三遊亭あら馬 子育て・闘病 大変でも「やりたいことを諦めないで」

落語家・三遊亭あら馬さんインタビュー #3 二ツ目昇進とSDGsな落語

落語家:三遊亭 あら馬

子連れでも来られる落語会を開きたい

撮影:土居麻紀子

――次なる目標は、やはり真打ちでしょうか。

「真打ちに上がれるとしても10年後ですから。
病気のこともあるので、10年後まで元気でいられるなら真打ちを目指したいとは思っています。
以前、HPの闘病記で『移植をしない』と書いたのですが、『生きなきゃいけないな』と、今は思い直し、2021年秋に移植を受けることになりました。

二ツ目が終着点だと思っていましたが、応援してくれる方がたくさんいることによって考え方が変わりました。

今は、二ツ目になれた日々が本当に楽しくて。それに、今年(21年)の12月に、故郷の鹿児島で寄席をやるんですよ。
鹿児島には寄席がないので、太神楽ショーとかも入れて、面白いことをやろうと思っています。そのためには、移植の成功が必要なんですけどね。

鹿児島では、高校生以下を入場無料にして、赤ちゃん連れの方にもぜひ来ていただきたいと思っています。
赤ちゃんは、親が笑っていると意外と安定していて泣かないんですよ。幼児さんも仕草とかで笑ってくれますし。
時間は1時間くらいにして、飽きたら走ってもいいスペースも作る予定なので、若いお父さんやお母さんにも落語を楽しんでもらえたらと思っています」

――お子さんたちのためにも、さらにパワフルに活躍してください!

「2021年は、私の前座卒業と長女の中学卒業、次女の小学卒業が重なったんです。
『3人同時に卒業式だね』とお祝いしたんです。私は、子どもたちと一緒に育っている、という感覚がすごく強くて、親の成長を見せるのも大事かなと思いましたね。

私が落ち込んでいたときも、娘たちはすごく励ましてくれますし、本当にありがたいです。いい子たちなんですよ。
夫は、ここまでの話しにほとんど出て来ませんでしたが(笑)、仕事上、単身赴任もあって、子育てでは頼れなかったけれど、経済的な部分も含めていろいろと支えてもらいました」

撮影:土居麻紀子

人生は一度きり。やらずに後悔して欲しくない

――最後に、あら馬さんから子育て中のお父さん、お母さんにメッセージを。

「子育てしながらやりたいこと続けるのは、本当に難しいと思うんです。
でも、何かひとつでもやりたいと思っているのであれば、迷わずにやってみて欲しい。
娘たちにもよく、『怖いとか、失敗したらどうしよう、と思っているのは自分だけだよ』と話しているのですが、正直、本当に自分のことなんて誰も見てないんですよ。

世間体を気にせず、ここが無人島だと思えば、恥ずかしくもなんともない。人生は一度きりですから、やらずに後悔して欲しくないですね。

それに、『子どもがいるからできない』じゃなくて、やりたいことがあるなら、身近な人を頼ってもいいんです。
難しい方ももちろんいるとは思います。しかし、子どもは親を見て育つので、ママが頑張っている姿を見せていると、手伝ってくれるようにもなりますしね」

アナウンサーを目指したものの挫折し、子育て中に落語という夢に出会ったあら馬さん。
難病と闘いながらの道のりは、決して平坦ではありませんでしたが、大変なことも笑い飛ばしながら、“人生は一度きり!”と、語るあら馬さんの言葉にはパワーがありました。

取材・文 石本真樹

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さんゆうてい あらま

三遊亭 あら馬

落語家

落語家。鹿児島県出身。フリーアナウンサー、女優。 2017年1月に三遊亭とん馬に弟子入りし前座見習いとなり、同年4月に楽屋入り。2021年5月21日より二ツ目昇進。 これまでの経験を活かして、子ども目線、保護者目線の落語公演のほか、PTAおよびインクルーシブ教育などの講演会も精力的に開催している。 オフィシャルHP https://ha8.seikyou.ne.jp/home/acco/arama/

落語家。鹿児島県出身。フリーアナウンサー、女優。 2017年1月に三遊亭とん馬に弟子入りし前座見習いとなり、同年4月に楽屋入り。2021年5月21日より二ツ目昇進。 これまでの経験を活かして、子ども目線、保護者目線の落語公演のほか、PTAおよびインクルーシブ教育などの講演会も精力的に開催している。 オフィシャルHP https://ha8.seikyou.ne.jp/home/acco/arama/