SDGsには「壮大な目標」というイメージが強く、「何から取り組んだらいいのかわからない」という声が聞こえきます。
でも、毎日の暮らしのなかで取り組めることがが、じつはたくさんあります。子どもと楽しみながら実践するだけで、いろいろな目標に貢献できます。
連載第3回では、一般社団法人エシカル協会理事で、5歳と2歳の二人のお子さんのママである竹地由佳さんに、子どもと一緒に家のなかでできる取り組みをお聞きしました。(全4回の3回目。#1、#2を読む)
毎日の暮らしで、意外とたくさんの目標に貢献できる!
第1回で紹介したSDGsの目標のなかには、『貧困』や『飢餓』など、スケールが大きく、『自分の行動で解決できる』と思えないものがあります。しかし、毎日の暮らしのなかにこそ、できることがたくさんあると竹地さんは言います。
「日々の生活や家庭のなかで、試行錯誤を楽しみながら、SDGsの様々な目標に貢献することができます。
例えば、第2回で紹介した「エシカル消費」はもちろんですが、使い捨て用品の使用をやめる、できるだけ残さず食べるなどは、ちょっと気をつけるだけで、すぐにできることですね」(竹地さん)
家のなかでできることというと、節電などの『我慢』がベースになることを連想してしまいますね。でも、楽しく、ポジティブに取り組めることがあると言います。いったいどういうことでしょうか。
「このあと詳しく紹介しますが、コンポストを活用したゴミの減量などが、その良い例です。
未来の社会の主役になる子どもたちが、暮らしのなかでできることを実践し、サステナブルな行動が『当たり前』にできるようになることこそ、SDGsが目指す『持続可能な社会』のためには不可欠です」(竹地さん)
「コンポストバッグ」で手軽に「循環」を体験
では、具体的に、どんなことに取り組めばよいか見ていきましょう。
「子どもと自宅で取り組めることのひとつに、『ゴミ』への対策があります。ゴミを出さない人はいないので、誰にとっても身近なテーマです。ですが、ただ漠然と『ゴミを減らそう』というだけでは効果を実感できないですし、何より面白みがないと長続きしません(笑)」(竹地さん)
そこで、竹地さんが「ぜひ活用してほしい」とおすすめするのが『コンポスト』です。
「子どもにとって『何の価値もない』と思っている生ゴミが、食べ物を育てる堆肥になることは、大きな『驚き』です。
そして、自分の生活のなかから『循環』を感じられるとても良い機会になります。最近は、専用バッグに生ゴミを入れるだけで堆肥になる、とっても便利なコンポストセットもあり、ベランダで手軽にチャレンジすることができますよ。
我が家では、息子と一緒に、まずはキッチンで生ゴミの量を計っています。その後、息子がベランダにあるバッグに生ゴミを入れて、軽く混ぜます。これが毎日のルーティンになり、息子も自分の役割として張り切って取り組んでいます。バッグをしっかり閉めれば悪臭がすることもないですし、本当に簡単です。
一般的な家庭の生ゴミの量なら、1.5〜2ヵ月間毎日生ゴミを投入し、その後約3週間熟成させると堆肥が完成します! 作った堆肥を活用して、バッグのなかでそのまま野菜や植物を育てることもできるんです。堆肥ができあがった後、我が家でも大葉を育ててみましたが、息子は大喜び。
捨ててしまえばただの『ゴミ』ですが、堆肥化して土に還してあげれば、おいしい野菜を育てる『栄養』になる。子どもが自分の目と手を通して『循環』を体験することは、大きな財産になると実感しています」(竹地さん)