5つのステップで「待ち上手」になった親 子どもの驚くべき成長・子育てのイライラからの解放 「先生の先生」が解説
【子どもの才能を伸ばす「待ち上手」な親 #3】待ち上手が身についた親御さんの今
2024.09.28
元公立小学校指導教諭、ベネッセ教育総合研究所教育イノベーションセンター主任研究員:庄子 寛之
元公立小学校の先生である庄子寛之先生は、子育てがうまくいっている家庭には「待ち上手」という姿勢があることを見出しています。
待ち上手とは、口出ししたくなるタイミングでもジッと我が子を見守り、子どもを追いすぎないことです。そして、その姿勢を身につけるには5つのステップをクリアしていく必要があります。
「連載1回では『自分を整える』を、連載2回では『ただ見る』と『我が子から学ぶ』を解説しました。これら3つのステップをすべて身につけられたのなら、次は4ステップ目の『伝える』という段階です。
子育て中は、子どもに何かをきちんと伝えなければならない場面もあります。とはいえ、その伝え方について普段、自分がどのような言い方をしているか思い返してみたことはあるでしょうか。
実は、これだけはいわなくちゃと思って、多くの言葉を使って、子どもを追いかけるようにして伝えていることほど何も伝わっていません。それどころか、子どもは親が追うたびにますます離れていくことでしょう。
どうしても何か伝えたいことがあるときは、子どもが親に寄ってきたときがベストタイミングです。また、言葉は短く明確に、子どもが何をいわれたか真意がつかめるように話すことも大切です」(庄子先生)
親から子どもに話すときは、主語は常に「(親である)私は」であることも重要だと先生はいいます。「普通の6年生は……」だったり、子どもの友だちを引き合いに出して「○○ちゃんは……」と伝えても、親御さんのメッセージにはなりません。
「私は(お母さんは、あるいはお父さんは)○○だと思うよ」など、I(私は)メッセージを徹底しましょう。
子どもが考えている時間を「待つ」!
親子間のコミュニケーションでは、子どもの発言を聞く場面もあります。しかし、子どもが考えている時間を待つことができず、間髪入れずに、あれこれ命令口調で指示をしてしまう親もいます。
これに対して庄子先生は、次のようにアドバイスします。
「『どうしてそう思うの?』『どうしたらいいと思う?』など、親から子どもに問いを投げかけても、我が子からはなかなか答えが返ってこないことがあります。しかし、ここで親御さんが言葉を加えて、子どもから答えを引き出してはいけません。
子どもが沈黙して考えているときは、何も話さずにじっと待ってあげてください。
そして、我が子が口を開いたら、どんなことをいっても受けとめてあげましょう。子どもが話していることが大人の世界では納得いかないことでも、それを頭から否定せず、子どもには『話してくれてありがとう』と添えて、親から子どもにすべてを受け入れるという愛を伝えてください。
それを積み重ねていくと、いつしか子どもとお互いの考えを伝え合える、いい対話ができるようになります」(庄子先生)
子どもが噓をつくのは、親に原因がある!?
子どもが噓をつく場合、実はその原因は親にあることがあります。子どもから答えを引き出す際、たとえばケンカの原因は相手にあるなど、親が聞きたい言葉を子どもの口から発するようにその雰囲気を出している(誘導している)ことがあるのです。
そのため、子どもが沈黙したなら、親は余計なことは何もせずに、ただじっと待つことが肝心です。