ちょっと外出しただけなのに、子どもを見たら滝のような汗を流していたことはないでしょうか。
汗を出す汗腺の数は、大人と子どもで違いはないといわれています。皮膚の表面積で比較した場合、子どもは体が小さくて汗腺が密集しているので、大人よりも汗をかいている印象があるのはそのためです。
大量に汗をかくと体の中はもちろんのこと、皮膚の表面にトラブルが起きることがあります。夏にかかりやすい子どもの病気を紹介しているシリーズ第4回目は、「あせも」と「熱中症」について紹介します。
病気の原因や症状、対処法などを詳しく解説してくださるのは、愛育クリニック院長である渋谷紀子先生です(全4回の4回目。#1、#2、#3を読む)。
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ブツブツ、ポツポツ、かゆみもある「あせも」
夏になるとあせもができている子どもをたくさん見かけますが、特に赤ちゃんは皮膚の薄さもあいまってあせもができやすい傾向があります。
汗をかいたあとは早めに拭き取るなどして、しっかりとケアしてあげることが大切です。
1) あせもってどんな病気なの?
高温多湿の状況で大量の汗をかくことで起こる皮膚トラブルです。人はたくさん汗をかくと皮膚がふやけて汗を排出する管が詰まりますが、行き場を失った汗が皮膚の内側に溜まると「あせも」になります。
また、汗自体が刺激になって起こる赤み(かぶれ)もあせもと呼ばれることがあります。
子どもはもちろん大人もあせもができますが、特に赤ちゃんは皮膚が薄いことも影響して炎症を起こしやすいといえます。
感染症ではありませんから人にうつることはありませんが、汗をかいたあとのケアが不十分だと全身に広範囲に出ることもあります。
特にあせもができやすいのは首まわりや額、わきの下、ひじの内側や手首のくびれ、ひざの裏など汗が溜まりやすく、ムレやすいところです。場合によっては、背中や頭部に及ぶこともあります。
小さな赤い丘疹(きゅうしん)と呼ばれるポツポツが特徴で、同じ大きさの細かい発疹がかたまって出ます。強いかゆみや熱感を感じることもあります。炎症が強い場合は水ぶくれになることもあるでしょう。
かゆみがあるため、かき壊してしまうと傷ついた皮膚に細菌が感染して「とびひ(#3を読む)」や「あせものより」という2次的な症状が起こることがあります。あせものよりはあせもが化膿してできるもので、熱が出たり、リンパ節がはれたりすることもあります。
アトピー性皮膚炎の子は汗により皮膚炎が急激に悪化することもがあるので、汗をかいたあとのケアは十分に行いましょう。
2) おうちでの応急処置と病院での対処法
皮膚を清潔にすることが第一です。汗をかいたあとは放置しないで、拭き取ったり、シャワーで流したりして清潔な状態を心がけましょう。
かゆみが強かったり、全身にあせもが広がった場合は受診がオススメです。病院では炎症を抑えるための軟膏を処方することが多く、とびひなど細菌感染があれば抗菌薬入りの軟膏を使用します。
薬を使用後は通常、数日で良くなりますが、汗をかいたあとのケアは引き続き行いましょう。
3) そのほかの注意事項について
あせもは感染症ではないため、登園や登校に特に制限はありませんが、子どもがあせもをかき壊さないようにしてあげることが大切です。
まず、爪はきちんと切り、かゆみが強いときは炎症止めの軟膏を塗って、かいて悪化するのを防ぎましょう。
予防法としては、通気性の良い衣服を選んで着せたり、汗をかいたらこまめに着替えさせたりすることも大切です。
あせもができないようにと1日中クーラーの効いた部屋で過ごすのは、汗腺の発達を妨げるのでよくありません。適度に汗をかかせたらシャワーでさっぱりと流し、お昼寝をするときはエアコンを上手に使うなどで、暑い夏を快適に過ごしましょう。