知ってた人も知らなかった人も!子どもと取り組む「SDGsこと始め」

SDGsで子どもの未来を創ろう#1「よく聞くSDGsっていったい何?」

一般社団法人エシカル協会理事:竹地 由佳

絵本なら気軽に試すことができますね。
写真:photo AC

最近では、書店に行くと『SDGs特集』が組まれていることも多く、SDGs関連の絵本もたくさん出版されています。絵本選びのポイントは、子どもが興味を持てる『キーワード』が使われていることや、ページをめくりたくなる『仕掛け』が含まれていること。

こうした工夫がされている絵本なら、子どもも飽きずに楽しむことができます。

中でもSDGsを学びはじめるのに、最適な絵本を2冊紹介してもらいました。

じゅんびはいいかい? 名もなきこざるとエシカルな冒険

『じゅんびはいいかい? 名もなきこざるとエシカルな冒険』(文:末吉里花、絵:中川 学/山川出版社) 
画像提供:山川出版社

『じゅんびはいいかい? 名もなきこざるとエシカルな冒険』は、主人公の子ザルが、子どもたちと様々な場所へ冒険に出かけ、食べ物や洋服などが、どこで、どのように作られているかを学んでいきます。

「『エシカル』とは、人や地球環境、社会や地域に配慮した考え方や行動のことで、SDGsに大きく貢献する方法の1つです(詳しくは第2回で取り上げます)。

この絵本では、子ザルが冒険をスタートするとき、『エシカル マジカル〜』という魔法の呪文を唱えます。

韻を踏んだ独特の言葉の響きが子どもにはおもしろいらしく、私の5歳の息子も気に入って、よく『エシカル マジカル〜! 』とつぶやいています」(竹地さん)

キティちゃんとSDGsが学べる

『Hello Kitty ぼくとわたしのSDGs ~世界のみんなと2030年を考えよう~』(イラスト:谷口彩香、監修協力:一般社団法人エシカル協会/アインズ株式会社) 
画像提供:アインズ株式会社

こちらは小学生向けの絵本ですが、4歳くらいから理解できる内容になっています。

「ハローキティという、子どもにとって身近な存在が登場するので、興味が湧きやすいですよね。

この絵本は、『ソーラーインキ』の仕掛けがついているのが特徴です。絵本を太陽に照らすと、それまでは見えなかった絵が浮かび上がってくるんです。

仕掛けを楽しみながら、親子で一緒に絵本を眺めることで、SDGsについても理解を深めることができますよ」(竹地さん)

絵をみるだけでも十分! 親子の会話を楽しんで

「SDGs関連の絵本は、子どもが理解しやすく、やさしい内容にまとまっていますが、お話し自体は比較的長く、ページ数も多めです。ですから、毎回『全て』を読む必要はありません。

子どもの反応を見ながら、少しずつ読み進めてください。また、子どもは好きな部分を何度も繰り返したがるので、気に入った部分だけ読む、といった方法でも良いですね。

絵本のメリットは、文字を読まなくても、絵を見るだけで楽しめるところ。

親子で一緒に絵を眺めながら、『この人たちは何をしているのか』『どんな気持ちなのかな』などと、子どもへ問いかけてみることもおすすめです。こうした『問い』に応えるなかで、子どもは絵から様々なことを思い巡らし、考えていきます。

先ほど紹介した『じゅんびはいいかい? 名もなきこざるとエシカルな冒険』には、バナナやチョコレートの生産地の様子が出てきます。

そのなかで、フィリピンの大規模なバナナ農園では、農薬を大量に使って生産者やその家族が病気になっている現状、ガーナのカカオ生産地では、家が貧しく家計のために働かざるを得ない子どもたちの児童労働などが取り上げられています。

私自身も息子と絵を見ながら、『このバナナは、気持ちよく作られたものなのかな』など、いろいろな『問い』を投げかけています。息子は想像を膨らませながら、『この人はつらそうだね。何でかな』などと応えてくれます。

絵本を繰り返し見たり、読んだりすることで、今生きている社会にはどんな問題があるのか、自分が食べたり使ったりしているものがどのように作られているのかを、考えるきっかけになります。

これらがベースとなり、自然に『世界と自分のつながり』について考える姿勢が育っていきます」(竹地さん)

子ども時代は「種まき」。「知ること」を楽しんで

「SDGsが目指している『誰一人取り残さない世界』を実現するためには、世界中の人たちが、お互いを思いやり、異なる国や状況にある人のことを考えて行動することが必要です。

幼少期は、こうした行動が『当たり前』にできるようになるための、『種まき』を行う時期だと考えています。絵本を読んだり、親子で一緒にお話ししたりしながら、焦らずゆっくり育てていきましょう。続けていれば、ある時いろいろな内容がリンクして、『自ら行動する』ことへとつながっていくはずです。

SDGsで最も大切なのは、まずは『知ること』です。人は、知らなければ『行動』することはありませんが、知っていれば、どんなに小さなことでも実践することができます。

一人一人の行動が、未来を変えることにつながります。子どもとともに想像を膨らませながら、『知る』『考えてみる』ことから始めてみてください」(竹地さん)

第2回は、買い物にスポットを当てた「エシカル消費」について伺います。

取材・文/川崎ちづる

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たけち ゆか

竹地 由佳

たけちゆか 一般社団法人エシカル協会 理事。 宮城県仙台市出身。大学卒業後、銀行に就職し、個人営業を主に担当。行員向けの環境ボランティア企画にも携わる。2011年の東日本大震災をきっかけに、エシカルな仕事をしたいと決意。東北地方の復興事業やアメリカでのボランティア活動などを経て、2015年に一般社団法人エシカル協会の立ち上げから従事。エシカル消費の普及啓発の活動をしている。二児(5歳と2歳)の子育て中。

たけちゆか 一般社団法人エシカル協会 理事。 宮城県仙台市出身。大学卒業後、銀行に就職し、個人営業を主に担当。行員向けの環境ボランティア企画にも携わる。2011年の東日本大震災をきっかけに、エシカルな仕事をしたいと決意。東北地方の復興事業やアメリカでのボランティア活動などを経て、2015年に一般社団法人エシカル協会の立ち上げから従事。エシカル消費の普及啓発の活動をしている。二児(5歳と2歳)の子育て中。