
この時代に「書くべきもの」を書き続けていきたい

──あさのさんにとって、読者はどういう影響を与える存在でしょうか。
あさの:正直、書いているときは、読者がこのくらいの年代の人が多いとか、女性が多いとか、男性が多いとか、そういうことを一切考えたことはありません。そういった意味で、読者からの影響を受けたことはないです。
ただ書き終わった後に、私の書いたものに対して、彼女や彼がいままで生きてきた体験を通して、発信してくれるんですよ。「私にとって『NO.6』はこういう世界でした」みたいなことを伝えてくれることは、とても刺激になります。
書けないときは、読者カードやお手紙、Xなどで、いただいたお言葉を見て「こんなふうに読んでくれる人がいるならがんばろう」と思える。本当に励まされているので、現実的に支えられてることがたくさんあります。ただ、書くものに対しての影響というのは、ほとんどないと思います。
──『NO.6』は漫画やアニメ、ミュージカルにもなっていますが、ご自身の作品が文章以外の表現で描かれることをどのように感じていますか。
あさの:世界観を変えたりとか、主人公との設定を変えたりとか、他の人の好きにされるのは、さすがに嫌というか、拒否してしまうと思います。
でも私は書くことだけしかできない人間で、演じることとか、歌うこととか、あるいはもちろんアニメを書くこともできない人間なので、まったく別の表現方法で表してくれるのは、面白がって見ています。ただ、書くという領域、わたしの領域には絶対に踏み込ませないという思いはあります。
──あさのさんが「再会」したい人、もしくは「再開」したいことはありますか。
あさの:会いたい人は別にいないかな。「中学校のときに私をふった、あいつはどうしてる?」みたいなことは思うけれど、再会したいとは思わないので。やり始めたいことっていうのも本当になくて、ただ、いまを続けたいと思っています。
ある意味すごく傲慢な考えかもしれないんですが、いまはこの時代に書くべきだと思っているものを書いていて。そういう傲慢さを含めて、持ち続けたい。いまをずっと維持したいです。
あさのあつこ
岡山県生まれ、在住。大学在学中より児童文学を書き始め、小学校講師ののち、1991年『ほたる館物語』で作家デビュー。97年『バッテリー』で第35回野間児童文芸賞、2005年『バッテリーⅠ~Ⅵ』で第54回小学館児童出版文化賞を受賞。『NO.6』シリーズは、コミカライズ、アニメ化された。児童文学から時代小説までさまざまなジャンルの作品を執筆し、幅広い世代に親しまれている。
シリーズ累計230万部超え、2人の少年の友情を超えたディストピア小説の傑作

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シリーズ累計230万部超え、2人の少年の友情を超えたディストピア小説の傑作
・『NO.6再会#1』発売告知後、即Xでトレンド1位!
・『NO.6再会#1』Amazon1位(SF・ホラー・ファンタジー6月6日調べ)
・『NO.6再会#1』ジュンク堂池袋本店総合1位(2025年6月2日調べ)
・『NO.6再会#1』トーハン週間ベストセラー文芸書2位(2025年6月3日調べ)
度重なる戦禍で地球環境が壊滅した世界に生きる紫苑とネズミ。「NO.6」のエリートとして育てられた少年・紫苑(しおん)と、「NO.6」の外に広がるスラム地区「西ブロック」に住むミステリアスな少年・ネズミは、腐りきった偽りの理想都市を崩壊させた。二人は、新世界を再構築できるのか。真っ直ぐすぎる二人の未来の命運をわける2巻。
──きみは、ぼくを摑めないと言ったけれど、ぼくにとっては、きみこそが謎だ。確かに存在しているのに決して手に入らない。
●「NO.6」シリーズ読者からの感想
「たくさん本は読んできたけれど、これ以上面白い本に出会ったことがない」
「呼吸を楽にしてくれた本」
「死にたくなったらネズミの言葉を思い出します。逃げずに前へ進め! 現実を見ろ!
どんなに現実が辛くても光を見いだせる人になりたいと思います」
「泣きたくなった夜に読みます。おまえはどうありたいんだ? いつでも自分にできることを問いかけ、動きつづけたいと思います」
●あさのあつこさんからのメッセージ
声を聞きました。ネズミの声です。
「生きる場所も死ぬ場所も自分で決める。あんたじゃなくおれが決める。余計なお節介は止めてもらおうか」と。
そうか、彼らはすでに出逢い、運命を紡ぎ始めているのか。
だとしたら、わたしも、もう一度だけ、本当にもう一度だけ、彼らに手を伸ばそう。この手で彼らの生に触れてみよう。
『NO.6』の作者として戦ってみよう。あれほど恋い焦がれた少年たちに挑んでみよう。
今はただ、それだけを考えています。
14年の時を経て、あなたに再び『NO.6』を届けます。
撮影/柏原力(講談社写真映像部)

あさの あつこ
岡山県生まれ、在住。大学在学中より児童文学を書き始め、小学校講師ののち、1991 年『ほたる館物語』で作家デビュー。97 年『バッテリー』で第35 回野間児童文芸賞、2005 年『バッテリーI~VI 』で第54回小学館児童出版文化賞を受賞。『NO.6』シリーズは、コミカライズ、アニメ化された。児童文学から時代小説まで様々なジャンルの作品を執筆し、幅広い世代に親しまれている。
岡山県生まれ、在住。大学在学中より児童文学を書き始め、小学校講師ののち、1991 年『ほたる館物語』で作家デビュー。97 年『バッテリー』で第35 回野間児童文芸賞、2005 年『バッテリーI~VI 』で第54回小学館児童出版文化賞を受賞。『NO.6』シリーズは、コミカライズ、アニメ化された。児童文学から時代小説まで様々なジャンルの作品を執筆し、幅広い世代に親しまれている。
山口 真央
幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「おともだち」「たのしい幼稚園」「テレビマガジン」の編集者兼ライター。2018年生まれの男子を育てる母。趣味はドラマとお笑いを観ること。
幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「おともだち」「たのしい幼稚園」「テレビマガジン」の編集者兼ライター。2018年生まれの男子を育てる母。趣味はドラマとお笑いを観ること。