専門医がママに教える「産後脱毛」対処法“セルフケアと受診“の目安

専門家が答える「毛の問題」#1‐2 ママの抜け毛【産後脱毛症】の対処法

産婦人科医、医学博士:富坂 美織

ひどい抜け毛は「産婦人科」か「専門クリニック」へ

──どうしても抜け毛が気になるときは、どの医療機関を受診すればいいでしょうか。

富坂先生 ホルモンバランスの乱れによる抜け毛であれば、ほとんどは1年ぐらいで落ち着いてくるので、1年は様子を見ていいと思います。それ以上続くようなら、まずはかかりつけの皮膚科や産婦人科などへ相談するのがおすすめです。

産婦人科では、髪にいいとされる亜鉛や葉酸などのサプリメントを説明することが多く、クリニックによっては食事指導やヘアケアの指導をしているところもあります。薬用の育毛ローションやシャンプーを案内することもありますが、授乳期だったりすると薬剤によっては使えないため、医師とよく相談するといいですね。

注意が必要なのは、産後脱毛症の治療は原則保険適用外で、自費診療になる点です。頭皮にかゆみがあって皮膚科を受診した場合など、一部で保険適用になるケースもありますが、ほとんどが自費診療になります。

本格的な治療を受けたいなら、産後脱毛症の診療を行っている美容クリニックや、女性の薄毛治療専門クリニックも選択肢のひとつです。内服薬や外用薬、育毛剤、サプリメントの処方をはじめ、抜け毛に有効な薬剤を頭皮に直接注入する注入療法など、さまざまな治療法があるようです。

髪や頭皮の状態、授乳の有無など、人それぞれ状況が違いますし、ほかの病気を併発していないかも含め、まずは抜け毛の原因が産後脱毛症なのかをチェックしてからの治療になると思います。

治療内容や費用など、ホームページに記載しているクリニックも多いので、比較検討してから問い合わせると安心ですね。

──多くのママが直面する産後の抜け毛ですが、「治るんだ」「治療法があるんだ」と思うと、気持ちがラクになりますね。

富坂先生 そう思います。相談に来られる患者さんを見ていると、「あまり気にしすぎない」ということも大事なように感じます。「抜け毛は産後、誰にでも起こり得ること」「一時的なもので、1年ぐらいで元に戻る」と最初から知っておくと、「このままハゲてしまうんじゃないか」という不安も少しは減るはずです。

特に初めてのお子さんの子育てだと、慣れない育児で気持ちが追い詰められることも多いですよね。ストレスは、髪にとって悪影響。悩みをひとつ減らして、抜け毛とゆっくり付き合ってみてもいいのではないでしょうか。
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いかがでしたか?
生活習慣の見直しは産後の抜け毛をおさえるだけでなく、心身も健やかになり、子育てをポジティブに楽しむことにも繫がる気がします。赤ちゃんのお世話は大変ですが、自分をいたわる時間もしっかりと作りたいですね。

「毛の問題」シリーズ第2回は、「ママパパのVIO脱毛・最新事情」をお届けします。

取材・文/星野早百合

【脚注】
※1「二分脊椎(にぶんせきつい)」=脊椎の形成に異常が生じる先天性疾患のひとつで、妊娠中の葉酸低値によりリスクが増大するとされる

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とみさか みおり

富坂 美織

Miori Tomisaka
産婦人科医、医学博士

産婦人科医、医学博士。順天堂大学医学部卒業、東京大学医学部研修医、愛育病院産婦人科医を経て、ハーバード大学大学院へ留学。卒業後は、マッキンゼーにてコンサルティング業務に携わる。 現在は不妊治療が専門で「さくらウィメンズクリニック」に勤務するほか、順天堂大学医学部産婦人科教室非常勤講師、テレビや雑誌などの幅広いメディアでも活躍。 著書に『「2人」で知っておきたい 妊娠・出産・不妊のリアル』(ダイヤモンド社)など。 ●富坂美織 オフィシャルサイト  ●Twitter @mioritomi

産婦人科医、医学博士。順天堂大学医学部卒業、東京大学医学部研修医、愛育病院産婦人科医を経て、ハーバード大学大学院へ留学。卒業後は、マッキンゼーにてコンサルティング業務に携わる。 現在は不妊治療が専門で「さくらウィメンズクリニック」に勤務するほか、順天堂大学医学部産婦人科教室非常勤講師、テレビや雑誌などの幅広いメディアでも活躍。 著書に『「2人」で知っておきたい 妊娠・出産・不妊のリアル』(ダイヤモンド社)など。 ●富坂美織 オフィシャルサイト  ●Twitter @mioritomi

ほしの さゆり

星野 早百合

ライター

編集プロダクション勤務を経て、フリーランス・ライターとして活動。雑誌やWEBメディア、オウンドメディアなどで、ライフスタイル取材や著名人のインタビュー原稿を中心に執筆。 保育園児の娘、夫、シニアの黒パグと暮らす。

編集プロダクション勤務を経て、フリーランス・ライターとして活動。雑誌やWEBメディア、オウンドメディアなどで、ライフスタイル取材や著名人のインタビュー原稿を中心に執筆。 保育園児の娘、夫、シニアの黒パグと暮らす。