6歳で暗算十段のスーパーキッズ! ママが実践したどんな子どもにも活かせる教育術

中澤家の教育は子どもに「教えすぎない」がモットー 子どもの力を伸ばしたママに聞く教育術#2

練習に身が入らないときは、時には厳しく𠮟ることも

「そろばんに対しては大きな目標を持っていて、それが好きだといっても、そこは子どもです。

その日によってできるときとできないときがあります。疲れることもありますし、気分が乗らないときだってあります」(祐香さん)

子どもが気分屋なのは自然なことですし、体調の良し悪しがやる気に影響することもあります。では、旺汰くんが練習に身が入らないときはどうしているのでしょうか?

「そろばんは脳のスポーツともいわれていて、野球やサッカーなどの運動と同じくらい集中力も努力も必要な競技です。

大会前であれば、スポーツを頑張っている子と同様に踏ん張らなきゃいけないときもあります。

子どもの気分にムラがあることは承知ですが、それをわかった上で私は常に、やるときはやるぞ! という気持ちを持って取り組むようにと息子には教えています。

ですから、練習に集中していないときは厳しい指摘をすることもありますし、それでもダメなら、気持ちを奮起させるために𠮟るときもあります。

昭和的だといわれるかもしれませんが、子ども自身が立てた目標達成をするには、𠮟咤激励も時には必要だと思っています」(祐香さん)

子どものやる気を引き出すにはさまざまな方法がありますが、祐香さんの場合は日頃から練習にはメリハリを持つように旺汰くんにいい聞かせ、時には厳格な態度で鼓舞もしています。

どんな状況下でも目の前のことに集中できる力を育むには、親側も譲れないことを決めて、厳しく接する覚悟が必要です。

ここで旺汰くん自身に、そろばんをやっていてつらかったことはありますか?と聞いてみると、元気に「特になし!」との返答がありました。

そろばんに向かう日々には大変なこともあるけれど、根底にあるそろばんが好き! という気持ちが、苦労を取るに足らないものにしているようです。

月並みだけど「休む」ことも重要

「先日、大阪でそろばんの大会があってだいぶ頑張ったので、そのあとにあった連休はちゃんとお休みしようってことで本当に何もしなかったですね。

それと我が家は毎週日曜日は家族の時間にしていて、外で遊んだり、食事に出かけたりしています。

勉強や練習が終われば、息子はどこにでもいる、普通のザ・男子って感じですよ(笑)。ゲームが好きで、漫画が好きで。何かあると急に走り出したりして。自由に、好きなことをして遊んでいます」(祐香さん)

中澤家では必ず家族の休日を設けています。また、大会後もそろばんから離れる時間をとっているそう。  イメージ写真:アフロ

日常もメリハリを持って過ごしているのは、子どもの体調面への配慮もあるといいます。

「コロナで外出制限があった時期は、学校にも思うように行けなかったし、習い事にも通えないときがありました。また、そろばんの大会はオンライン開催が多かったんです。

でも、次第に状況が変わってきて、予選は地元の教室でのオンラインだけれど、本戦は開催会場で実際に実施されるようになりました。

大会によっては遠征も発生するので、体力的なことを考えると休暇は大切です」(祐香さん)

勉強や練習をやるときは集中し、休むときはしっかりと「休む」「遊ぶ」という中澤家のスタイルは、子どもの教育だけでなく、大人の日常や仕事への姿勢にも通じる重要な要素です。

年齢問わず、大きな目標達成をするためには、基本的な考えでしょう。

今、頑張っていることはムダにならない

「そろばんをやり始めたときは、今の自分を予想していなかったです。楽しくやってて、気づいたらこんなことになっていたって感じで……。

大会でいろんなところに行けるので、そろばんをやっていてよかった!

最終目標は『全日本珠算選手権大会』での優勝だけど、まずは小学生の中でナンバーワンになれるように、数年かけて頑張りたいです」(旺汰くん)

「全日本珠算選手権大会」は年齢性別に関係なく参加する、いわば無差別級の大会です。目標はこの大会で日本一になることですが、そのほかにも旺汰くんには将来の夢があるそう。

「YouTubeでそろばんを教える人になってみたいです(照)」(旺汰くん)

これを聞いた祐香さんはすかさず……、

「そろばんの先生になりたいとか、お医者さんになりたいとか、リンカーンを習ったら大統領になりたいとか、そのときに学んだことに興味を持つのでコロコロとやりたいものが変わるんです(笑)。

とはいえ、全国暗算技能検定で最高位の十段に最年少で合格してからというもの、息子には『僕はできる』という自分を肯定する気持ちが芽生えました。

その思いを大切にしながら、やりたいことを好きなだけやってほしいです。そして、経験した中から自分で自分の道を選んでいってほしいと思っています」(祐香さん)

そろばんを中心にさまざまなことに挑戦をし続けている旺汰くん。それに対し祐香さんは、「今は目標に向かって努力をしているし、努力する体験をしている最中。大きくなってもこの経験は役に立つはずです」とも続けます。

手探りからスタートした中澤家の教育ですが、偶然の出合いや子どもの気持ちに沿ってその方向性を少しずつつかんできています。

旺汰くんは思いがけなくそろばんを知ったことで、目標を見つけて才能を開花させましたが、そのタイミングは成長する中でどの子どもにも訪れるはずです。

我が子に合うか合わないかわからないけれど、親側が臆せずに挑戦する機会を与えることで子どもの得意を見つけ、伸ばしてあげられるでしょう。

また、どんなことでも体験したことや努力したことはムダにはなりません。その子の能力の幅を広げて、将来の助けとなってくれるはずです。


取材・文/梶原知恵

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かじわら ちえ

梶原 知恵

KAJIWARA CHIE
企画・編集・ライター

大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。

大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。