
百日ぜきの感染者が増えている理由
──追加接種の必要性が見直されるなか、「そもそもなぜ今、百日ぜきの報告がこれほど増えているのか?」と気になる人も多いと思います。その背景には、どんな要因があるのでしょうか?
岡本先生:一つ大きな要因は、やはり新型コロナの影響だと思います。2020年以降は、マスクや手洗い、距離をとるなどの感染対策が徹底されていたため、百日ぜきに限らず多くの感染症の流行が一時的に抑えられていました。
しかし、その反動のように、2024年には手足口病が大流行し、その後はマイコプラズマ肺炎やインフルエンザも長引きました。今はいろいろな感染症が次々と現れており、現場の医師としても「落ち着かない状況」が続いていますね。
──たしかに、ここ数年でさまざまな感染症が一斉に話題になっている印象です。そのなか、家庭でできる対策にはどんなことがありますか?
岡本先生:まずは、手洗い・うがい・マスクといった基本の感染対策ですね。これらを意識するだけでも、飛沫感染はかなり防ぐことができます。
特に、咳をしている家族がいる場合や、家庭に乳児がいる場合などは、意識的に感染を広げない工夫が大切です。日常の中で少し注意するだけでも、家族全体の安心につながります。
最後に、百日ぜきは、本当に咳がつらい病気です。昼も夜も咳き込んで、子どもにとっては大きな負担になります。しかも、咳が治まるまでに時間がかかる。
だからこそ、「かからないようにする」ことが何より大切です。そのためには、ワクチンによる予防と日常の対策を、家族全員で心掛けて過ごしてくださいね。
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百日ぜきは、「かかってから対処する」よりも、「かかる前に備える」ことが大事だと、今回の取材をとおして改めて感じました。特に、ご家庭にまだ予防接種を受けていない赤ちゃんがいる場合は、上のお子さんが追加接種を受けることで、家庭内での感染リスクを減らせる可能性があります。もし気になることがあれば、かかりつけ医に相談してみてください。
取材・文/山田優子
百日ぜきは全2回。

山田 優子
フリーライター。神奈川出身。1980年生まれ。新卒で百貨店内の旅行会社に就職。その後、拠点を大阪に移し、さまざまな業界を経て、2018年にフリーランスへ転向。 現在は、ビジネス系の取材記事制作を中心に活動中。1児の母。
フリーライター。神奈川出身。1980年生まれ。新卒で百貨店内の旅行会社に就職。その後、拠点を大阪に移し、さまざまな業界を経て、2018年にフリーランスへ転向。 現在は、ビジネス系の取材記事制作を中心に活動中。1児の母。
岡本 光宏
おかもと小児科・アレルギー科院長。日本小児科学会小児科専門医、認定小児科指導医、日本アレルギー学会アレルギー専門医、臨床研修指導医、日本周産期・新生児医学会新生児蘇生法インストラクター、アメリカ心臓協会小児二次救命処置法インストラクター。 2009年奈良県立医科大学部卒業。同年神戸大学大学院医学研究科小児科学分野に入局。姫路赤十字病院、明石医療センターを経て、2019年より兵庫県立丹波医療センター 小児科医長。 2023年7月、兵庫県三田市で「おかもと小児科・アレルギー科」を開院。新生児から思春期の心の疾患まで幅広く診察している。3児の父として、子育てにも積極的に関わる。 著書に『研修医24人が選ぶ小児科ベストクエスチョン』(中外医学社)、『小児科ファーストタッチ』(じほう)など。 サイト「笑顔が好き」 https://pediatrics.bz/
おかもと小児科・アレルギー科院長。日本小児科学会小児科専門医、認定小児科指導医、日本アレルギー学会アレルギー専門医、臨床研修指導医、日本周産期・新生児医学会新生児蘇生法インストラクター、アメリカ心臓協会小児二次救命処置法インストラクター。 2009年奈良県立医科大学部卒業。同年神戸大学大学院医学研究科小児科学分野に入局。姫路赤十字病院、明石医療センターを経て、2019年より兵庫県立丹波医療センター 小児科医長。 2023年7月、兵庫県三田市で「おかもと小児科・アレルギー科」を開院。新生児から思春期の心の疾患まで幅広く診察している。3児の父として、子育てにも積極的に関わる。 著書に『研修医24人が選ぶ小児科ベストクエスチョン』(中外医学社)、『小児科ファーストタッチ』(じほう)など。 サイト「笑顔が好き」 https://pediatrics.bz/