
“痛くない”インフルエンザワクチン「フルミスト」とは? 鼻から投与する生ワクチンを小児科医が解説
2024年導入の新インフルエンザワクチン「フルミスト」を小児科医が解説 (2/4) 1ページ目に戻る
2025.11.20
新生児科医・小児科医:今西 洋介
注射型ワクチンとの違いは? 仕組みと種類
──まず、従来型のインフルエンザワクチンとフルミストの違いについて教えてください。
今西洋介先生(以下、今西先生):従来のインフルエンザワクチンとフルミストは、まず接種の方法が大きく異なります。従来型は腕などに注射して、直接血液中に抗体を投与する仕組みでした。これに対してフルミストは、鼻の粘膜にスプレーすることで、体の中で自然に抗体をつくり出す仕組みです。
もう一つの大きな違いは、使われているウイルスの種類です。
従来の注射型は、ウイルスを不活化(死滅)させた「不活化ワクチン」ですが、フルミストは弱めた生きたウイルスを使う「生ワクチン」です。そのため、より自然に近いかたちで免疫を刺激できるのが特徴です。
対象年齢は? 接種回数と効果が続く期間
──接種できる人や接種回数、効果が続く期間についても教えてください。
今西先生:対象となるのは2歳から18歳までです。2歳未満の乳幼児や19歳以上の成人は使用できません。
従来の注射型ワクチンは13歳未満が2回、13歳以上が1回の接種で、半年ほど効果が続きます。これに対してフルミストは、年齢にかかわらず1回の接種で完了し、効果も半年から1年ほど持続するといわれています。
──効果が長く続くのはうれしいですね。
今西先生:そうですね。従来のワクチンでは秋に接種しても、春先には効果が薄れて感染するケースがありました。フルミストは効果が1年程度続くことが期待できるため、シーズン後半の感染も防ぎやすくなると思います。



































