
“高い絆創膏” 不適切な使い方をすると化膿!? 「正しい使い方」とは[医師監修]
#1 皮膚科医・野崎誠先生に聞く【ハイドロコロイド絆創膏の注意点】 (3/3) 1ページ目に戻る
2025.12.15
皮膚科医:野崎 誠
こまめにケアできないなら「ガーゼ」がおすすめ
──では、ハイドロコロイド絆創膏を使う際、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。
野崎先生:大切なことは大きく3つです。
1.貼る前に水と石けんで「よく洗う」。
まずは絆創膏を貼る前に、痛くても大量の水と石けんで傷口をよく洗いましょう。最初が肝心です。ハイドロコロイド絆創膏で上手くいかないケースは、最初の貼る前にきちんと洗えていないことが一番多い。そのまま絆創膏でおおってしまうと、二次感染につながりますので、異物や細菌はしっかり落としましょう。
2.「貼ってはいけない傷」でないか確認する。
感染の恐れがある場合は、貼ってはいけません。例えば、「とびひ」(伝染性膿痂疹・でんせんせい のうかしん)に貼れば広がってしまいます。犬や猫、人などに嚙まれた傷も感染症の恐れがあるので貼らないでください。また、えぐれていたり、黄色い皮下脂肪が見えていたりするような深い切り傷などは自分で対処せず病院の受診を。
3.滲出液があふれる前に「張り替える」。
ハイドロコロイド絆創膏は値段が高いので、一度貼ったら長く使いたい気持ちはわかります。しかし、滲出液(傷口から出る体液)があふれそうな場合は、一日に2度、3度でも貼り替える必要があります。滲出液が外にもれることで、かぶれや二次感染を引き起こしてしまうからです。
この点で、こまめに貼り替えができない場合、使用は避けたほうがいいでしょう。実はすり傷はハイドロコロイド絆創膏とあまり相性は良くないと感じています。切り傷や、やけど(水ぶくれが破けていない場合)に比べ、滲出液が多いですからね。
かぶれや二次感染がないか、こまめに傷口をチェックし、しめり具合と乾燥のバランスをしっかりコントロールさえできれば、ハイドロコロイド絆創膏は傷を早くキレイに治せる効果を発揮するんです。
だけど、このコントロールがなかなか難しい。傷をチェックしたり貼り替えたりがあまりできない人や、感染の心配がないか判断が難しい場合は、むしろワセリンをぬってガーゼに紙テープでとめたほうが良いのではないでしょうか。
ガーゼというと傷口にくっついてしまい痛い、という声もありますが、ドラッグストアなどの商品には傷にくっつきにくいタイプのガーゼもあるので、そういったものを上手く使えると良いかと思います。
ハイドロコロイド絆創膏で失敗して悪化するくらいなら、多少時間がかかっても乾かしてかさぶたにして治すほうが良いかと思いますよ。
──そのほか、子どもの皮膚に貼るものには、虫刺されパッチなどもありますが、気を付ける点は?
野崎先生:“貼りもの”を使用するのであれば基本的に、どれくらいの時間まで貼って良いかが説明書に書いてあるため、それを確認してから守る習慣をつけると良いですね。
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傷を早くキレイに治してくれるハイドロコロイド絆創膏の意外な落とし穴。貼って良い傷かどうかの“判断”や、しっかり傷を確認して適切に貼り替えるのは、意外に難しいものだと感じました。
・明らかに感染の心配や受診の必要がない
・こまめにケアできる状況
という場合は、上手く取り入れつつ、それ以外はガーゼと紙テープも活用できると良さそうですね。
第2回では、ハイドロコロイド絆創膏の「貼り方のコツ」や「こんなときはどうしたら!?」といった疑問について、引き続き野崎先生にお話を伺います。
取材・文/原田美咲
※2025年12月16日よりリンク有効
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原田 美咲
地域情報紙の記者を経て、2025 年からフリーライターに。これまでは地域の取り組みや活躍する子どもたち、選手への取材・インタビュー等を中心に、広いテーマで執筆。趣味は段ボール工作。
地域情報紙の記者を経て、2025 年からフリーライターに。これまでは地域の取り組みや活躍する子どもたち、選手への取材・インタビュー等を中心に、広いテーマで執筆。趣味は段ボール工作。




































野崎 誠
山形大学医学部卒業、国立成育医療研究センター皮膚科(小児専門病院)などを経て2013年、「小児皮膚科」・「一般皮膚科」を専門とする『わかばひふ科クリニック』を開院。 一般向け、教育機関向け講演活動などにも力を入れており、乳幼児から思春期・成人の皮膚の病気に関する正しい情報の啓発活動に努めている。 わかばひふ科クリニック http://www.wakaba-hifuka.com/ X わかばひふ科クリニック公式 @wakaba_hifuka2 YouTube わかばひふ科クリニック公式 https://www.youtube.com/@wakaba_hifuka
山形大学医学部卒業、国立成育医療研究センター皮膚科(小児専門病院)などを経て2013年、「小児皮膚科」・「一般皮膚科」を専門とする『わかばひふ科クリニック』を開院。 一般向け、教育機関向け講演活動などにも力を入れており、乳幼児から思春期・成人の皮膚の病気に関する正しい情報の啓発活動に努めている。 わかばひふ科クリニック http://www.wakaba-hifuka.com/ X わかばひふ科クリニック公式 @wakaba_hifuka2 YouTube わかばひふ科クリニック公式 https://www.youtube.com/@wakaba_hifuka