セルビアの子どもも注目!「王様のように」味わう朝食が超豪華な理由

世界の子どもたちは何を食べているの? 「世界の朝ごはん」#3セルビア・ベオグラード編

コーディネーター:希代 真理子

セルビアの子どもたちは朝ごはんに何を食べているのでしょうか。
画像提供:富永正明
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世界の子どもたちは朝ごはんに何を食べているのでしょうか? 

第3回は、セルビア・ベオグラード編。「世界のならいごと」第3回にも登場していただいた、セルビア在住歴26年の富永正明さんに、セルビアの朝ごはんの様子をについてお話してもらいました。

セルビアの食事と言えば、「肉・肉・肉」!

セルビアの首都・ベオグラードにお住まいの富永一家は、セルビア人の奥さまのマリアさん、6歳の長男ステファンくん、メディアコーディネーターの仕事をされている正明さんの3人家族です。

旧ユーゴスラビアの1共和国だったセルビアは、ヨーロッパ南東部のバルカン半島中央に位置します。

日本ではあまりなじみのないセルビアですが、セルビアの人たちは一体どのような料理を味わっているのでしょうか。朝ごはんを紹介する前に、この国の食文化を見ていきましょう。

「セルビアの食事の話をする際に、よく引き合いに出すエピソードがあります。
2019年、セルビアを最も訪れたのは中国人観光客でした。そのため、セルビアのブチッチ大統領が、

『セルビア料理は、前菜からデザートまで全部肉です!』

という、冗談を交えたメッセージを中国へ送ったことがありました。
それくらい、セルビアは肉料理が多いんです。

これはセルビアが海を持たない内陸国であることとも関係しています。ドナウ川やサバ川でとれるコイやナマズ、パイクパーチといった魚をスープにして食べることもありますが、一般家庭でこれらの川魚を食べるのは、正教の習慣で肉や乳製品を控える日くらいです。

また、アドリア海のスズキなどがスーパーで売られてはいますが、値段も高く一般的ではありません。

ではまず、定番のセルビア料理をいくつか挙げてみますね。

セルビア版のロールキャベツ『サルマ』は、セルビアのおふくろの味とも言われる家庭料理の定番。発酵させたザワークラウトを使うのが特徴で、中身はミンチ肉のほかに、燻製ベーコンや肋骨肉、米などが入ります」(正明さん)

こちらがサルマ。「“サルマ”はセルビアのおふくろの味です」(正明さん)。
写真提供:富永正明

続いて、紹介するのは
『カラジョルジェ公風シュニッツェル』です。

「こちらはいわゆるセルビア版のとんかつです。

セルビアには、オーストリア・ハンガリーの影響から、薄切りにした豚肉などを叩いて伸ばし、衣をつけて揚げたウィーン風シュニッツェルがありました。

しかし、第二次大戦後のユーゴスラビアに君臨した、チトー大統領の専属料理人だったミーチャ・ストヤノビッチさんが、1950年代に『セルビアらしい名物料理を』と考案したのが、この“カラジョルジェ公風”と呼ばれるシュニッツェルです」

カラジョルジェ公風シュニッツェル
写真提供:富永正明

「ネーミングにもなった“カラジョルジェ公”とは、1894年にセルビアを支配していたオスマントルコに対する蜂起を始めた英雄であり、第二次大戦まで続いた、セルビア王家の創始者でもあります。

このシュニッツェルは、筒状に丸めた豚肉の中に、“カイマック”という、クリーム状の乳製品が入っており、これは、カラジョルジェ公が蜂起の際に使われた大砲に由来していると言われています」(正明さん)

セルビアでは、こんな煮込み料理も愛されています。

「『ムチュカリッツァ』は、セルビアのグリル料理の中心地である南部の街・レスコバッツの名物料理です。

「『ムチュカリッツァ』は、“ごった煮”の意味を持つ冬の人気料理です」(正明さん)。
写真提供:富永正明

グリルした豚肉を、玉ねぎ、赤パプリカ、トマトなどと煮込んだもので、隠し味として、パプリカのペースト『アイヴァル』が使われます。
ちなみに、アイヴァルは朝食にもよく出てくる、セルビアのおなじみの食材なんですよ」(正明さん)

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