

子どもの返答があいまいなら「質問返し」をする

「和」を大切にする日本ではあいまいな表現が好まれますが、グローバル社会では明確な答えと自分の考えを表現することが求められます。

とはいえ、欧米の子どもが生まれつき「イエス・ノー」の表現が得意かというと、そんなことはありません。選択すること、自分の意見を述べることを訓練されるのです。

ですから、着る洋服や愛用したい文房具など、身の回りのものから子どもに選択させる機会を持ちましょう。

また、親子間の会話で子どもがあいまいな言葉や返答をした場合は、わからないフリをして「質問返し」をすること。

日本人は察しがよく、文章が成立していなくても相手のいいたいことがわかりますが、明確な答えをきちんと言葉で説明するように導いてあげてください。

さらに、子どもが選択したことで失敗が見えていても、危ないこと以外はあえて失敗を経験させます。改善策を本人に考えさせることも、思考力を高めるには重要です。

子どもがあいまいな返答をした場合は、わざとわからないフリをして「質問返し」をし、明確な回答と説明を求めましょう。 写真:アフロ

「コミュニケーション力」は技術! 自然には育たない!

笑顔であいさつをしたり、自分の考えを明確に伝えたり、他人の話を最後まできちんと聞くという力は、礼儀作法と同じでスキル(技術)です。

アジア人の多くが「コミュニケーション力は自然に育つ」と思う傾向にありますが、親が教えなければ育たないと船津先生はいいます。

子どもとたくさん遊んで、その言葉に耳を傾ける

グローバル社会を生き抜くために必要な力の最後は「コミュニケーション力」です。「コミュニケーション力」とは「他者と信頼関係を作る力」をいいます。幼いうちは家族間でその力を育ててあげましょう。

コミュニケーション力を育てるといっても難しいことはなく、親御さんは子どもとたくさん遊んで感情を引き出し、子どもの言葉に耳を傾けてあげるだけでOKです。

特に親御さんが聞き上手になると、子どもは自分からたくさん話すようになり、やがてそれが頭の中を整理することにつながって、相手にロジカルに伝える力を向上させます。

ですから、親御さんは「早くいいなさい」「忙しいからあとにして」なんていわず、意識して子どもと話す時間をたっぷりとってあげてください。

きょうだいがいる場合は、家族で雑談して、お互いの意見交換するのもおすすめです。家族間で自由に話し合えることで、会話の技術だけでなく、他者とかかわることの楽しさを得ることができます。

世代を超えた会話や交流をさせてみる

日本人の子どもは気の合う、限られた集団の中でしかコミュニケーションをとらない傾向があります。

見知らぬ人や同世代以外との人付き合いを苦手としないためにも、習い事をはじめ、スポーツチームや町内のイベントなど、世代を超えた交流の場を子どもに持たせてあげましょう。

少子化や都市化により、現代は人間関係が薄れていることがあります。しかし、子どもがこれからの社会でのびのび生きていくためには、意識して幅広い年齢の人々とかかわるチャンスを与えることが大切です。

また、逆に大人が子どもに混ざって会話をするのも手です。このときは子どもを大人扱いするといいでしょう。

欧米では誕生日パーティーなどで、「こんにちはザックさん、サッカーの調子はどうですか?」と、まるで大人同士の会話のように大人が小学生の子どもに声をかけたりします。

これは子どもの自立を促す気持ちの表れでもありますが、大人が敬意を持って接すると、子どもも大人扱いがうれしくてしっかりした対応を見せます。

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