名古屋発・低学年から「自分で学ぶ力」を育てる公立小学校のスゴい実践

【小学校教育2.0】名古屋市立矢田小学校の挑戦#1「2年生のプロジェクト型学習」

「自分で決める・選ぶ」が子どもの意欲を高める最大のキーワード

2年生の生活科には、「まち(学区)たんけん」という内容(単元)があり、2022年度はこのなかでプロジェクト型学習に取り組みました。

「学区内にあるお店や施設を訪ねて、その内容をまとめて発表する」という大筋の学習内容は決まっていますが、どのお店に行くのか、そこでどんなことを聞くのかなど、具体的な内容は子どもたちが選んだり、話し合ったりして進めます。

まずは、子どもたちが自分で行きたいお店や施設を選び、それぞれグループを作ります。その後はグループに分かれて学習を進めていきます。

真剣にグループ学習を進める子どもたち。  写真提供 矢田小学校

2年生のクラスを担任する中川大輔先生は、授業の進め方について次のように話します。

「実際にお店や施設を訪問するまでの準備には、経路を調べたり質問事項を考えたり、記録のためにメモや写真を残したりと、いろいろな要素があります。

こうした学習の全体像については、子どもたちがイメージを持てるように最初の授業で説明しますが、グループでの学習に移ったあと、具体的にどんなふうに進めるのかは子どもたちに任せています。

プリントを使いながら、毎回授業でやることを自分たちで考え、振り返ります。  写真提供 矢田小学校

『今日はお店に行くまでの道を調べましょう』『次はお店の人への質問を考えましょう』と教員が時間を区切って指示する、といったことは行いません。

考える順番、時間配分なども含めて、自分たちで話し合いながら進めていきます」(中川先生)

タブレットPCも使いこなし、学習を進めます。  写真提供 矢田小学校

「子どもたちが主体となって進める学習」は、話し合いに慣れている高学年で行うのは想像できますが、2年生はまだまだ幼さが残る年齢です。うまく進むのでしょうか?

「子どもたちは、自分で決めたことについては驚くほどモチベーション高く学習に取り組みますので、どのグループも積極的に話し合いを行っていました。大きな問題はありませんでしたね。

もちろん、教員のサポートは必要で、うまく進まなくなっている場合は、『あっちのグループがどうやっているか見てきたら?』などと声をかけてフォローします。

でも、少しアドバイスすれば子どもたちはすぐにペースをつかみ、また自分たちで学習を進めていきますね。

子どもたち同士でインタビューの練習も行います。  写真提供 矢田小学校

自分で選べる内容や決められる範囲が広いことで、子どもたちはより意欲的になったと感じます。楽しそうに話し合いながら、どんどん先へと進めていった印象です」(中川先生)

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