獅童「母の手紙に号泣した」 菊之助「子どものできることを見つけて伸ばす」実力派歌舞伎役者が家族との思い出を語る

歌舞伎『あらしのよるに』中村獅童×尾上菊之助特別対談

ライター:山口 真央

2024年12月の歌舞伎座で上演の『あらしのよるに』で、ともに舞台を踏む中村獅童さん(右)と尾上菊之助さん(左)。撮影/森清
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絵本『あらしのよるに』は、狼のガブと山羊のメイが、嵐の夜に暗闇で出会い、お互いの姿が見えないまま意気投合。食う者、食われる者の立場を飛び越え、かたく結ばれた絆を描く友情物語です。

2024年、30周年を迎えた『あらしのよるに』は、4度目の歌舞伎になります。舞台に立つのは、初演からガブを演じ続けている中村獅童さんと、初めてメイを演じる尾上菊之助さんです。

息子が歌舞伎の舞台に立つという共通点のあるおふたりに、子連れで歌舞伎を楽しむコツと、『あらしのよるに』の見どころ、さらには親と子をめぐる家族の関係について伺いました。

獅童「親子で観にきてほしい。僕の息子たちも出演します」

座頭として舞台をまとめる中村獅童さん。歌舞伎『あらしのよるに』は今回で4度目の上演。撮影/森清

──子どもと一緒に歌舞伎を観るのはハードルが高いように思うのですが、そもそも子連れで歌舞伎を鑑賞してもいいのでしょうか。

獅童:もちろんです。歌舞伎『あらしのよるに』は、歌舞伎デビューにもってこいの作品です。登場人物のセリフは、なるべく絵本の文章をそのままつかわせてもらっています。だから、とってもわかりやすい。一方では、立廻りあり、踊りあり、歌舞伎の古典的な手法も取り入れているので、歌舞伎の舞台ならではのよさを味わうこともできます。

菊之助:お子さんと一緒に楽しむなら、事前に『あらしのよるに』の絵本を読んでおくことをお勧めします。歌舞伎の舞台で心情や状況を語る「義太夫」も、いわゆる歌舞伎らしい古典的な言葉ではなく、絵本の文章で語ります。読んだことのある、もしくは聞いたことのある言葉が聞こえてくるので、お子さんも物語に没頭できると思います。

獅童小さなお子さんは、3歳までならチケットはいらず、親御さんのお膝のうえで鑑賞することができます。2024年9月に京都の南座で『あらしのよるに』を上演したときも、4~5歳ぐらいのお子さんが身を乗り出して楽しんでくれる姿が、舞台上から見えました。

──初めての歌舞伎にぴったりな演目なのですね! 歌舞伎『あらしのよるに』で、子どもたちに観てもらいたいところを教えてください。

次のページへ 獅童さんと菊之助さんが、歌舞伎の舞台に立つ息子たちに思うこと
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