“高い絆創膏” 不適切な使い方をすると化膿!? 「正しい使い方」とは[医師監修]

#1 皮膚科医・野崎誠先生に聞く【ハイドロコロイド絆創膏の注意点】 (2/3) 1ページ目に戻る

皮膚科医:野崎 誠

化膿して手術に…

話題の発端となったX(旧Twitter)のポストは、来院した人がキズパワーパッドを使ったら腱まで化膿していて手術するしかない状況だった、という整形外科医による衝撃の内容。

この投稿に対し、「わかばひふ科クリニック」院長で皮膚科医の野崎誠先生が返信で反応しました。

「きちんとやればうまくいくんですよ。ただそのきちんとがえらく難しいと言う… どのくらい難しいかと言うと被覆剤に慣れてる皮膚科医が、その娘の傷に対して行っても50%くらいの確率で失敗するという…」。

これらの投稿に対し、一般人には無理、説明書を読むべき等々のコメントが続き、大きな反響を呼びました。

表示回数2300万回以上、コメント数580を超えた(2025年11月27日現在)、Xの最初の投稿。
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わかばひふ科クリニック院長の野崎誠先生のコメントも約140万回表示に(2025年11月27日現在)。

これを見て、「“高い絆創膏”ってただ貼ればいいだけじゃなかったの?」と驚いた保護者も多いはず。確かに「キズパワーパッド」や「ハイドロコロイド絆創膏」をネット検索すると「いつまで」「膨らむ」「使い方」などの検索候補(サジェストキーワード)が上がり、使い方に迷っている人も多いことがわかります。

皮膚のプロである皮膚科医でも失敗する確率が50%とは、どういうことなのでしょうか。“高い絆創膏”(ハイドロコロイド絆創膏)にはいったい、どんなリスクがあるのか。Xにコメントした、野崎先生に詳細を伺いました。

皮膚科医でも難しい! “高い絆創膏”の使い方

──まずは先日のXでのコメント、皮膚科医の野崎先生でも“高い絆創膏”(ハイドロコロイド絆創膏)でうまくいかないことがある、というのは本当でしょうか。

野崎誠先生(以下、野崎先生):正直に言うと、家庭内のケアでそういうときはあります。あれは、私の娘が学校で転んですり傷ができたときのことでした。

広い面積の傷で、滲出液(しんしゅつえき/傷口から出るジュクジュクした体液)が多い状態だったんです。ハイドロコロイド絆創膏を使ったものの、後日かぶれてしまって……。結局、ガーゼを紙テープでとめる形に変更して治しました。

学校に行っている間はこのタイプの絆創膏はなかなか貼り替えられないので、かぶれてしまったんですね。ハイドロコロイド絆創膏のキモは「使い方」。実は扱いが難しいのです。

──使い方を誤ると、どういったことが起こるのですか。

野崎先生:滲出液がもれたまま貼りっぱなしにしていると、かぶれや二次感染を起こすリスクがあります。しかし商品のパッケージには「最長5日間保護」などと書いているものもあるため、説明書をしっかり読まないまま貼りっぱなしにしてしまう人が多いんです。

本当は、その「5日間」は「最長」の場合であって、説明書を細かく読むとこまめに取り替えなければならないケースも書いてはいるのですが……。

貼ったままでは傷口を目で確認できないので、感染を起こしても気が付かず、皮膚の下へ周りへと感染が広がってしまいます。そうなると皮下脂肪まで到達し、細菌感染症の「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」になったり、膝頭などの関節が近い場所では「化膿性関節炎」などになる可能性もあります。

高い絆創膏の「三大鉄則」とは?

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