2児の母・PTA会長 39歳で悲願の落語家の道へ 三遊亭あら馬

落語家・三遊亭あら馬さんインタビュー #1 2児の母、落語と出会う

落語家:三遊亭 あら馬

PTA会長の任期を終え、落語家の門を叩く

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――落語と並行して小学校のPTA活動もされていたそうですね。

「そうなんです。上の子が小学校1年生のときに、PTAの役員決めのプリントが配られて、“必ずどれかに○をつけてください”と書いてあったんです。
やりたくはないけれど、とりあえず広報部に○をつけたら、つけたのは4名だけで。1人は仕事しているから絶対に出られない、もう1人は介護、もう1人は黙り込んでしまって。
『ああ、これは○をつけたら死ぬやつだったんだ。デスノートだ』と思いました(笑)。
私はもじもじしているのが大嫌いなので、『じゃあ、私やります!』と、広報の役員を引き受けました。

そしたら、長年広報委員にお局として君臨している方が、『llustratorと、一眼レフカメラを持っていない人は買ってください』、とか言うんですよ!
私はコンピューターに強かったので、『そんなのなくても作れますよ』と反論しました。
さらに昨年から続投の広報の部長さんからは、『広報紙の賞レースを狙ってるから』と言われて。
『その賞を獲ったら何になるんですか?』、とまた反論したら、1年目のペーペー役員が反論したことで、『なんだ、あのお母さんは?』と話題になりました(笑)。

広報だけではなく、PTA自体が長年の引継ぎ事項のガラパゴス化していて、無駄が多くて。あれこれ、おかしなシステムだらけだったんです。
1年ではまったく変えられなかったので、これは徹底的に改革せねばと思い、『私は、下の子が入学してきたら、会長をやるから、そのときまでは役員はできません』と、そんなシステムはないのに異例の宣言を出しました(笑)。
そして、上の子が4年生、下の子が1年生のときに、本当に会長になりました。
2年くらい宣言を出し続けていたので、ママネットワークで2015年の会長枠は埋まってる! と情報が広がり、役員決めの互選会の前には役員がほぼ出来上がっていましたね。
そこから、『私が敷居の低いPTAに変えるので、私についてきてください』と、PTA会長1年目がスタートしたんです」

撮影:土居麻紀子

「結局そこから2年間、(前座中に1年間)会長をやったのですが、ベルマーク活動も含め、不要な活動や部署の整理や、あふれる出るPTAからのお知らせのペーパーレス化も図りました。
この2年で規約改正を行い、かなり合理的にシステム化ができたので、“もうPTAでやることは何もない”と、師匠に入門の電話をしたんです」

――PTAが落ち着いたから、入門できたんですね(笑)。

上の子が入学した時から落語をやっていたので、“落語のおばちゃん”として、名物PTA会長になることができました(笑)。
PTA会長をやる方は、落語教室へぜひ! 卒業式では、校長・教育長よりも子どもたちを退屈させないぞ! と思いながら話していましたから。結果、私の勝ちだと自負しています(笑)」

子育ての日々の中で落語と出会い、PTA活動と落語を両立しながら我が道を進んだあら馬さん。
実は、生まれ持っての持病である“先天性胆道閉鎖症”と付き合いながらの挑戦でした。
とにかく濃すぎるあら馬さんの人生、第2回は入門してから、二ツ目昇進までの道のりを語っていただきます。

取材・文 石本真樹

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さんゆうてい あらま

三遊亭 あら馬

落語家

落語家。鹿児島県出身。フリーアナウンサー、女優。 2017年1月に三遊亭とん馬に弟子入りし前座見習いとなり、同年4月に楽屋入り。2021年5月21日より二ツ目昇進。 これまでの経験を活かして、子ども目線、保護者目線の落語公演のほか、PTAおよびインクルーシブ教育などの講演会も精力的に開催している。 オフィシャルHP https://ha8.seikyou.ne.jp/home/acco/arama/

落語家。鹿児島県出身。フリーアナウンサー、女優。 2017年1月に三遊亭とん馬に弟子入りし前座見習いとなり、同年4月に楽屋入り。2021年5月21日より二ツ目昇進。 これまでの経験を活かして、子ども目線、保護者目線の落語公演のほか、PTAおよびインクルーシブ教育などの講演会も精力的に開催している。 オフィシャルHP https://ha8.seikyou.ne.jp/home/acco/arama/