緊急避妊薬は繰り返し使っても安全
続いては、今さら聞けない避妊にまつわるギモンについて遠見先生に回答してもらいました。
Q1:生理中は妊娠しないというのは本当ですか?
A1:結論から言うと、間違いです。妊娠を望まない方にとっては、「妊娠しないと断言できる日、いわゆる“安全日”はない」と考えてもらったほうがいいです。
卵子の寿命は1日、精子の寿命は5日ほどと言われています。射精後の精子は腟内で生き残ることから、排卵5日前から排卵当日が妊娠可能な時期とされています。さらに、排卵日を予測することは難しいです。月経周期が28日の場合、排卵日は月経12〜16日目頃といわれていますが、ストレスなどの影響で前後することがあるからです。
また、排卵期の不正出血を月経と間違えてしまうケースもあるかもしれませんし、生理中のセックスで妊娠する可能性も否定できません。これらの理由から、「生理中は妊娠しない」は間違いといえます。余談ですが、“外出し”と言われる腟外射精も、避妊法ととらえないほうがいいくらい妊娠する可能性があります。
Q2:緊急避妊薬を繰り返し使うと体に悪影響があるの?
A2:緊急避妊薬は緊急時に使用するものですが、仮に繰り返し使用しても安全性が高く、健康被害は報告されていません。また、緊急避妊薬の成分は数日以内に体内から消えるため、将来の「妊よう性(妊娠する力)」にも影響しません。
従来のヤッペ法という方法では、嘔吐などの副作用が生じるケースもありました。現在推奨されている緊急避妊薬(レボノルゲストレル)では、頭痛や吐き気などの軽い副作用が約8%で生じるといわれているものの、嘔吐することはごくまれで、重い副作用はありません。
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全2回の遠見先生へのインタビューにて、海外の避妊方法の選択肢の多さに驚くと同時に、遠見先生の言葉の端々から「変わらない日本の避妊事情」へのもどかしさを感じました。最後に、遠見先生からパパママへメッセージです。
「今回お話ししたことを通じて、親御さんには『なぜ日本の避妊方法はコンドームが主流なの?』と疑問を持ってほしいです。
自分たちだけでなく、将来、子どもたちが多様な選択肢から選択できて自分の体のことを自分で決められる社会にしていくためにも、関心をもってもらえたらと思います」
正しい避妊方法について知ることは、自分の体や健康について真剣に考える機会にもなります。パートナーとコミュニケーションを図りながら互いにとっていい方法を選択していけば、パートナー間の関係性もよりいいものになりそうです。
取材・文/畑菜穂子
畑 菜穂子
1979年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーに。主にWEBメディアで活動中。子育て、性教育、グルメ、企業の採用案件などの取材・執筆を行う。多摩地域で、小学生の娘(2012年生まれ)、夫と暮らす。 Twitter @haricona
1979年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーに。主にWEBメディアで活動中。子育て、性教育、グルメ、企業の採用案件などの取材・執筆を行う。多摩地域で、小学生の娘(2012年生まれ)、夫と暮らす。 Twitter @haricona
遠見 才希子
産婦人科医。1984年神奈川県生まれ。2005年から中高生向けの性教育活動を始め、「えんみちゃん」のニックネームで全国900ヵ所以上の学校をめぐり正しい知識や等身大のメッセージを伝えている。1歳児、3歳児の子育て中。著書『だいじ だいじ どーこだ?』(大泉書店)、『ひとりじゃない 自分の心とからだを大切にするって?』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。 Twitter:@emmi__chan
産婦人科医。1984年神奈川県生まれ。2005年から中高生向けの性教育活動を始め、「えんみちゃん」のニックネームで全国900ヵ所以上の学校をめぐり正しい知識や等身大のメッセージを伝えている。1歳児、3歳児の子育て中。著書『だいじ だいじ どーこだ?』(大泉書店)、『ひとりじゃない 自分の心とからだを大切にするって?』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。 Twitter:@emmi__chan