その「しつけ」グローバルとは真逆かも! 世界から見て「日本の子育て」ココが変!

ハワイのバイリンガルスクール校長が教える 世界に通用する子どもの育て方 #2

バイリンガルスクールTLC for Kids代表:船津 徹

米国の子どもの𠮟り方は日本とどこが違うのか?

日本の子育てには、世界から見たら違和感を覚え、かつ子どものグローバル性に影響を及ぼしていることがあります。

引き続き、今の子育てで見直したい部分を紹介します。

見直しポイント③ 子どもは子ども、親は親という感覚が薄い

米国といわず欧米では、親と子どもは別人格であり対等だという考えが浸透しています。それに対して日本は、子どもは親の所有物だという意識が否めません。

その傾向がうかがえることに𠮟るシーンがあります。例えば欧米では子どもにもプライドがあって一人前の人間だと捉えているので、人前で頭ごなしには𠮟りません。

一方、日本はダメという言葉や人前で子どものプライドを傷つけて𠮟る場面もありますし、言葉での説明が海外に比べると足りないと感じます。

親子は以心伝心という考えを知らず知らずのうちに持っていることがありますが、これは子どもは親の所有物だという意識に他なりません。

もし、子どもを𠮟る場面に出くわしたら、これが他人の子どもだったらどう対応するのかという感覚で冷静に向き合ってみてほしいのです。

また、マナーに関してはそもそも欧米のほうが日本よりもずっと家庭教育は厳しく行われ、公私の違いを教えられています。

とはいえ、誰かが見ているからこれをしちゃダメであるとか、お店の人に怒られるからやめなさいという教え方は欧米ではしません。

ルールやマナーは、みんなが気持ちよく過ごすためのものと子どもに言葉で説明して教えます。

子どもであろうとそれぞれに人格があるという意識は、個を尊重するグローバル社会の基本的な考えです。

欧米でマナーやルールを教えるときは、自分も周囲の人も気持ちよく過ごすためのものと伝えます。 写真:アフロ

見直しポイント④ 「早くしなさい!」が多い

何事にもスピード感を求められるのが現代です。この傾向は子育てにも影響しており、「早くしなさい!」「なんでそんなに遅いの!」と子どもをせきたてる親が増えたように感じます。

「早く!」とせきたてられると、できることもたいていはうまくできなくなります。これをお読みの親御さんにも、プレッシャーをかけられたら焦って手元が狂ったなどの経験があるでしょう。

せきたてる言葉は子どもに無駄な失敗体験を積ませてしまい、「自分にはムリ」「できない」などの消極的な態度を導いてしまいます。

グローバル社会において「自分はやればできる」というチャレンジ精神や諦めない気持ちは非常に大切です。ですから、子育てに焦りは禁物です。

親がおおらかな態度で子育てをしていくと、子どもはじっくりと物事に取り組んでいくことができ、結果的に成功体験を積み重ねることができます。

これが「自分でできた!」「自分はできる!」という経験につながり、子どもの自信の土台になっていきます。

日本の子育て&教育、実はココが素晴らしい!

「第1回を含めて(#1を読む)日本の子育てや教育の問題点を挙げてきましたが、もちろん素晴らしい点もあります。

日本は学校教育でカバーしている教科が多く、米国に比べて勉強できる幅がとても広いのです。

体育も家庭科も図画工作も、道徳まであり、多種多様な分野を学校が教えてくれます。しかも、平均的な学力水準はピカイチです。高いレベルでさまざまな技能を身につけている子たちが多いと感じます。

また、幼稚園や保育園の保育は世界一のレベルといっていいほどです。

先生になるには国家資格が必要ですし、勉強も運動も、社会生活の基本も教えてくれます」(船津先生)

日本の教育で優れている部分を継続して取り込みつつも、家庭では国際社会を意識した子育てを踏まえていけば、どんな環境にも臆しないたくましい精神の持ち主になれそうです。


次回は、世界に通用する子育ての根幹である3つのポイントを紹介します。

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船津 徹(ふなつ とおる)
バイリンガルスクールTLC for Kids代表。明治大学経営学部卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威である故・七田眞氏に師事する。その後独立して、米ハワイ州に移住。2001年ホノルルにTLC for Kidsを設立し、英語力、コミュニケーション力、論理力など、世界で活躍できるグローバル人材を育てるための独自の教育プログラムを持って指導にあたる。2020年までに5000名以上の子どもの教育に携わり、卒業生の多くが世界の難関大学に進学し、各国で活躍している。

【主な共著や監修書】
「世界標準の子育て」(ダイヤモンド社)
「世界で活躍する子の〈英語力〉の育て方」(大和書房)
「失敗に負けない『強い心』が身につく 世界標準の自己肯定感の育て方」(KADOKAWA) など


取材・文/梶原知恵

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ふなつ とおる

船津 徹

バイリンガルスクールTLC for Kids代表

明治大学経営学部卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威である故・七田眞氏に師事する。その後独立して、米ハワイ州に移住。2001年ホノルルにTLC for Kidsを設立し、英語力、コミュニケーション力、論理力など、世界で活躍できるグローバル人材を育てるための独自の教育プログラムを持って指導にあたる。2020年までに5000名以上の子どもの教育に携わり、卒業生の多くが世界の難関大学に進学し、各国で活躍している。 https://torufun.amebaownd.com/ 【主な共著や監修書】 「世界標準の子育て」(ダイヤモンド社) 「世界で活躍する子の〈英語力〉の育て方」(大和書房) 「失敗に負けない『強い心』が身につく 世界標準の自己肯定感の育て方」(KADOKAWA) など

明治大学経営学部卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威である故・七田眞氏に師事する。その後独立して、米ハワイ州に移住。2001年ホノルルにTLC for Kidsを設立し、英語力、コミュニケーション力、論理力など、世界で活躍できるグローバル人材を育てるための独自の教育プログラムを持って指導にあたる。2020年までに5000名以上の子どもの教育に携わり、卒業生の多くが世界の難関大学に進学し、各国で活躍している。 https://torufun.amebaownd.com/ 【主な共著や監修書】 「世界標準の子育て」(ダイヤモンド社) 「世界で活躍する子の〈英語力〉の育て方」(大和書房) 「失敗に負けない『強い心』が身につく 世界標準の自己肯定感の育て方」(KADOKAWA) など

かじわら ちえ

梶原 知恵

KAJIWARA CHIE
企画・編集・ライター

大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。

大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。