障がいのある兄弟姉妹を持つ【きょうだい児】 きょうだい児の弁護士が寂しさや苦しさを明かした

弁護士・藤木和子先生が教える“きょうだい児”の見守り方 #1 きょうだい児の悩み

弁護士:藤木 和子

孤立感やプレッシャーで将来が不安なきょうだい児

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──きょうだい児は、具体的にどのような悩みや不安を感じているのでしょうか。

藤木先生 前提として、きょうだい児が100人いれば100通りの感じ方があります。

未就学児や小学校低学年などの小さいお子さんに多く聞くのは「親が障がいのある兄弟姉妹の世話に追われて寂しい」「障がいのある兄弟姉妹のことで友達にからかわれる」「障がいのある兄弟姉妹のことを周囲に知られたくない」「自分は“いい子でいなくちゃ”と我慢してしまう」「親の期待にプレッシャーを感じる」などです。

また、お子さんがひとりで留守番できない年ごろの場合、親は障がいのある子の通院や療育にきょうだい児も連れていくことがあります。そこで親に「ちょっと待ってて」とだけ言われ、家族が何をしているのかわからずに「ひとりぼっちで寂しかった」「説明してほしかった」という声も。

年齢に応じてではありますが、親御さんがきちんと情報を伝え理解できたら、きょうだい児の寂しさや孤立感はやわらげられるかもしれません。ただ、中には「家族の会話が障がいや病気の話ばかりでは嫌だ」という子もいるので、お子さんに合わせた対応が必要だと思います。

もう少し年齢が上がると「将来は、障がいのある兄弟姉妹の世話をしなければならないのか」「実家や地元を離れていいのか」「やりたい仕事より医療や福祉の仕事に就くほうがいいのか」「交際相手に障がいのある兄弟姉妹のことをいつ・どう話せばいいか」「親が亡くなったらどうするのか」など、きょうだい児自身の進路や結婚、親亡きあとについての悩みも増えてきます。

まだ小学生のきょうだい児から「お金を稼げる仕事に就いたほうがいいですか?」と質問されることもあります。

──きょうだい児の親には、どのような悩みや迷いが多いのでしょうか。

藤木先生 親御さんの中には「きょうだい児の気持ちを知りたい」と言いつつも、ご自身で思うところがあるのか、「やっぱり怖い」という方も多いです。

きょうだい児にも手をかけたいけど、かけられない。平等に育てたいけれど、育てられない。障がいのある子は生きているだけで素晴らしいと思えるのに、きょうだい児に対してはやっぱり期待してしまう──。

そうした声を聞くと、親御さんも悩まれているのだと感じますし、その根底には「どちらの子どもにも幸せになってほしい」という親の願いがあるのだと思います。

きょうだい児を支援する「NPO法人しぶたね」(※2)のWEBサイトに掲載されているイラスト。子ども時代の複雑な気持ちを、大人になってからも抱え続けるきょうだいも多いといいます。  提供:NPO法人しぶたね
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