セルビアの子どもも注目!「王様のように」味わう朝食が超豪華な理由

世界の子どもたちは何を食べているの? 「世界の朝ごはん」#3セルビア・ベオグラード編

コーディネーター:希代 真理子

ステファンくんは、ごはんと目玉焼きの朝ごはん

アイヴァルは朝食にも出るという話が出てきましたが、ここからはセルビアの朝食がどのようなものか教えてもらいましょう。もしかして朝食も肉料理ばかり!?

「まずは我が家の朝ごはんの様子からご紹介しますね。

我が家は、息子のステファンが、2021年9月から小学校に入学しました。学校は朝8時半から始まるので、7時半頃には起きて8時15分過ぎまで朝の支度をします。

朝食の目玉焼きを食べるステファンくん。
写真提供:富永正明

ステファンは朝ごはんに、パンかごはん。それと目玉焼きを食べることが多いです。

セルビアの一般家庭ではパンを食べることが多いのですが、我が家ではステファンがごはん好きなので、ごはんとパンが半々といったところ。

以前は、豚や牛、鳥の肉や内臓をすりつぶした“パシュテータ”というペーストを、パンに塗って食べていましたが、最近は好みが変わったのか食べなくなりました。

忙しい時は、プラムやラズベリーを食べたり、手作りのバナナシェイクを飲んだりもします。

小学校低学年は、授業が昼12時で終わるので、給食は基本的に出ません。お弁当や軽食といったものも持たせません。

しかし、ベオグラードや都市部では共働きの家庭も多く、低学年でも給食を提供して午後3時あたりまで学校にいられるようにしている小学校もあります」(正明さん)

トルコ由来の「ブーレック」や「ボスニア風パイ」が人気

一方、大人の正明さんの朝はどんな食事で始まるのでしょうか。

「僕は、近所にあるボスニア風のパイが売っているピタ屋さんで、朝ごはんを買うことがあります。

「こちらが、ボスニア風パイ『ピタ』が売っているお店です」(正明さん)
写真提供:富永正明

このお店は、ピタを買うとサービスでレモネードを付けてくれるんですよ。レモネード付きで、一人分が日本円の80円くらい。週末に家族で行くことも多いかな。

正明さんご用達のボスニア風パイ“ピタ”。「グラスに入っているのがサービスのレモネードです」(正明さん)
写真提供:富永正明

ほかにも、トルコから入ってきて、セルビアに根付いた『ブーレック』というパイも人気ですね」

ベオグラードには、パイやパンを売る店がそこかしこにあり、朝から大繁盛しています。
都市部では自家製のパンを食べることは浸透しておらず、買って食べるのが普通だと言います。

「ちなみにセルビア人の妻は、トルココーヒーを飲まなければ、一日が始まりません。
息子の登校付き添いから帰宅後、家でゆっくり飲むのが至福の時なんです。

トルココーヒーは、ジェズバという専用の小鍋でコーヒー豆を挽いた粉を煮て作ります。
ブラックで飲んだり、砂糖を入れたり、飲み方はお好みで。
ただ、どろどろしたコーヒーの粉が沈むので、苦手と言う外国人の方も多いですね。

しかしこのトルココーヒー。セルビアではコミュニケーションに欠かせません。セルビア人が集まったら、必ずトルココーヒーが出てくるんですよ」(正明さん)

朝食は王様のように、昼食は王子様のように

「また、セルビアにはこんな格言があります。

『朝食は王様のように、昼食は王子様のように、そして夕食は物乞いのように』。

これは朝と昼はしっかり、夜はごく軽めに食事を摂るのが健康的であるということを意味しています。

ですが、僕の感覚的には、昼食が1日のメインかな。

昼食はだいたいいつも午後2時頃。先ほどご紹介した、豚肉のグリルやシュニッツェル、煮込み料理の『ムチュカリッツァ』などを食べます。

肉が中心ですが、もちろんサラダなどの付け合わせで野菜も摂ります。夕飯は軽めに、午後8時過ぎに家族全員で食べています。

セルビアの都市部だと、生活スタイルも食事もヨーロッパや世界の大都市とさほど変わりません。
ベオグラードだと、共働きの家が多いので、朝はスキップする家庭も多いです。

格言とは、少し変わってきているのかもしれませんね」(正明さん)

コロナ禍で自国の食のルーツに気づいた

「それでも、田舎に行けば、この格言はまだまだ生きています。

というのも、セルビアは農業国。田舎の朝食は豪華で、サラミや乾燥ソーセージ、ベーコンはもちろんのこと、パプリカや胡椒、ニンニクの入った『クーレン』があったり、刻みタバコのような形状に、圧搾した『ドゥーバン(刻みたばこ)・チュバールツィ』という、豚の皮を揚げたものなど、数多くの料理が並びます。

「こちらがチュバールツィ」(正明さん)。
写真提供:富永正明

また、地方の農家では自家製のパンを作るのが普通で、厚手のパイ生地に、カッテージチーズの入った『キバニッツア』や、とうもろこし粉の『ブローヤ』と呼ばれるパンも朝食に出てきます。

飲み物も、ラズベリージュースや搾りたての牛乳、トルココーヒー。さらに『ラキヤ』という、プラムの蒸留酒が朝から出てくることも」

ドゥーバン・チュバールツィとラズベリーのジュース。
写真提供:富永正明

「このコロナ禍でバカンスを国外で過ごすことが難しくなり、ベオグラードの人々の多くは、グリーンツーリズムと称して、郊外へ行くようになりました。

その結果、自分達の朝食の源が、滞在先である農村にあることに気づくことになったのです」(正明さん)

多民族・多言語環境のセルビアですが、料理は国の歴史とともに歩んできたものばかり。

コロナ禍で、海外に足を運ぶことが難しくなったからこそ自国の食のルーツに注目が集まったというのは、朝ごはんがセルビアの人たちにとって特別なものであるということがよく伝わりました。

富永さんご一家、ありがとうございました。

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きたい まりこ

希代 真理子

コーディネーター

1995年よりドイツ・ベルリン在住。フンボルト大学でロシア語学科を専攻した後、モスクワの医療クリニックでインターン。その後、ベルリンの...