第45回講談社絵本新人賞受賞作『どんぐりず』ができるまで①

【制作日記①】思いきってやってみれば道は開ける!

絵本作家:秦 直也

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どんぐり ころころ どんぐり ほっ! どんぐり5人組が、木から落ちて着地するまで、まるで運動会のように走ってころんで泳いで飛びはねて……。

第45回講談社絵本新人賞を受賞したのは、この賞の歴史でもまれな「幼児絵本」。

イラストレーターとして活躍していた秦直也(はた なおや)さんが、なぜこの賞に応募しようと決意したのか? 制作日記6回連載のうちの第1回です!

講談社絵本新人賞の応募締め切りは2024年5月末。応募するかギリギリまで迷っていました。

私は、2015年ごろからイラストレーターとして活動しています。

2017年からはライフワークとして毎日1枚、SNSに動物の大喜利のようなイラストをアップしはじめました。

当時、Twitterに投稿したリスの絵。絵本『どんぐりず』の元となった1枚。

応募するか迷いながらも、絵本づくりを進め、ちょうど描き終えそうというところへまさか、5年前に実現に至らなかった絵本を出版したいという話が浮上しました。

これは絵本をあきらめるなということか! と、講談社絵本新人賞にも応募する気持ちがかたまりました。

2024年12月に刊行された『いっぽうそのころ』(作・秦直也 猋社)

普段は、シャープペンシルで鉛筆画を描き、その後、スキャンしたデータにPhotoshopで着色しています。

試しに1枚、全体を着色してみると、うーん、いまいちです。どうやら、どんぐりは鉛筆のままにして、ハチマキだけに色を入れたほうがうまくいきそうです。

5月30日、一次審査用の出力をなんとか発送することができました。

学生時代は建築を専攻していたのですが、その道に挫折し、その後、仲間と映像を作ったりしながらものづくりを続けていたのですが、なかなか上手くいきませんでした。

卒業後も何か続けたいと思い、絵を描き始めました。といっても、手元にあるのはシャープペンシルとスケッチブックだけ。

そこで、どうにかインパクトを出したいと思い、大きなクマの毛並みを鱗のように描いて紙面を埋めた作品が、今の作風につながっています。

イラストを描き始めてすぐにコンペに入選した絵「birthday」(第181回ザ・チョイス入選 審査員:大橋歩さん)。

数作描いてコンペに出し、運よく入選したのがイラストレーターになったきっかけでした。

今回応募するにあたり、思いきってやってみると、道が開けることもあるんだなと感じた当時のことを思い出しました。

そして、あきらめずに続けていれば誰かが見ていてくれると。

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はた なおや

秦 直也

Naoya Hata
絵本作家

1981年、兵庫県生まれ。大阪芸術大学建築学科卒業。 2024年、『どんぐりず』で、第45回講談社絵本新人賞受賞。絵本に『いっぽうそのころ』、著作に塗り絵ポストカードブック『おしごとどうぶつ編』などがある。

1981年、兵庫県生まれ。大阪芸術大学建築学科卒業。 2024年、『どんぐりず』で、第45回講談社絵本新人賞受賞。絵本に『いっぽうそのころ』、著作に塗り絵ポストカードブック『おしごとどうぶつ編』などがある。